【参議院選挙】どう守る?米作りの現場 報われる農業を目指して…生産者「やっぱり日本の米は美味しい」丹精込めて育てた米に絶対の自信
2025年07月15日(火) 17時23分 更新
真っ赤で大粒のイチゴが鈴なりです。
・もぎたてを食べる小学生(6月26日 比布町)
「おいしい!おいしい!」
北海道上川の比布町。初夏のイチゴ狩りは町の名物です。
そして、この町は、道内有数の米どころ。
イチゴ畑の隣には、水田が広がっています。
西本龍二さん42歳。稲作を主力に、イチゴや小麦を手がける生産者です。
・西本龍二さん(42)
「今作っているイチゴ畑は、数年前までお米を作っていまして、それを現在はイチゴに切り替えている状態。お米とイチゴの二刀流」
町の特産品を守り、米作りに頼る収入を補えれば…そんな思いでした。
・西本龍二さん(42)
「イチゴが天候によってあまり良い成績ではなくても、その分はお米でカバーできたり、その逆もあり、保険みたいなものですかね」
西本さんが稲作を始めて16年。
2023年までの米の価格の平均は、60キロ当たり1万4500円と、30年前の半分ほどに留まってきました。
2024年の米不足では、市場価格が高騰し、生産者の収入は増えました。
ただ、物価高騰のあおりは生産者にも及んでいます。
燃料費や肥料代など、生産コストは、5年前に比べ、1.3倍から1.5倍近くに。
手取りは大幅に減っています。
・西本龍二さん(42)
「(米価が)高ければ高いほど生産者はうれしいが、きちんと機械が使えて(経費の)支払いができて生活していける部分であれば、それが「適正価格」だとは思いますけど」
・小泉進次郎農水大臣(7月6日 北斗市)
「(感動しました?)感動した。ハハハ…いま「下げ」のトレンドに入っているので、生産者の皆さんが大丈夫だと安心して増産に向かっていける。しっかりとメッセージを発信していたい」
米の高騰で、消費者の不満の高まりを受けた政府は、備蓄米を放出。
価格を力づくで下げました。
そして従来の「減反政策」から一転、米の増産へ舵を切りました。
・橋本和昌さん(6月23日 新十津川町)
「(この田んぼには以前は何を植えていた?)大豆ですね。米不足もありまして(消費者に)米を届けたいという思いで」
橋本和昌さん49歳。2025年の春、10年前から続けていた大豆の畑を、水田に戻しました。
投じた費用は700万円。全て自己負担です。
7ヘクタール作付けを広げ、米の増産に踏み切りました。
・橋本和昌さん(49)
「採算取れるからですね。米価が上がれば収入が上がるので新規就農や後継者が入って来やすくなると思う。それを崩すとまたコメ不足になったりする」
価格が上昇し、生産者の米作りへの意欲は増しています。
一方で、道内の稲作農家は減少中です。
高齢化や後継者の不在など、担い手不足と経営難が、米作りを危機的な状況に追い込んでいます。
道立農業大学校見学会(6月14日 本別町)
「写真撮っていいですか?」
十勝の本別町にある、道立農業大学校です。
2026年度「畑作」と「畜産」の学科に加え「稲作経営学科」を新たに設置します。
・道立農業大学校 下堀亨校長
「いまコメの生産が重要になっており農家の意欲も高まっていますので、即戦力の農業者を育てるのが私どもの使命と考えている」
6月開かれた見学会には、農業を志す高校生らの姿が…
・本別町の高校生(畑作志望)
「後継者問題とかもありますし、近所の農家も離農したり、潰れている小屋があるので力に少しでもなれたらなと」
・蘭越町の高校生(稲作志望)
「家族みんなで協力してやっているのを昔から見ていて、そういうところが良いと思って」
大豆畑を水田に戻した、新十津川町の橋本さん。長男の和久さんも一緒です。
橋本和久さん(17)
「お父さんお母さんが結構楽しくやっていると思うので、勉強して頑張ろうと思っています」
橋本さん
「目指せ100町(100ヘクタール)」
頑張ったぶん、報われる農業ができる国に。
丹精込めて育てた米に、橋本さんは絶対の自信があります。
・橋本和昌さん(49)
「やっぱり日本の米は美味しいので。買ってくれた人がおいしいって言ってくれるのがやっぱり楽しいですよ」
「コメ不足」が、消費者に突きつけた食生活の危機。コメ作りの現場をどう守っていくのか。課題は、山積しています。
■主な政党のコメ・農業政策の公約
自民:官民で備蓄体制・水田政策の見直し
公明:収入保険の拡充
立憲:直接支払い制度の創設
維新:コメの輸入拡大
共産:所得補償制度の創設
国民:「食料安全保障基礎支払」の創設
れいわ:所得補償を法制化
参政:一次産業従事者の公務員化
社民:所得補償の実現
保守:農林水産行政の抜本的見直し