ニュース

Official Account

旧優生保護法・補償新法を受け86歳男性が亡き妻に代わり2000万円申請、妊娠発覚後に同意なく手術…差別や偏見をおそれ申請をためらう被害者も

2025年05月21日(水) 17時45分 更新

旧優生保護法に基づき強制的に不妊手術を受けさせられた被害者に対する補償法が1月に施行されたことを受け、21日札幌市に住む男性が亡き妻に代わり補償を申請しました。





高橋英弘さん(86)
「(書類渡して)よろしくお願いします」

高橋英弘さんは21日、道庁を訪れ、7年前に亡くなった妻の勢津子さんに代わって補償を申請しました。





生まれつき聴覚に障害がある高橋さんと勢津子さんは28歳で結婚。その後、勢津子さんの妊娠が分かりましたが、親族とともに病院で受診した際、本人の同意なく中絶と不妊の手術を受けさせられました。

高橋英弘さん(86)
「(病院から戻って)妻は元気になりましたけど、(妻の家族から)何もない。何も一切話はなかったです。本当に何もない…」





1948年に制定され、障害のある人やハンセン病の患者らに、不妊手術を強制した「旧優生保護法」について、最高裁は去年、憲法違反と認定。

国は1月、被害者本人に1500万円、配偶者に500万円を補償する「補償法」を施行しました。



高橋さんは、申請に必要な当時の手術記録が残っていませんでしたが、勢津子さんが生前、札幌市に相談した記録が残っていたことから、勢津子さん本人と配偶者の高橋さんへの補償、合わせて2000万円分を申請しました。

高橋英弘さん(86)
「このズボンは妻が縫って作ってくれた、裁縫が上手なんだよ。妻に報告するよ」

弁護団によりますと、道内の被害者は3224人。しかし、補償を申請したのは先月までで109件にとどまっています。



手術から長い年月が経っていることや差別や偏見を恐れて申請をためらう被害者も多く、補償をどう行き渡らせるかが課題になっています。

北海道ニュース24