卓田の「これ聴いてみればいいっしょ」 バックナンバー

2021年11月

11月21日の1曲

「哀 戦士」井上大輔(1981年)

卓田のひとこと

アニメ「機動戦士ガンダム」劇場版2作目の主題歌。井上大輔さんは、1960年代に一世を風靡したグループ・サウンズのバンド「ブルーコメッツ」で活躍したのち70年代には作曲家に転身し、数々のCMソングや「学園天国」「ランナウェイ」といったヒット曲も生み出しました。「機動戦士ガンダム」の総監督で「哀 戦士」の作詞も担当した富野由悠季さん(作詞のペンネームは井荻 麟)とは日大芸術学部時代の同級生で、「アニメという枠を超えてヒットする曲を作ろう」という2人の思惑が一致し、このキャッチーなナンバーができました。ごく普通の人たちが戦争の渦に巻き込まれ、愛する人を守るために名も知らぬ戦士を討ち、それが殺人であることに気付き血ヘドを吐く。そして最後には「哀しみ」の「哀」だけが残るという、LOVEの「愛」と哀しみの「哀」をテーマを軽快なロックに載せて歌い上げた名曲。実はHBCレコード室でこの曲を検索していたまさにその時、ふと窓越しに廊下を見ると、何と目の前を富野由悠季さんが横切っていくという奇跡が…。特別展「富野由悠季の世界」の関係で番組の収録を終えた後だったようです。

★特別展「富野由悠季の世界」は、北海道立近代美術館で2022年1月23日まで開催

11月14日の1曲

「男のくせに泣いてくれた」森田童子(1976年)

卓田のひとこと

1976年リリースの2ndアルバム「マザースカイ」に収録され、1993年にはドラマ「高校教師」の挿入歌にも使われた曲。この曲がリリースされた昭和51年はまだジェンダーフリーとは程遠い時代で、「男らしさ」「女らしさ」が当たり前に求められていた頃。そんな時代に、いわゆる男の女々しさを肯定的に捉えたこの曲には、とても優しい空気が流れています。ドラマ「高校教師」の中では真田広之さんが桜井幸子さんと公園のベンチに座りオイオイ泣くシーンでこの曲が流れていたのが印象的でした。その年「ぼくたちの失敗」がシングルとして再リリースされた時には、カップリングとして収録されました。唯一無二の不思議な魅力で多くの人を惹きつけた、森田童子さん、残念ながら2018年4月に66歳の若さで亡くなっています。

11月7日の1曲

「祈り花」平井大(2011年)

卓田のひとこと

平井大さんは、2011年、20歳の時に自身の曲がハワイ最大規模のイベント『ホノルルフェスティバル』のイメージソングに起用されたことで注目を集め、2013年にメジャーデビュー。着々とファンを増やしてきています。2015年にリリースされた「Slow & Easy」が、当時ファイターズにいた陽岱鋼選手の登場曲に起用され、私もそれをきっかけに平井大さんを知りました。それから他の曲も聴くようになり、ライブも2回ほど行きましたが、曲も良い、歌も上手い、ウクレレや ギターの演奏も上手で、何より歌詞が良い。「今そこにある日常の風景や、そばにいる愛する人を大切にしよう。前だけ見てたら見失う物があるよ」「幸せは作るものじゃなくて気付く事なんだよ」みたいな、私が50年かけて気付いた事を20代の若造が歌っている事に衝撃でした。そんな平井大さんがインディーズ時代の2011年にリリースした「祈り花」。亡くなったおばあちゃんに向けて作った曲で、大切な人への愛が溢れる曲です。

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