1月4日放送

野々村芳和さん 「ほっかいどう元気びと」、2015年最初のゲストは北海道のサッカー人気を支えてきた野々村芳和さん 42歳。コンサドーレ札幌を率いる「株式会社北海道フットボールクラブ」の代表取締役社長として今年は3シーズン目。さらに期待が集まる道内スポーツ関係者のひとりだ。
 「ほっかいどう元気びと」で発信したい“人の中の力”は、順風満帆な中での取り組みの成果ではなく、困難や壁をどう乗り越えて前に進んできたか、或いは今現在進んでいるか。進もうとしているか。
 プロのサッカー選手として活躍した後、解説者や子供達のサッカーを通しての育成といったステージを経て、厳しい条件下にあるクラブチームを引っ張るトップの立場に就き、現在、野々村さんは何を思い、どんな夢を描いているのか、スポーツ番組でもビジネス番組でもないスタンスで是非いろいな話を訊いてみたいとお迎えした。

 野々村さんが社長に就任した2013年のコンサドーレ札幌は、前年にJ1からJ2に降格し再び上を目指さなくてはならないポジションにおり、しかも財政は厳しいまま。チームを運営する資金は限られ、当時「火中の栗を拾う」と評されたほど重圧も大きい役割だ。そして、この2シーズンもJ1昇格は叶わず、責任は益々その肩にのしかかっているはず。
 「この2年間はどんな気持ちの日々でしたか?」と問いかけると、「う~ん・・・」と少しの間唸った後で、「やってみてそう簡単にはいかないと思うことも多くて、大変は大変。でも大変な状況の中でも“面白いな”というふうに思えることが常に出来ているので、自分にとってはいい2年間だった」と、ポジティブな表現で会話のボールが返される。
 「面白いと思えることが常に出来ている」という言葉を逃さず拾い、さらにその捉え方を紐解いていくと、「“面白いな”と思うには、大変なこともないとそう思えない」「逆境の方が面白い」「たまにいいことがあるから、やっていて面白い」「立ち位置がどこかをしっかり見つめながら目標を定めなければ」・・・といった、その場の空気がどんどん晴れていくような言葉が続く。そして、コンサドーレ札幌は、「一歩ずつ、少しずつ進んでいる感じはします」と常に前を向く。

 問いを進めると、野々村さんが人生の第三ステージとしての今のポジションで、どんな思いでどんなことに取り組んでいるのかが浮かび上がっていく。
 そのひとつには、長年サッカーで育てられてきた者として、そのまだまだ伝えきれていないサッカーの魅力をもっと知らせる役割を果たしたいということ。そして、勝ち負け以上に分かち合いたい価値がサッカーにはあるのだということ。さらには、地域にあるクラブチームを住んでいる人達皆で支えるということは、スポーツ文化を支える大事なことなのだということ。それをもっと働きかけていきたいということ。
 そして、そういった言葉以上に、「ほんとうにサッカーって凄いんだ!競技場で観たことのない人も一度来て、観てみて!絶対面白いから!来てみたらその魅力をわかって貰えるから!」と、サッカーの醍醐味を分かち合いたいのだという思いが伝わってくる。
 サッカーって、そのまま人の人生に投影できるからこんなに世界の人達に愛されているのだと思うという信条を表現してくれたのは、「宝ものは何ですか」の聞き取りの時。
 「人生には、野球の満塁ホームランのようなことってありえないでしょう?」と切り出し、「サッカーは1点1点を入れていくしかない。それがどれたけ大変なことか」と思いを込め、だから、世界中で皆がそんなサッカーに自分の人生を照らし合わせて感動するんだよと、続ける。サッカーこそ人生そのものなんだと。

野々村芳和さん 野々村さんは、チームの資金力を上げていくということも今自分がやるべき大事なことと力を込める。各地域のクラブチームの規模は皆違い、それはそのまま選手獲得にも反映され自ずとチームの実力と比例する。コンサドーレ札幌の強化費の現実では実力はj2で10番目位であり、今後さらに収入を上げて資金力を付けランクも上げるためには、チームが強いか弱いか以外のところにどれだけ魅力があるかを伝えていかなければならない。それが自分の今のミッションなのだと言う。
 即戦力のスター選手を資金力で揃えることが出来なければ、北海道の若い力を育成し、道民皆で彼らの成長を見守っていく。子供達の才能の掘り起こしにも繋がっていけば、観戦にも地域の思いが込められる。また、ベトナムなどの有名な選手を獲得することで、東南アジアの注目を北海道に集めることが出来、北海道サッカーの知名度も上げていけると話し、足りないものが沢山ある現状からどう出来ることを見つけていくかといった「1点1点」の積み重ねで将来のコンサドーレをより良く変革してゆくビジョンを語ってくれた。
 そして、「どんな状況の中でも面白さを見つける」野々村さんのそんなポジティブシンキングを支えるのは、言葉の端々に何度も出てくる「スタッフ」「仲間」「みんな」といった「志を同じくする人」なのだろう。「宝もの」は「サポーター」と迷いなく答えた言葉からも、今多くの人達と北海道のサッカーを魅力的なものにしていこうという強い思いが伝わり、チームで取り組むスポーツの味わいを改めて感じさせて貰ったインタビューだった。

 新しい年、私達の毎日も何かに向かって愚直に1点1点入れていくような日々が続くだろう。野々村さんの言うように、満塁ホームランなんて市井の暮らしの中ではありえない。
 でも、「だからこそ」だ。一発逆転は無いかもしれないが、1点の積み重ねを目標に自分に勝って走り切れた達成感で、深く何かを見いだすこともあるかもしれない。
 そして、人の中に息づく力は、自分だけで発揮することは難しい。いろいろな人の間で引き出したり、引き出されたりで次第に本物になっていく。

 この2015年も、そんなふうに前を向いて何かに取り組む北海道の魅力的な「元気びと」を、スタッフ一同力を合わせてご紹介していきます。
 ラジオをお聴きの皆さんと大切なものを共有できますように。
 今年もどうぞよろしくお願いいたします。 

(インタビュー後記 村井裕子)

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