HBCもんすけ調査隊

なぜ『パンの耳』と呼ぶ?

2021年3月18日放送

【森田アナウンサー】
視聴者からの疑問や悩み、暮らしの中のハテナを調査する、
HBCもんすけ調査隊です。
突然ですが、グッチーさん、パンのこの部分なんて言いますか?

【グッチー】
耳ですよね…。

【森田アナウンサー】
そう、みなさんこの部分を耳と呼ぶのですが、
なぜ耳というのか知っていますか? 

≪ミニドラマ・もん調劇場≫
(パンの耳だけ残して食べる子供)
母親:ちょっとなに残してんの~!
ちゃんと耳まで食べなさい!!
子供:え~…。
てかさなんでパンの端っこを耳っていうの??
母親:それは………なんで?
≪もん調劇場:終≫

札幌の大学生から寄せられた疑問。

【投稿】
「自分はパンの耳がきらいで、取ってたべています。
パンの端を、なぜ耳というのでしょうか?」

この疑問、街の人に聞いてみました!

【20代・2人】
Q. ここをなんていう?
「パンの耳/なんでだろう、わかんない」

【30代】
Q. なぜ耳というと思う?
「こういうパンの耳みたいな形してるからここら辺」

【30代】
Q. なぜ耳というと思う?
「つまむから?わかんないです。ちぎるときにですかね」

毎日、パンを焼いているパン屋さんなら、
「耳」と呼ぶ理由が、きっとわかるはず!

【シロクマベーカリー・横内健祐さん】
「言われてみればわからない。考えたことがなかった」 パン屋さんも首をかしげる素朴な疑問。さらに調査を進めます。

この疑問を調査するためもんすけ調査隊が向かったのは、北海道大学。
言語学に詳しい加藤重広教授に疑問をぶつけてみると…。

【北海道大学・加藤重広教授】
「我々の感覚では、
端っこの部分を耳という風にいう例は多くないと思うが、
古くは(ものの)ヘリの部分やはみ出した縁の部分を
“耳” と呼んでいた。
耳が顔の中で目立つパーツなので、耳に着目したと思う。
お金を返すときに耳をそろえて返すというのは、
小判のヘリの部分をそろえてきれいな形で返すという言い方」

古くは鎌倉時代から、“耳“という言葉は
「物の縁(ふち)」という意味で使われていたそうです。
そして明治に入ると、日本でもパンを食べるようになり、
その縁の部分を耳と呼び始めたのです。

【北海道大学・加藤重広教授】
「”パンの耳”は明治の前半に言い方が普及していたと思われる。
戦後になってパンの耳がどういう意味か理解しないまま
ここはパンの耳と学習してそのまま使っている」

国語辞典で“耳”という言葉を調べると、
昭和40年代の小説でも、“パンの耳”という言葉が
使われているのがわかります。

“耳”という言葉は、食パンの他にも
“いかの耳”や“ピザの耳”など様々なものに使われています。
その由来は、鎌倉時代までさかのぼる言葉の使い方にありました。

もんすけ調査隊のページへ戻る