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「5キロ4000円は確実に超えてくる」農家も困惑する価格上昇 今秋も天候不順で広がるコメ不足への危機感が争奪戦に拍車 専門家「増産をして安くする必要に」

2025年09月24日(水) 20時35分 更新

新米がお店に並び始めていますが、値段を見て、驚いた方もいると思います。お米は、もう「高値」の花なのでしょうか。

実りの秋。北海道のスーパーでは、新米が並び始めましたが…



買い物客
「(新米は)ちょっと高い…初めは仕方ないと思うけどあとは様子をみる」

買い物客
「麺類が増えた。コメが高くなってから」

店頭の価格は4800円あまり。秋になっても、価格は下がるどころか、上昇し続けています。

収入が増えたはずの生産者は、表情がさえません。



専門家
「日本の稲作が衰退消滅の危機に陥る」

食欲の秋に水を差す、止まらないコメの高騰を「もうひとホリ」します。



農林水産省が発表した、最新のコメの平均価格は5キロ4275円。

3週連続の値上がりで、随意契約による備蓄米の販売開始以降、最も高くなりました。

安さが売りのこちらのスーパーでは。



並んでいるのは「令和6年産」です。

キテネ食品館 中塚誠 社長
「令和7年産のコメ(新米)がいまの5キロ税抜きで700~800円値上がりなら、令和6年産米の販売をできるだけ引っ張りたい」

例年、新米が出回ると、価格は下がりましたが、2025年は秋になってから、急上昇しています。



買い物客
「どうしてこんなに高いんだろう?こういう値段はちょっと腑に落ちない」

買い物客
「(新米は)やっぱり高くて…なかなか手がでない」

コメを独自のルートで仕入れて、安く提供してきたこの店でも、10月から販売する新米の価格は4000円から4500円。

一部の銘柄米は5000円近くになるなど、値上がり幅は想定以上です。

キテネ食品館 中塚誠 社長
「100円でも50円でも安い店を探しているお客さんは非常に多い。高値の米の流通を見直して適正な価格で販売できるようにしてほしい」

値上がりの背景には、農協や米穀業者などの「コメの争奪戦」があります。

北海道では8月、ホクレンが、生産者に支払う前払い金を引き上げると、業者もこれに追随。

価格が釣り上がっているのです。



上川地方の比布町の西本龍二さんです。

2025年は、作付け面積を増やして、増産に踏み切りましたが、夏の猛暑に加え、8月から相次ぐ悪天候で、一部のイネが倒れ、収穫に手間取っています。



西本農園 西本龍二 代表
「(稲の)茎が枯れて倒れてしまった農家もいると思うけど、きちんと実らない不稔のコメが多かった」

全国的な天候不順で、市場では、2025年もコメが不足するのではないかという危機感が広がり、争奪戦に拍車をかけています。

西本農園 西本龍二 代表
「(稲が湿って)長時間乾燥機を動かすと灯油をかなり使う。灯油の料金も年々上がっている分、経費はかさみますよね」

農家の収入は増えましたが、天候不順にともなう燃料や機械の維持費など、生産コストも高騰しています。

コメの高騰はいつまで続くのか?コメの流通に詳しい専門家は。



宮城大学 大泉一貫 名誉教授
「年1回の収穫しかコメはないので、(価格が)1回決まってしまうと高値は年間通じて継続していく可能性がある。店頭価格の米は5キロで4000円は確実に超えてくる」

政府の「コメの増産政策」も先が見通せない中、このままでは日本の食卓に「大きな危機」が訪れると指摘します。

宮城大学 大泉一貫 名誉教授
「一番怖い未来は、日本から稲作がほとんど衰退してしまい、私たちの食卓にはカリフォルニア米など海外産のコメがのるような状態。(生産)コストを安くして価格も安くなるような状態にしていくべき。それで増産をして価格を安くすることも必要になってくる」

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