卓田の「これ聴いてみればいいっしょ」 バックナンバー

2022年2月

2月27日の1曲

「Groove A・Go・Go」杏里(1989年)

卓田のひとこと

この曲は、1989年にリリースされた杏里さんの13枚目のオリジナル・アルバム「CIRCUIT of RAINBOW」に収録されている曲で、1989年春に放送されたフジテレビのドラマ『ハートに火をつけて』の主題歌に起用されていました。シングル・カットされていないにもかかわらず、この曲で83年の「CAT'S EYE」以来6年ぶりに紅白歌合戦に出場したり、複数のベスト・アルバムに収録されるなど、とても印象的な1曲です。私はドラマでこの曲を知ったのですが、この『ハートに火をつけて』はまさに絵に描いたようなトレンディドラマで、出演は当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった浅野ゆうこさん、柳葉敏郎さん、かとうかずこさん、鈴木保奈美さん、田中美佐子さん、布施博さん、風間トオルさんと、トレンディドラマの常連俳優が顔を揃え、さらに三浦洋一さん、高嶋政伸さんらが脇を固めるというバブリーなキャスティング。浅野ゆうこさんはテレビ制作会社のディレクター、ギバちゃんはテレビ局のプロデューサーという典型的業界ドラマで、とにかく華やかでオシャレでした。そんなドラマの「オシャレ感」を一層際立たせていたのが、この曲でした。

2月20日の1曲

「OH SHINY DAYS」TWINZER(1992年)

卓田のひとこと

TWINZERは、実力派シンガーの生沢佑一さんを中心に結成された音楽プロジェクト。生沢さんが本格的に音楽活動を始めたのは1974年、16歳の頃で、アイドル歌手やGSのバンドメンバーとして活動していました。1983年には欧陽非非など多くのアーティストの競作で話題となった「ラヴ・イズ・オーヴァー」をリリース。90年代にはビーイング系のレコード会社に所属し、B'zやWANDS、ZARD、DEENなどのレコーディングにもコーラスで数多く参加していました。その一方で、生沢さん自身のプロジェクトも始めようと結成されたのがTWINZER。「OH SHINY DAYS」は、1stシングル「LEAVE ME ALONE」のカップリング曲「SUMMER DAYS」の歌詞を大幅に変えて再リリースしたもので、大塚製薬「ファイブミニ」のCMソングとして使用され、オリコンチャートで最高12位のヒットになりました。バックコーラスにはWANDSの上杉昇さんや、Mi-Keの宇徳敬子さんも参加しています。ブルース調の曲で、とにかく渋い声と素晴らしい歌唱力にグイグイ引き込まれてしまいます。

2月13日の1曲

「はだしで地球を駆けるのさ」トランザム(1978年/「Come on in. Coke '78」コカ・コーラCMソング)

卓田のひとこと

GS期から活躍するドラマー&作曲家のチト河内さんを中心に、実力派ミュージシャンが集まり1973年に結成されたロックバンド「トランザム」。しかし、結成からわずか1年の間にチト河内さん以外のメンバーが入れ替わります。リードボーカルとして高橋伸明さんが加入してからは、その爽やかでパワフルな歌声で数多くのCMソングやTV番組のテーマ曲を手掛け、1970年代後半を中心に、その数は100曲以上になります。そんなトランザムのCMソングの中でも、私の印象に残っているのが1977年~78年に手掛けたコカ・コーラ。「あふれる光の中で」という曲と「はだしで地球を駆けるのさ」の2曲があるのですが、今日は78年のCMソング「はだしで地球を駆けるのさ」をピックアップしました。当時のコカ・コーラのCMは、アメリカ人の若者が出演してスケボーとか乗馬などのアクティビティをする映像。そこに流れる高橋さんの伸びやかなボーカルがめちゃくちゃ爽やかでコカコーラにピッタリでした。高橋伸明さんは、残念ながら2015年に胃潰瘍のため65歳の若さでお亡くなりになっています。実力的には、もっと一般的に高い評価を得ても良いバンドだったのでは?と思います。

2月6日の1曲

「イン・ザ・スペース」スペクトラム(1979年)

卓田のひとこと

1979年結成の8人編成のブラス・ロックバンド「スペクトラム」。1979年8月に「トマト・イッパツ」でデビュー、コミックソングのようなタイトルですが、ディスコ好きにはたまらないノリノリのサウンドで「日本のアーティストでもこんなサウンドが作れるんだ」と、当時中学生だった私はビックリしました。それからわずか2ヶ月後の11月1日にリリースされた2ndシングルが「イン・ザ・スペース」 この曲は、完全にアース・ウインド&ファイアーです。サウンドだけでなく、新田一郎さんのファルセットのボーカルも、フィリップ・ベイリーっぽい感じ、衣装がまたド派手。古代ローマの戦士のような甲冑に、北欧のバイキングみたいなヘルメット。コスチュームに1000万もかかったそうです。そんなド派手な衣装を着た彼らが横一列に並んでパフォーマンスする姿は面白かったですね。あまりに見た目のインパクトが強すぎて「アースもどきの色ものバンド」みたいに見られることもありましたが、その高い演奏力と音楽センスは、当時の日本では類を見ないものでした。とにかくカッコイイ!

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