中小スーパー“備蓄米”やっと入荷も「1回限りの納品と案内された」 16週連続の値上がりで…専門家はルール緩和の拡大を提唱
2025年05月02日(金) 16時28分 更新
備蓄米放出でもなかなか下がらないコメの店頭価格。
なぜ、備蓄米は行き届かないのでしょうか。
札幌市北区にある地域密着型のスーパーです。
2日午後に入荷されてきたのは備蓄米。
この店での入荷は初めてです。
クーリッチ拓北店・高西邦明オーナー
「非常に助かりますね。思った以上に数が少なかったことはちょっと残念ですが、お客さんの手元にお米が届くこの安心感は本当にほしいなと」
2日に入荷された備蓄米は、24年産の道産米「きらら397」。5キロ80袋です。
北海道内の備蓄米倉庫で保管されていたもので、ブレンドされていない単一原料米。
こちらのスーパーでは、コメ5キロの店頭価格が4000円台前半ですが、2日に入荷した備蓄米は5キロで3800円です。
卸売業者への発注から約1か月半。
ようやく入荷できた喜びの一方で…。
クーリッチ拓北店・高西邦明オーナー
「卸売業者から1回限りの納品で終わりと案内がありました。300円(価格が)落ちたが、また備蓄米がなくなったら戻ってしまう。新米が出たとしても(価格が)下がるのは難しいのではないかと」
全国のスーパーでのコメの平均価格は、5キロあたり4220円と、16週連続の値上がりです。
値下がりしない背景に、流通が進まない現状があります。
これまでに放出された備蓄米約21万トンのうち、スーパーなどの小売店にたどり着いたのは合わせて4179トン。全体のたった2%しか出回っていません。
なぜこうした状況になるのか。専門家は…。
宇都宮大学農学部・松平尚也 助教
「そもそも6月までで全体の66%しか、発注が卸売業者から集荷業者に来てない状況ですので、この備蓄米っていうのは即効性がない」
これまでの在庫を抱えた卸売業者が、まずその在庫をさばいてから発注をしているため、備蓄米の流通が遅れているといいます。
また、備蓄米を扱える卸売業者が限られていたことから、農水省は3回目の落札分から卸売業者の間で転売ができるようルールを緩和し、中小のスーパーにも備蓄米を行き届かせようとしていますが…。
宇都宮大学農学部・松平尚也 助教
「卸売業者が、この先の販売量を確保したり、スーパーなどに販売を抑制するような状況も出てまして、3回目に限らず1回目と2回目についてもルールの緩和をすべき」
消費者のための価格の安定はいつになるのか、不透明な状況が続きそうです。