ほっかいどう元気びと

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2019年2月3日のゲスト

廣田 大さん
札幌夜景ナビゲーター/夜景鑑賞士
廣田大さん

札幌市出身 42歳。
大学卒業後、9年ほど「株式会社ニトリ」に勤め、内3年間は東京に勤務。
退職後北海道に戻り、現在はホテルマンとして働く傍ら札幌シティガイド、北海道観光マスターなど多数の資格を取得し、北海道の魅力を伝える「スーパー道産子」を目指して様々な活動をする中、2017年からは「札幌夜景ナビゲーター」としても活動している。

村井裕子のインタビュー後記

 「一隅(いちぐう)を照らす」・・・この後記でも何度か書いたが、東日本大震災以降、この短くも深い言葉がいつも頭のどこかで響いている。それぞれの場所でそれぞれが役目を果たす。個々がそれぞれの出来ることをする。何も“活躍すること”だけに限らない。誰かに笑いかけるのでも、良き想いを持つことでも、誰かのために祈ることでもそれは灯りだ。そうやってそれぞれの“ひとすみ”が照らされれば、全体が明るくなる。個々の力が合わさって全体の力が増していく。私はこの言葉をイメージする時、北海道の形に灯りが点灯する鳥瞰の景色が頭に浮かぶ。点々だった灯りが無数に広がってひとつの眩い灯りになっていく未来を想像する。そして、石狩平野の一隅でかすかに発光する小さな小さな私の点を自分なりの方法で灯し続けようと思う。そんな映像を心に浮かべると、また少し力が湧いてくるような気がするから不思議だ。今回の『ほっかいどう元気びと』で、札幌の夜景を熱く語るゲストと話していて、そんな映像がシンクロした。

廣田大さん お話を伺ったのは、「札幌夜景ナビゲーター」の廣田 大さん 42歳。札幌市内のホテルでフロントマンとして働く傍ら、札幌観光を夜景で後押しする活動に力を注いでいるという。ただ単に“札幌が好き”だけではなく、札幌シティガイドや北海道観光マスター、北海道フードマイスターなどの資格、勿論、夜景鑑賞士(現在2級)としての知識を活かし、“夜景のエキスパート”という立場で札幌の観光と食の魅力を広めていきたいとのこと。なぜ夜景なのか、どんな夢を描いているのかを聞かせていただいた。
 札幌が「日本新三大夜景都市」に最初に選ばれたのが2015年。3年毎の選定により2018年にも長崎市、札幌市、北九州市の順位で再認定。この冠を活かさない手はないと札幌市も比較的新分野である夜景観光に力を入れ、「札幌夜景ナビゲーター」を募って現在50人がキャンペーンバスのガイドなどで観光PRの下支えをしているという。
 そう言えば・・・とふと思う。私自身は夜高いところから街を見下ろすなどというロマンチックでムーディーなシチュエーションとは全く別世界の日常に楽しみを感じているなぁ、ここ何年も意識したことが無かったなぁ、と。札幌夜景は今何が凄いのだろう。・・・改めてその魅力を訊いてみると、“港町では見ることが出来ない、平野にどこまでも広がっている光”が感動的とのこと。なるほど、なるほど。北海道特有のダイナミズムが光を伴って眼下に広がり感動を呼ぶということなのだろう。“夜景のじゅうたん”とも評されるその広大な眺めは長崎や神戸からの観光客をも唸らせるほどだそうで、その心揺さぶる感動を観光客だけではなく市民にも是非味わって貰い、道外から来た人達に一丸となってこの街の良さを伝えていきたいのだと廣田さんは力を込める。

廣田大さん 廣田さんがこういった活動に向かって行ったのは、9年勤めた会社を辞めたことがきっかけだったという。株式会社ニトリの社員だった廣田さんは、東京勤務の3年間で北海道の恵みの豊かさに気づき、やはり自分は地元でその良さを伝えていく取り組みに関わりたいと退職。実家の岩見沢に戻っている間に、「今後、自分はどうやって生きていきたいか」を考えたのだそう。人生一回しか生きられないとしたら一番何をしたいかと自問自答して出てきた答えが、「好景気不景気や流行る流行らないにかかわらず、食と観光は北海道である限り永遠のテーマになり得る。食べることも好きな自分はそのお役に立ちたい」という思い。そのために自分自身はどの分野のエキスパートになれるかと考え、他の人がまだそれほど専門性を確立していない“夜景”で第一人者になろうと学び始めたのが第二のステップの始まりだったという。
 “オリジナルの道”・・・。人が生きていく上で、仕事でも活動でも、そういう何かの分野で“自分だからこそ”を見つけることが心の幸せへの第一歩だと私自身も常々感じている。それを深める学びや努力なら辛さではなくすべて楽しみに変わる。自分の分野を追求し、それが誰かの役に立つ、地域の役に立つ、人の心を感動させるという取り組みに繋げられれば、それこそ人の一生の生きがいに繋がる。
 廣田さんは収録後にも語る。「僕は、以前は主体的に動いて道を決める方ではなく、すべて人が準備したレールに乗ってきたようなところがありましたが、今はほんとうにやりたいことが見つかってほんとうに楽しい」と。ホテルマンの仕事に従事する傍ら、さらに学びを続け、夜景観賞士1級取得にチャレンジしたいとも。1級ともなれば合格率5%の狭き門なのだそうだが、北海道ではまだ1人しかいないという1級を持つ“夜景マイスター”に必ず自分もなって、“スーパー道産子”を目指すのだと最後まで熱く語っていた。

 「一隅を照らす」。そのひとつひとつの灯りは、光らせよう光らせようと思って発光しているのではなく、一心に想いを込めて自分ならではの目標に向かっているうちにそれぞれの内側の光がにじみ出てくる・・・そのことに意味があるのではないかと思う。
 灯りにもオレンジ色に光る「ナトリウム灯」もあれば、白色に照らす「水銀灯」もあるなど、一口に夜景と言っても色は都市によって違うと廣田さんは“夜景豆知識”を沢山教えてくれた。北海道を支えるひとりひとりの“光”もいろんな色合いがあっていい。ひとりひとりのオリジナルの明度や彩度が集合体となって光り続ける大地を力強くイメージしていたいと改めて思う。

(インタビュー後記 村井裕子)

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