【川湯温泉】星野リゾートが“撤退”から“協議継続”へ 弟子屈町・環境省との3者協議で事業提案も採用されず…1日の議論で方針転換
2025年05月01日(木) 16時32分 更新
北海道東部の『川湯温泉』が揺れています。
温泉街の再生計画の目玉となるホテルの建設計画が、白紙撤回の危機です。
弟子屈町の『川湯温泉』は、かつて年間120万人が訪れていましたが、今ではその半分以下に客足が落ち込んでいます。
そこで、弟子屈町は環境省とともに、川湯温泉の再生を図るため、廃業したホテルや土地などを次々と買い上げ、これまでに30億円以上の費用をかけてきました。
星野リゾート・星野佳路 代表
「新しい時代に合った個人客ターゲット、ある程度のインバウンド比率を取れるように設計する、それを『界テシカガ』として、プロジェクト進めています」
2023年には、再生計画の目玉となる星野リゾートが加わり、2026年のホテル開業を発表。
3者で再生を進めるための『マスタープラン』を策定し、地元の期待は大きく膨らみました。
かつては、建物の裏手で、観光施設として整備されていなかった温泉川や『岩盤』と呼ばれる、源泉エリアでしたが…
ナギーブモスタファ 記者
「地元の人たちも、川湯温泉を盛り上げようと、観光客が楽しめる施設を手がけてきました」
2024年に観光協会が整備し、『岩盤テラス』が完成。
温泉川沿いに遊歩道も作られ、再生計画は順調に進んでいるかに見られました。
ところが4月上旬、星野リゾートから町に思いもよらないメールが…。
「マスタープランの進め方」を理由に、ホテル建設から撤退する方針を伝えてきたのです。
”青天の霹靂”に、老舗の菓子店は…
地元の菓子店
「やはり衰退するマチを見てきていますから、また観光客が川湯温泉を訪れてくれるんだなという期待はありました。びっくりしましたけど残念ですね。もう少し町と密に話し合いができてなかったのかなって思います」
川湯温泉ユナイトの須田洸代表は、星野リゾートも進出する川湯温泉の「マスタープラン」に期待し、2024年にバーをオープン。
5月から、スープカレーのランチ営業も始めました。
川湯温泉ユナイト・須田洸代表
「星野リゾートが来ることによって、川湯温泉と言う名前がちょっとずつ広まっている感じがあったので、『星野リゾートがくるんでしょ?』と今の川湯温泉が見たくて来ている客もいたので、影響はどういう風になっていくのかなっていうのがありますね」
ナギーブモスタファ 記者
「午後1時半です。弟子屈町の徳永町長が会場入りしました」
温泉街が揺れる中、1日午後2時から、弟子屈町と環境省、そして星野リゾートの3者の話し合いが、撤退表明以降初めて行われました。
2時間近い協議を終えた後の会見で、星野リゾート側は撤退を表明した理由について…
星野リゾート企画開発グループ・瀬尾光教ディレクター
「星野リゾートとしてはこんな進め方をした方が事業がうまく進むのではないかという提案をずっとしていた認識で、それに対して、残念ながら採用していただけるようなご判断を弟子屈町としても、いろんな事情があったとは思うが、(採用の判断を)得られなかったので、そういう経緯で撤退を申し上げざるを得なかった」
「きょう3者で話すことで、もう一度見直して作り上げていくという合意がとられましたので、課題解決に向けた大きな一歩になった」
議論の詳しい内容は明かされませんでしたが、話し合いの結果、星野リゾートは「計画撤退」から「協議の継続」に方針を変えました。
弟子屈町・徳永哲雄 町長
「町としても、いろんな面で取り組みがスムーズにいかなかったこと、地元とのギャップがあるが、再度しっかりとタッグを組みながら進めていけることは、町長としてありがたく思っている。これから緊密に連携を取りながら、世界水準の観光地を目指して頑張っていきたい」
ただ、2026年と発表されていた星野リゾートのホテルの開業は、時期が遅れる状況だということです。
■星野リゾート側が撤退を考えた経緯(1日の会見より)
・事業の進め方を提案してきたが、弟子屈町に採用されず、撤退せざるを得なかった。
具体的な内容として)
・外部の専門家の活用を提案
・「世界水準のナショナルパーク」という、目標の共通認識を持てなかった
⇒1日の協議の結果、「今後も協議を継続していく」方針に
関係者がこれまで以上に議論を尽くすことで、結果的に、川湯温泉の再生がよりよい形になって欲しいものです。