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20人死亡6人行方不明の知床観光船沈没から3年「やっぱり待ち続けたい…」当時7歳の息子と元妻が犠牲になった男性が抱える深い喪失感 追悼式に運航会社の桂田社長は姿見せず 北海道斜里町

2025年04月23日(水) 17時08分 更新

北海道知床半島沖で観光船『KAZUⅠ』が沈没した事故から、23日で3年が経ちました。

家族を失った悲しみは、いまも残ったままです。



追悼式典が始まった23日午後1時。北海道斜里町のウトロ漁港で、海を見つめる男性がいました。

3年前のあの日、この場所から『KAZUⅠ』に乗り、海に出た元妻と、当時7歳の息子が行方不明になりました。



いまも男性は、深い喪失と向き合い続けています。

乗客家族の男性
「なぜ2人が犠牲にならなきゃいけなかったのか、そんなことを考えていました」



2022年4月23日、北海道知床半島沖で『KAZUⅠ』が沈没し、20人が死亡、6人が行方不明になった事故。

国の運輸安全委員会は、船のハッチのふたが完全に閉まらない状態で出航し、高い波で海水が船内に流れ込んだことが、沈没の原因と結論づけました。



乗客の家族らは、運航会社と桂田精一社長が、安全対策を軽くみて事故を起こしたとして、損害賠償を求め提訴。男性も、この裁判に参加するため、息子の死亡認定を申請しました。

それでも、完全に区切りをつけるには、心が追いつかないと話します。

乗客家族の男性
「それでもやっぱり待ち続けたい。そういう気持ちでいたい」



追悼式典には、乗客の家族や関係者、約120人が出席し、犠牲になった人々に祈りを捧げました。

事故当時、斜里町長として対応にあたった馬場隆さんは、強い思いを言葉にします。



斜里町 馬場隆 前町長
「(自分にできることは)多くの人に、この事故を語り継ぐ機会が得られれば、語り継ぐ役目を担おうと決意している」

一方、桂田社長は姿を見せませんでした。

ナギーブ モスタファ記者
「追悼式の会場です。現在までのところ、桂田社長からの献花はありません」



桂田社長は去年10月、運航管理者としての義務を怠ったなどとして、業務上過失致死の罪で起訴されましたが、初公判の日程は決まっていません。

北海道ニュース24