ヒグマに襲われ新聞配達員の男性死亡 相次いでいた出没に専門家は「町の対応が後手に回った」と指摘 町は「対策の想定を超えていた」と説明 北海道福島町
2025年07月17日(木) 15時25分 更新
長引くクマへの警戒が町民の生活に影を落としています。
北海道福島町の住宅街で、男性がクマに襲われて死亡してから5日。
町は「箱わな」を6基設置したものの、いまだに捕獲されていません。
町はいま、特産品のコンブ漁の最盛期です。
水揚げは家族総出で、高校生や近所の人たちもアルバイトで加わります。
作業場の代表が心配するのは相次ぐクマの出没です。
湊漁業部・湊富士夫代表
「今が最盛期で休むわけにはいかない。学生の送り迎えしかできない。作業期間も延ばすことができない」
今月9日から、クマの目撃が相次ぐ福島町。
クマが出る時間帯は深夜から早朝が多く、12日に新聞配達員の男性が襲われたのも早朝でした。
地元の高校生
「1人であまり出歩かないことと、暗くなってからは出歩かない」
従業員の安全を守るため、代表の妻が車で送り迎えをしています。
アルバイト従業員
「いつもは歩いて通勤しているが、危険なので迎えに来てもらっている」
送迎する湊あけみさん
「何かあったら大変だから。早く捕まってほしいなと思います」
福島町の鳴海清春町長は16日、市街地へのクマの侵入はこれまでの町の想定と対策を超えるものだったと説明しました。
福島町・鳴海清春町長
「(これまでの出没とは)全く事案が違うわけですよね。自分の家にクマが来ると想定して対応することはなかったでしょ。今まで全力でやってきた対策が最大だと思ってやってきている」
福島町では今月9日から11日にかけて、市街地で、複数のごみ箱が荒らされているのが確認されていました。
出没を受けて町が設置した箱わなは、所有する6基のうち2基。
クマの捕獲には至らず、12日に男性が命を落としました。
道の「ヒグマ管理計画」では、クマが「市街地」に出没し、生ごみや廃棄物をあさった場合、「問題個体」として追い払いや確実な排除など対策が必要としています。
ヒグマの生態に詳しい専門家は、「最初に出没した後の町の対応が後手に回った」と指摘します。
酪農学園大学・佐藤喜和教授
「一度執着した餌にはとことん執着、繰り返して出没して、人目があってもどうしても食べたいのがクマの性質。(クマが)ごみについた時点で、早い段階でわなをしっかりかけて駆除することができればよかった」
佐藤教授は、行政側の体制も強化する必要があると話します。
酪農学園大学・佐藤喜和教授
「福島町は人員的な問題もあって、日ごろから注意喚起や、環境管理を行ったりする職種が求められている」
福島町は、道から専門職員など人的支援を受けたうえで、駆除に向けた対応を急ぐ方針です。