札幌の人気パン店『どんぐり』のキッチンカーに町が沸く 長い行列で“即完売”地元高校生が地域の課題解決へ誘致 北海道羽幌町
2025年07月22日(火) 17時55分 更新
札幌市から150キロ離れた小さな町に、あの人気店が期間限定でオープンしました。
22日、北海道北部の羽幌町にできた長~い行列。札幌市の人気パン店『どんぐり』のキッチンカーが町にやってきました。
並べられたパンは、約10分ほどで完売する盛況ぶりです。買った人は…
「ありがたいです」
「すごいなと思う、学校の授業の一環だと思うけど」
そう、実は地元の高校生が、授業の一環でキッチンカーを誘致したのです。
企画した生徒
「買って喜んでくれたりとか、そういう姿を自分たちも見ることができて、それもすごくいい経験になったし、呼んでよかったなと」
地域が抱える課題を高校生が解決。新しい学びのカタチを、もうひとホリします。
■羽幌町に『どんぐり』出店…授業の一環で高校生が誘致
羽幌町にやってきたキッチンカー。
企画したのは、羽幌高校2年の有野友那さん・芳賀ここみさん・天谷心さんの3人。
なぜ「キッチンカー」を呼ぼうと思ったのでしょうか。
羽幌高校2年 芳賀ここみさん
「羽幌町の地域活性化を挙げて、そのためには何が必要かを考えたときに、地域のにぎわいと新たな雇用創出ができるのが企業誘致だったので、その第一歩として、キッチンカーの出店を考えて、いくつか企業に声をかけた」
こうした地域の課題や解決方法を考えるのが、全国の高校で2022年度から導入された「総合的な探究の時間」という必須科目です。
自分の生き方について考えながら、みずから課題を見つけて、解決していく能力を養う授業です。
■先週は『すき家』が出店
人口5800人弱の羽幌町には、若者が集まれるファストフード店やファミレスなどもなく、にぎわいや雇用の創出につながればと、キッチンカーの誘致を企画しました。
牛丼チェーンの『すき家』も、企画に賛同してくれた企業のひとつです。
先週、災害時用のキッチンカーを派遣し、移動販売しました。
羽幌高校2年 有野友那さん
「いろんなところを調べて、キッチンカーをやっている企業に焦点を当てて調べて」
羽幌高校2年 天谷心さん
「最初年齢は全年齢を対象にやっていたけど、雇用のことを考えると、若い方(が働きそうな店)がいいのかなと」
羽幌高校2年 有野友那さん
「本当にキッチンカーも来てもらえるのか不安だったけど、来てもらえて、みなさんに買ってもらえて、すごい嬉しかった」
■未来を切り開く力を育成
町の未来を考える生徒に担当の教師は…
羽幌高校 今泉恒平教諭
「こういう活動をちゃんとやった方が、結果的に学力伸びてくるなとも感じるし、履歴書や調査書も内容が厚くなってくるので、(この授業は)絶対やっていた方がいいかなと思う」
その第2弾が、札幌の人気パン店『どんぐり』です。
「ちくわパン」をはじめとした魅力的なパンは広く知られていますが、羽幌にやってくるのは初めてです。
羽幌高校2年 有野友那さん
「札幌に行って食べたときに、すごい美味しいなと思って、種類も豊富だし、幅広い年齢に食べてもらえるなと思ったので呼んだ」
町内で販売していた『どんぐり』のキッチンカーは、昼休みの時間に合わせて、高校にもやってきました。
お目当てのパンを買うため、あっという間に行列になりました。今回用意したのは、定番のちくわパンや札幌の本店でしか買えないシナモンロールなど、約16種類。
羽幌町ということで、特産の甘エビとタコを使ったコラボパンもありました。
企画した3人も帽子とエプロンをつけて、お手伝いです!
購入した生徒は…
「おいしそう、ホントにおいしそう。楽しみだった、先週から楽しみしていた」
待ちに待った『どんぐり』のパンは、次々と売れていきました。
どんぐりキッチンカーリーダー若原和史さん
「町の人たちの幸せをテーマに掲げていたので、どんぐりとしても何か手伝いができないかと、今回やらせてもらった。採算はうちは考えていません!皆さんに喜んでもらうことしか考えていないので、皆さんが笑顔になれたら、それで全てOKだと思っている」
「(今後、羽幌の出店は?)そうですね、検討したいと思います」
羽幌高校2年 有野友那さん
「すごい行列で1時間で完売してやってよかった」
羽幌高校2年 芳賀ここみさん
「大人になったときに、仕事でも経験がいきるかと思うので、この経験どんどん次にいかしていければいいなと」
■購入者へアンケート実施して9月ごろ町議や関係者に発表
羽幌高校では、新たな雇用と地域のにぎわいを創出する目的でキッチンカーを誘致。
今後は、購入者へのアンケート結果などをまとめて、9月ごろに町議や関係者に向けて発表するということです。
■他の高校の「総合的な探求の時間」
▼オホーツクの雄武高校では、高校生がマチの特産品をいかした新しいグルメを考案し、「ホタテせんべい」と韃靼そば粉を使った「韃靼ラーメン」を企業が開発。道の駅で開かれた試食祭で商品開発の成果を披露しました。
▼十勝の本別高校では4月、知名度アップや交流人口の拡大を目的に音楽イベントを開催。高校生が地元企業に協賛を募り、アーティストはSNSで出演交渉。人口約6000人のマチに1800人を集客しました。失恋ソングの女王「さとうもか」さんや、湘南乃風のHAN-KUN(ハンクン)さんなどが出演しました。
高校生には、授業を通じて未来を切り開く力を身につけてほしいなと思います。