米中2つの大国に翻弄される北海道内の水産業者「アメリカ人が好むサイズ感のホタテがとれていない」「検査の順番はいつ」輸出をめぐる苦悩続く
2025年07月31日(木) 20時44分 更新
8月1日、発動期限を迎えるトランプ関税。日米は15%の税率で合意しましたが、北海道の水産業者はアメリカと中国、2つの大国の狭間で困惑しています。
北海道紋別市にある水産加工会社、「丸ウロコ三和水産」です。
この会社では、海外向けに輸出するむき身のホタテの4割にあたる200トンをアメリカに輸出しています。
29日の中国による日本産水産物の禁輸措置以降、アメリカへの輸出量は倍に増えたといいます。
そうした流れに水を差したのが、アメリカのトランプ関税です。
トランプ大統領
「ちょうど歴史上最大の貿易取引に合意したところだ。取引は日本と行った」
7月23日、トランプ大統領が日本に課すとしていた23%の相互関税を15%に引き下げることで日米が合意。
相互関税は8月1日に発動期限を迎えます。
丸ウロコ三和水産の山崎社長は、これまでは無かった相互関税が課せられることに加え、ホタテの大きさが対米輸出の足かせになると話します。
丸ウロコ三和 水産山崎和也 社長
「アメリカが好むサイズ感が去年ほどとれていない。そういう意味では小さいサイズで(関税で)さらに高くなるというような、こういうスタイルになっているから、やはり輸出量は減ると思う」
もうひとつ、頭を悩ませるのが中国への対応です。
中国当局は6月、日本産水産物への輸入を再開すると発表しましたが、この会社では具体的なメドがまだ立っていません。
丸ウロコ三和水産 山崎和也 社長
「検査がいつ順番が回ってくるのか、そういうのも明確になっていない以上、僕らとしては再開という形になっていない。今回の中国やアメリカのことを頭の中にずっと入れながら、仕入れも販売もしていかなくてはならないのかな。こういうことは今後必ずあるという気持ちを持って仕事したい」
2つの大国の思惑に翻弄される水産業者。輸出をめぐる苦労はこれからも続きそうです。