8月19日放送

 コーチングを学び始めて気づいたことが沢山ある。
 コーチングは、コーチが質問することにより、相手がすでに持ちながらまだ意識していない答えを引き出したり、視野を広げ視点を変えることで気づきを促したり、まだ認識出来ていない内なる資源を明らかにして行動をサポートする係わりだが、重要なのは「正しい答えを出させる」ことではなく、問いかけによりその人自身が「自分で考えるようになる」ということ。
 目から鱗の発想だった。
 「私はどうしたい?」「私はどう判断する?」、その自分の心と向き合いひとつひとつを言葉にしていく習慣が、「私はどう生きていきたい?」というビジョンに繋がり、実際にどう行動すればいいかを選択する力に繋がっていく。

中脇まりやさん 「ほっかいどう元気びと」、今回は学生主体のボランティア組織「みちのくkids」の代表、中脇まりやさん。東日本大震災の被災地から札幌に避難している子どもたちを支援する団体のリーダーとして140人の先頭に立つ。
 北海道教育大の4年生だからまだ22歳と若い年代だが、彼女と話していると、インタビューに答えるその言葉の発し方がとても真っ直ぐで爽やか。まさに、自分にいつも何かを「問いかけ」、「考える習慣」を身に付けているということが伝わってきた。

 「あなたの宝ものはなんですか?」という、マイクのスイッチを切った後の恒例の問いかけに、中脇さんは、「う~ん・・・」と、ゆっくりしっかり考える。
 この相手の沈黙も大事な時間だ。相手が、自分の心に深く潜っていき、底にある本当の思いを探している時間。その本当の思いが言葉になる瞬間を待つ楽しみも味わい深い。

中脇まりやさん 中脇さんは、考えた末のその答えを「ささいなことでも、幸せを感じられること」と表現してくれた。
 散歩が大好きという中脇さんは、天気のいい日、青空のもと、季節の花を見ながらゆっくり歩く時間が何よりの宝ものと言う。景色を見たり、カフェでコーヒーを飲んだり、好きな友達と会って話したり。そんな「ささいなことを幸せと思えることが幸せ」と。
 震災を境に「幸せってなんだろう」と考える人が増えたと言われているが、中脇さんも、去年から「本当の幸せって何?」とか、「自分にとって働くって何だろう?」とか、何度も何度も考えたのだという。

 面倒がらずに自分と対話することで、自分で自分の深いところに答えを取りに行く習慣ができる。中脇さんは素直な気持ちで何度も問いかけたのだろう。散歩という、自分と向き合う贅沢な独りの空間のなかで。

 そして、この被災者支援というボランティアに取り組んだことでゼロからでも何かを形にしていけるのだという自信のようなものが出来た、と中脇さんはいきいきとした表情で話す。一から組織を立ち上げ、模索し、次の年代に繋げて行く活動こそが、多くの人たちと話して沢山の課題を解決し、答えを出していくトレーニングそのものだったに違いない。

 正解は、実はひとつではなく、視点によっていくつもある。
 大切なのは、答えを導き出そうと考える習慣。自分で判断し、選び、行動していく力。
 中脇さんたちがやってきたことは、「○×」でひとつの答えを出す試験以上にどれほど社会に出た時に役に立つだろう。
 「みちのくkids」のような学生主体のボランティア団体は、札幌周辺だけでも11団体あり、それぞれが連携を取りながら活動を続けていると聞き、若い世代への頼もしさでいっぱいになった。

 若い人達にとって働くことが厳しく難しい時代と言われるが、彼ら彼女らの中にある宝ものをもっともっと引き出し、それを活用できるような場を作っていくことが私たち大人の役目なのだろう。
 「そのために、私が出来ることは何か?」
 きらきら光る資源を内に持つ中脇さんと話したことをきっかけに、私は私にそんな問いかけを続けている。

 次の世代の「ヤング元気びと」たちこそ、これからの北海道の大切な宝ものなのだから。

(インタビュー後記 村井裕子)

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