人口減少期に入った札幌市 就任10年目の秋元克広市長に単独インタビュー 課題の住民負担やサービス維持 求められる丁寧な説明
2025年06月23日(月) 16時38分 更新
ドームを含むまちづくりに加えて、札幌市が直面している課題が人口減少です。
さまざまなサービスの見直しが迫られる中、市側にとっては、今まで以上に丁寧な説明を求められる局面を迎えています。
北陸に悲願の新幹線が開通した2015年。
札幌では秋元克広氏が市長に就任しました。
市政の舵を取って10年、まちの人に秋元市長の印象を聞くと。
市民
「それなりにやってるかな」
「あまり印象はない」
「ちょっと気難しそう」
元・市職員で手堅いイメージを持たれがちな秋元氏ですが、HBCの単独インタビューでこの10年間意識してきた課題を語りました。
秋元市長
「次の50年100年を見据えた形での札幌のまちをどうしていくかに注力してきた。人口減少期に札幌が入っていきます」
いまも195万人が住んでいますが、2020年をピークに減少。
再び上向くことはないといわれています。
さらに、このままでは高齢者1人を現役世代がほぼ1人で支えなければなりません。
秋元市長
「人が少なくなっても維持していくような体制や効率化を考えていかなければと思うし。年齢構成が変わってくるので負担のあり方やサービスのあり方も議論していかなければいけない」
サービスの見直しの一つがこちら。
運転手不足などで路線バスの維持が難しくなっているため、札幌市南区や札幌市手稲区の一部で利用者の予約に応じてAIがルートを選ぶ「デマンドバス」を導入しました。
札幌の人口問題に詳しい専門家は。
札幌市立大学デザイン学部・丸山洋平准教授
「(路線バスの)本数を減らすと不便になるからより利用しなくなって今のような状況になっている。発想を変えていくというのがいろんなシチュエーションで必要」
ただ、サービスを見直す際には市民との丁寧な議論が欠かせません。
敬老パス利用者
「ポイント貯まるよりストレス溜まる」
「敬老パス」の見直しでは、市がスマホアプリによるポイント制度への移行案を示したところ、一部の利用者が猛反発。
高齢化で財政負担が増え続けることや「健康増進」などの理由を「市民に共有できていない」と反省し説明の資料を作りましたが後手にまわった形でした。
市民に理解を得ることの難しさは、こんな場面でも。
冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動です。
「人口が減りゆく札幌に、なぜオリンピックが必要なのか」を説明しきれず、一部の市民からの根強い反対で事実上の撤退に追い込まれました。
秋元市長
「現状どういう状況にあって次にどういう方向に行くべきなのか(市民と)同じ土俵に立たなくてはいけない。意見をうまく政策の中に取り入れる手法を残り2年の中で取り組みたい」
札幌市の将来に向けて必要な政策をどう実現していくか。
市民に対する行政の発信力が問われます。