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30代の夫婦を殺傷、小学生の娘の些細な“いたずら”から凄惨な事件に…「住所を書かせるほどか?どこが傷ついているんだ」でナイフ、58歳の男は殺意を否認

2023年11月17日(金) 09時12分 更新

殺人と殺人未遂の罪に問われている川口被告(去年9月)
殺人と殺人未遂の罪に問われている川口被告(去年9月)

 去年9月、北海道旭川市で、30代の夫婦を殺傷した罪に問われている58歳の男の初公判が開かれ、小学生の子どもの些細な“いたずら”から凄惨な事件に至った経緯などが明かにされました。

 起訴状などによりますと、旭川市の無職、川口和人被告58歳は、近くに住んでいた30代の夫婦、AさんとBさんを折りたたみナイフで何度も突き刺し、死亡したAさんを殺害、重傷を負ったBさんを殺害しようとした罪に問われています。

事件現場は、川口被告の自宅前
 14日午前、旭川地裁で始まった裁判員裁判では、被害者特定事項秘匿制度により、夫婦は匿名にされています。
 冒頭、起訴内容について問われた川口被告は「その件に関しては、弁護士に一任しています」と話すにとどまりました。

川口被告の自宅
 続いて弁護人は「Aさん(夫)を殺すつもりはなく、Bさん(妻)を傷つけるつもりもありませんでした。恐怖心の中での行動で、誤想過剰防衛が成立する。精神状態は心神耗弱、または喪失となり、殺人及び殺人未遂罪は成立しない」と殺意を否認しました。

事件のきっかけとなった玩具の銃のBB弾
 これに対し検察は、冒頭陳述で、犯行に至った経緯を下記のように説明しました。

<検察が説明、犯行までの経緯>

■きっかけは、子どもの些細な“いたずら”
・Aさんの長女(当時11歳)は友人と下校中、被告の住宅前で玩具の銃の弾=BB弾を拾う
・カーポート奥の玄関前に投げつける
・被告はカーポートに設置した防犯カメラの映像を自室で見て、外に出る
・「おまえら、何やってるんだ」と2人を怒鳴りつける
・さらに、友人のカバンを蹴り、中の水筒を凹ませる
・2人に住所と名前をノートに書かせる

事件のきっかけとなった玩具の銃のBB弾
■長女から話を聞いた夫婦は…
・生後7か月の次女も連れ、4人で被告の住宅へ
・Aさんがインターフォンを押すと、被告はナイフをポケットなどに隠して玄関へ
・Aさん「娘がBB弾を投げちゃったみたいで?」
・被告「石を投げられ、傷がついた」
・Aさん「住所を書かせるほどのことなんですか?」
・被告「なに言ってるんだ、やるか?」とナイフを取り出し、Aさんを襲う

事件現場は、川口被告の自宅前
■夫婦を刺した状況
・Aさんは腕を上げて防御し、後退する
・被告は背中などを何度も刺す
・妻のBさんが被告に体当たり
・被告は体当たり後に座り込んだBさんの背中を刺す
・その際「全員、ぶっ殺してやる」と叫びながら何度も刺す

14日午前の旭川地裁
<弁護側の反論>

■被告の精神状態
・夫婦を殺すつもりなどなかった
・危害を加えられると勘違いし、恐怖で精神障害を引き起こす
・善悪の判断ができず、思いとどまれない状態
・Aさんに「どこが傷ついているんだ」などと捲し立てられ、恐怖が膨らむ
・急性ストレス反応で、何が起こっているかわからず、行為の危険性もわからない状態

14日午前の旭川地裁
 殺意の有無や刑事責任能力などが争点になった裁判…このあと、夫婦の長女や妻のBさん、現場で被告を取り押さえた隣人、それに被告の鑑定医らに対する証人尋問などが行われた後、22日に求刑、判決は12月1日に言い渡される見通しです。