今日ドキッ!トークライブ世界がまだ見ぬ夢の球場へ 現状と課題を考える

2020年6月22日 HBC 公式YouTubeにてライブ配信

配信中の様子(画像)

2004年に本拠地を札幌ドームに移してから"道民球団"として定着した北海道日本ハムファイターズ。今や観客動員200万人を誇る球界屈指の人気球団です。そのファイターズが打ち出したボールパーク構想は、"世界がまだ見ぬ夢の球場へ"というスローガンのもと、野球ファンだけでなく「地域創生」という視点でも道内外から多くの関心を集めています。
そこで今回は、ボールパーク運営会社と北広島市のキーパーソン2人が計画の進捗状況と今後の課題について生トーク。ボールパークに描く球団の夢やチームの未来予想図、またシーズンオフにはどんな賑わいを創出させるのかなど、挑戦の意義と克服すべき課題解決の道筋を視聴者と共有しました。

【出演】
前沢賢さん(ファイターズ スポーツ&エンターテイメント取締役)
川村裕樹さん(北広島市企画財政部長)
森創一郎(HBC報道部記者)
堀啓知(「今日ドキッ!」キャスター)

※トークライブの模様は動画(Youtube)でご覧いただけます
[動画はこちら]

北海道移転後からボールパーク構想へ

ファイターズが北海道に移転してきた当時、球団はどんな状況に置かれていましたか。

前沢 移転当初は、観客が少なくて不安に思いました。球団も試合に追われ、ビジネスとして何かを仕掛けるという状況ではありませんでした。そんな中、駒大苫小牧高校が夏の甲子園で優勝し道内の野球熱が盛り上がりました。これにはファイターズも大いに助けられました。そのころから当時の藤井社長が言っていた"やったことのないことをやる"という風土が定着したと思います。"やったことのないことをやる"という機運の醸成には新庄選手のパフォーマンスにもかなり救われました。

前沢賢さん(写真)

札幌ドームから本拠地を移転させる狙いは?

前沢 私どもは札幌ドームを毎年、1年契約で借りています。札幌ドームと話してきたのは、「毎年の契約ではお互い成長できない、フランチャイズ契約で5年とか10年に切り替えませんか」と。しかし提案は受け入れられず、次のステップに踏み切った形です。

2013年に決定した東京オリパラは、国内のスポーツ産業界にとって転換点になります。スポーツを通じた地域と経済の活性化を目的にスポーツ庁が発足するなど、国はスポーツビジネスを後押しする環境整備に着手しました。そのベースとなるのがスポーツを核とした街づくり=スマート・ベニューという視点です。

川村 私たちはボールパークに依存する街づくりではなく、ボールパークのある街をつくろうと職員に言っています。人口減少を踏まえコンパクトな街づくりを目指す中で、ボールパークを核に、今までにない新たな発想で街づくりをしようと。またボールパークができることで、北広島市だけでなく周辺の市町村にも可能性が広がると思います。

川村裕樹さん(写真)

スポーツを「する」場所から「エンターテイメント」の場所とすることがスマート・ベニューの考え方です。しかし従来の自治体は、スポーツ=体育・運動というアマチュアリズムから抜け切れないと聞いています。

川村 住民の生活をしっかり守りながら、体育や経済、観光すべてに関わっていくプロジェクトだということを市議会には丁寧に説明し、議論を重ねています。

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ボールパークはどんな賑わいに

新型コロナの猛威で世界が変わりました。現状で計画の見直しはありますか?

前沢 新型コロナを踏まえた「ニューノーマル」への対応をどうするか議論していますが、計画が変更されることはありません。もともと「エスコンフィールド」はかなりゆったりした作りになっています。札幌ドームと比較しても延床は1.25倍の広さです。一方、収容人数は札幌ドームより少なく、かなりゆったりした空間が保たれています。

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川村 ボールパークの活用をめぐっては、周辺14市町村と連携した会議を開いています。北海道のシンボルをみんなで作ろうと議論しています。

前沢 ボールパークは「共同創造空間」ということで、海外も含めて多くのパートナーと作っていきます。野球人口が減少する中、野球にそれほど興味がない方にも、「まずは行ってみたい」と思われる球場を追及していきます。

ただ郊外型では経済効果は限定的になるのでは?

前沢 まずは週1回、息抜きにくる場所として役に立てればいいなと思っています。そこから少しずつ経済効果につながればと。

川村 私たちはボールパークに依存するのではなくて、来場者を街に周遊させて街を活性化させようと動いています。経済効果は充分見込めると思っています。

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グラウンドにテントが張られている完成イメージもありますが?

前沢 災害時には、テントで寝泊まりできる一次避難所としても使えるかなと思っています。

川村 札幌や空知の避難拠点として、また新千歳空港が閉鎖されたときの利用客の一時休憩所など、いろんな活用の仕方があると思います。

前沢 私が絶対やりたいのは、子供たちの無料化です。席を売るというのが今までのプロ野球の概念ですが、空間を売ると考えれば、席がなくても十分楽しめるやり方はあります。高齢者も無料にしてお孫さんと会える機会が増えればいいなと思います。野球以外の楽しみがいくつもあるのがボールパークです。我々のボールパーク構想には、野球という枠を一回外れることの大胆さが必要だと思っています。野球への敬意を忘れずに、ある意味冒険をしていこうと。そうしないと球界やスポーツ界が衰退していくのではないかと思っています。

川村 多様な人を呼ぶこむ仕掛けをつくりたいです。市民が毎日ボールパークに出かけることによって、歩く習慣がついて健康になれば、医療費の削減にもつながります。そんなことを10年、20年、30年かけて目指していきたいと思っています。

JR新駅について

球場までの交通アクセスについて、JRの利用者を1万3500人と見込んでいます。
新しい駅ができるまでは今の北広島駅で乗り降りすることになるのですが、ボールパークまでは約1.5キロ、歩いて20分かかります。

前沢 北広島駅からはシャトルバスの運行を想定しています。現在、道内外のバス事業社数社から声をかけていただいています。

新しい駅は請願駅ということで設置費用は北広島市が負担することになりますね。

川村 昨年12月、JR北海道から請願駅を受け入れていただきました。請願者は私たちですが、負担額はこれからの交渉です。

北広島市が負担することについて市民の理解は?

川村 新しい駅は野球開催日だけでなく普段も利用できます。そうすれば駅周辺に新たな価値がうまれてきます。20年、30年先の市民からも「あってよかったね」と思われる駅になると思います。

新駅に対してJR北海道は前向きになったり、後ろ向きになったりしている印象があります。

前沢 これまでいろんな方の話を聞いていると、非常に前向きだと思います。設置に向けたアドバイスもいただいています。

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ファンや道民に一言

川村 理想はたくさんありますが、やってみないとわからないこともまだたくさんあります。北広島にできてよかったなと思われる施設を作ることが我々の命題です。引き続き頑張っていきます。

前沢 皆さんの中には、まだ不安や不満があるかと思います。10年後20年後、できて良かったと言っていただけるように粉骨砕身、精進してまいります。ぜひ温かい目で見守っていただくようお願いします。

私たちも道民に響くボールパークができることを願っています。ありがとうございました。

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