釣りの名所で川釣り中に転落 4歳男児死亡 事故はなぜ起きた?専門家が指摘“取水口近くでの釣りは危険”“水温はまだまだ低い”北海道上富良野町
2025年05月12日(月) 20時06分 更新
休日に起きた水の事故で、幼い子どもが命を落としました。
通報内容
「子どもが溺れている」
11日午後3時半ごろ。
北海道上川地方の上富良野町を流れるベベルイ川で、父親と兄の3人で釣りに来ていたキャドバリー・岳エドモンドちゃん4歳が「溺れた」と警察に通報がありました。
村田峰史カメラマン
「親子はこの辺りで釣りをしていたということです。川を見るととても深いように感じます」
男の子はその後、近くにある深さ3メートルほどの貯水池で発見されましたが、搬送先の病院で死亡が確認されました。
ライフジャケットは、着用していたということです。
男の子が転落したとみられる、上富良野町のベベルイ川は、大雪山系からの雪解け水が流れ込む一級河川です。
親子が釣りをしていた現場のすぐそばには、川から水を引き込む取水口があり、男の子は250メートルほど離れた貯水池で見つかりました。
水に落ちた後、貯水池まで流されたとみられています。
村田峰史カメラマン
「こちらの取水口から貯水池に水が送られているのですが、水の流れはすごく早く感じます」
釣り人の間で、さまざまな魚が釣れる名所として知られているという、ベベルイ川。
男の子の父親は警察の聞き取りに対し、「釣りざおを振っていた間に、子どもの姿が見えなくなった」と話しているということです。
現場近くの住民
「息子も小さいときに(現場の)川で遊んでいて危ない目に遭った。ちょっと先に進んだら足も届かないくらい深いところもある」
北海道内では毎年、川や海での事故が後を絶ちません。
4年前には、札幌市南区のさっぽろ湖で水遊びをしていた当時小学2年生の男の子が溺れて死亡しました。
7年前には、札幌市の豊平川で男子高校生が川に流されて、命を落としています。
2020年以降に水難事故に遭った高校生以下の子どもの人数です。
2023年は16人に上っています。
水難学会の斎藤秀俊理事は、親子が今回、取水口の近くで釣りをしていたことについて、その危険性をこう指摘しています。
水難学会 斎藤秀俊理事
「頭首工(取水口)から吸い込まれるとき、かなり水の速さが速くなったり、暗きょ(地下水路)を通るということが起こりうる。背浮きでなんとか息継ぎしていたのに、そこで窒息してしまうこともありえる。釣りをするときには頭首工(取水口)の上流では絶対にやらない」
北海道もアウトドアで過ごしやすい季節になりましたが、痛ましい事故が起きてしまいました。子どもの水難事故と、注意点について、詳しくお伝えします。
《解説・水難学会 斎藤秀俊理事に聞いた》
■子どもの水難事故を防ぐための注意点は?
・川や海で遊ぶ大前提として「ライフジャケットの着用」が最も大事
・川の場合、岸から一歩足を踏み入れて大丈夫でも、もう一歩足を踏み入れれば急に深くなることがある
・透明度の高いきれいな水質の川だと目の錯覚で「浅い」と勘違いしやすいので注意が必要
・海の場合は、砂浜にいてもいきなり大波が来て流されることがある。今は大丈夫でも1時間後にどんな波が来るか分からない
■気温と水の関係について
・北海道は5月、6月はまだまだ水温が低い。気温が上がると、水も冷たくないと思いがちだが、実は水温は低くて、あっという間に命を落とすこともありうることを、頭に入れ行動してほしい。
お子さんとレジャーで川や海に行く機会が増えるこれからの事故…どんな準備が必要か、どんな心構えで遊べばいいのか、対策が必要です。