番組審議会だより

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-第688回番組審議会-

開催日時

2023年6月20日(火)15:31~17:01

開催場所

北海道放送 役員会議室

出席の状況

委員総数 8名/出席委員の数 8名

出席委員の氏名 委員長:田尻 忠三
副委員長:安部 真弥
委員:原田 憲朗
委員:菅原 亜都子
委員:佐々木 啓
委員:河治 和香
委員:伴野 昭人
委員:大﨑 雄樹
会社側の出席 勝田 直樹 代表取締役社長
伊藤 弘二 常務取締役
土門 哲也 常務取締役
小玉 満 オーディオビジネス局長
長嶋 潤二 メディア戦略局長
羽二 生渉 報道・デジタル編集・スポーツ担当局長
藤枝 孝文 情報制作担当局長
吉田 隆志 コンプライアンス室長
メディア戦略局 吉田 智彦 編成部長
メディア戦略局 牧野 秀章 アナウンス部長
コンテンツ制作センター 磯田 雄大 報道部長
コンテンツ制作センター 山岡 英二 情報制作部長
オーディオビジネス局 田村 隆行 編成制作部長
コンテンツ制作センター 山﨑 裕侍 番組プロデューサー
コンテンツ制作センター 貴田岡 結衣 番組ディレクター
コンプライアンス室 市川 弘之 番組審議会事務局長

審議会の様子

番組審議会の様子(写真)

議題

テレビ番組「閉じ込められた女性たち~孤立出産とグレーゾーン~」(5月28日放送)

議事の概要

月次報告

編成部(テレビ番組関連)

視聴率、6月の主な単発番組

報道部(報道番組関連)

千歳などで震度5弱の地震の対応、放送文化基金賞ドキュメンタリー部門で最優秀賞、ドキュメンタリー番組の放送
ドキュメンタリー「閉じ込められた女性たち~孤立出産とグレーゾーン~」

編成業務部(ラジオ番組関連)

イベント

委員の主な発言

  • 遺棄事件の発生時、「何と無責任な母親なのか」というのが自分の印象で、孤立出産が大きな社会問題であることさえもそもそも知らなかったので、今回の番組は大変勉強になった。支援組織の所長が明るい笑顔で力強く言った「連絡してくれたら道は開ける。お母さんも赤ちゃんも何とかなる」という言葉に感動した。
  • 若年女性の支援活動をしていると、取材対象を紹介する際にはその女性が尊重されるか心配するものだが、よほどの信頼関係を作り上げて取材したのだなと驚いた。ただ「グレーゾーン」という用語は、医療や福祉の現場では普通に使うけれど一般で使うのには疑問符がつくイメージがあり、孤立出産を作り出すのはグレーゾーンの方、というステレオタイプを強化してしまわないか危惧する。
  • 日本の社会にある家族規範とか、男性社会の問題というのも見えてきたような感じがした。番組は高く評価されるものだと思うが、孤立出産の問題は必ずしも性風俗産業に限らず、殊に今回のコロナ禍では女性が経済的苦境に陥っており、性風俗に限られた問題だと矮小化してもし見られたら残念だなと感じた。
  • 支援につながれるかどうかが孤立出産の明暗を分けるのかなと思ったが、情報につながれても利用できない人がいる。被告がそのようなタイプで、グレーゾーンの存在は見つけるのがそもそも難しいうえ、成長すると身に着けた処世術で対処しがちで、そうした人にどういう支援ができるかが重要なのかなと思う。
  • 番組は、女性・男性問わず、年齢も問わず、生きづらさを抱えた人たちが非常に苦しい思いをして社会の中で何とか生きていることにも目を向けていたと感じた。優秀な学生と関わりの中でもそうした人の存在は実感するところで、低年齢の時代からの支援に官民上げて取り組むべきではないかと個人的には思った。
  • 望まない出産に直面した場合の女性の問題、風俗産業の問題、知的障害やメンタルの問題を抱えた人の問題が相互に複雑に絡み合い、千歳のような事件が起きたのは理解できたが、それぞれが深い問題性を抱えているので、焦点が少し拡散してしまったかなという印象を持った。例えば様々な世代の男女を集め、これらの諸問題について議論をさせるといった場面を作ってもよかったのではないか。
  • 番組は、支援やセーフティネットの存在を知らせる意義も持っていると感じたが、風俗と孤立出産、グレーゾーンと孤立出産というひも付けがどうしても感じられるところがあり、それに当てはまらない人の支援の形が、視聴者にはいまひとつクローズアップされないで終わってしまった感を覚えた。
  • 問題の焦点は取材された方向と少し別の、根本的な日本独自の社会通念みたいなところにあるのではないか。なぜ女性だけが責任を取らなくてはいけない?は素朴に感じるが、そのくせ中絶の時だけは男の存在が必要で、女の腹は家の物みたいな思想が残っている気がする。何か目に見えない世間の圧力とか、女性を孤立に追い詰めていくものを、もう少し描けなかったかなという気が少しした。