卓田の「これ聴いてみればいいっしょ」 バックナンバー

2022年11月

11月27日の1曲

「Fantasy」中原めいこ(1982年)

卓田のひとこと

シティポップ・ブームもあって海外でも人気を獲得している中原めいこさんですが、中でも海外のシティポップ・ファンに人気を得ているのが「Fantasy」。1982年12月21日リリースの2ndアルバム「2時までのシンデレラ~FRIDAY MAGIC」の1曲目に収録されているナンバーで、当時人気のあったディスコ音楽の「ブギー」とか「エレクトロ・ファンク」と言われる生楽器と電子楽器を組み合わせた、オシャレなサウンドがベースになっています。当時高校生だった私は、少しずつ邦楽よりも洋楽を聴く割合が増えつつあって、買うレコードも洋楽が6:4から7:3くらいになりつつありましたが、そんな洋楽かぶれになっていた私の耳でも中原めいこさんの曲は「カッコいいな」と思えるものが多くて当時一般的に使われていた「ニューミュージック」と呼ぶのがダサいと思わせる洗練された音楽でした。おまけに中原さんの書く歌詞やメロディもいい。歌も上手いと、もう才能の塊みたいな人だと思いました。1stアルバム「ココナッツ・ハウス」から3rdアルバム「mint」までの3枚は、当時よく聴いてましたし、「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね」以降の中原めいこさんしか知らない方には、ぜひ最初の3枚のアルバムは聴いて欲しいと思います。

11月20日の1曲

「感謝知らずの女」井上陽水(1972年)

卓田のひとこと

1972年5月1日にリリースされた1stアルバム『断絶』に収録されている曲で、7月に「傘がない」とともにシングルカットされています。実は私が小学4年生の時、初めて自分の小遣いで買ったレコードがこの「傘がない」でした。「傘がない」は陽水さんの代表作のひとつ。もちろん良い曲ではあったのですが、小学生には歌詞がちょっと重々しく、B面の「感謝知らずの女」のほうが軽快なリズムとキャッチーなメロディが妙に耳に残って、ついつい口ずさんだりしていました。この曲は、ある好きな女性がいて、その人に高い洋服とかアクセサリーとか買ってあげて貢いだものの、文句ばかりで感謝してくれない。「ありがとう」の一言がなぜ言えないのか?という何とも侘しい歌詞。じゃあ、その女に愛想を尽かして嫌いになるのかと言えばそうでは無く「たとえこの世が終わっても僕はあなたを愛すだろう。しかしあなたはこの愛を当たり前だと思うのだろう」と半ば降参しています。さんざん揶揄しながらも嫌いになれないところが可愛いというか、サザンオールスターズの「ミス・ブランニューデイ」にも相通じるような面白さがあります。

11月13日の1曲

「Only My Love」松田聖子(1980年)

卓田のひとこと

松田聖子さんの2ndアルバム『North Wind』のB面1曲目に収録されている曲でファンの方ならよく知っている曲ではないかと思います。当時私は中学3年で、それほど聖子ちゃんのファンというわけではなかったのですが、クラスの大半の男子が「聖子ちゃん可愛い」みたいに騒いでいて、私も歌や曲は好きだったので友達からレコードを借りてカセットに録音して聴ていました。で、この『North Wind』もよく聴いていて、中でも特に気に入っていたのがこの曲。1981年3月からスタートした聖子ちゃんがパーソナリティを務める『夢で逢えたら』というラジオ番組のオープニング曲として使われていて、私の地元の岩手ではネットしていませんでしたが、ニッポン放送の電波をキャッチして聴いてました。聖子ちゃんのラジオトークは結構面白くて、『夢で逢えたら』の前にも『ザ・パンチ・パンチ・パンチ』という当時HBCラジオでもネットしていた番組も担当していたのですが、話し方が「ぶりっ子」な割に下ネタにも動じずぶっちゃけトークで、明るくて面白い子だな~なんて思いながら聴いていました。

11月6日の1曲

「花の色」渡辺典子(1984年)

卓田のひとこと

薬師丸ひろ子、原田知世とともに「角川三人娘」と言われ、女優、歌手として活躍した渡辺典子のデビューシングル。この曲と「少年ケニヤ」という曲が両A面としてリリースされたんですが、「花の色」は作詞 三浦徳子・作曲 財津和夫という松田聖子「チェリーブラッサム」「夏の扉」コンビ。「少年ケニヤ」は阿木燿子&宇崎竜童コンビという豪華作家陣で、制作サイドの気合の入れ方が伝わってきます。アイドルとしての人気は、薬師丸ひろ子さんや原田知世さんに及ばなかった渡辺典子さんですが、個人的には1番好みで、なんと言っても美形のルックス。当時高校3年の私は速攻でこのシングルレコードを買いました。歌手としての活動は4年で休止となりましたが、女優としては90年代に入っても活躍は続き、中でも1995年にTBS系の昼ドラ、『花王 愛の劇場』枠で放送された『とっても母娘(おやこ)』が印象的でした。31歳のシングルマザー役の渡辺典子が、奥菜恵さん演じる15歳の娘を女手ひとつで育てる…と言う内容で、のんびりした性格のお母さんとしっかり者の娘のやりとりが面白く、またホントの親子かと思うくらいそっくりでした。

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