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「肉食のチャンスがあれば…ヒグマはそういう動物」人身事故や食害をゼロに“あつれき”を生まないために…研究者「問題個体の確実な捕殺」札幌でシンポジウム

2025年08月25日(月) 16時28分 更新

提供:猟友会砂川支部(1日)
提供:猟友会砂川支部(1日)

24日札幌市では、「ヒグマをもっと知ろう」という市民向けのシンポジウムが開かれました。

ヒグマによる人身事故や食害などの被害を「ゼロ」にするのは?



8月1日、北海道砂川市で箱わなにかかったヒグマ。地元の猟友会にりますと、体長が約2.3メートル、体重が250キロの雄で、周辺の地域では、ヒグマの出没が相次いでいたということです。



24日札幌市で開かれたのは日本哺乳類学会が主催した「ヒグマをもっと知ろう」というシンポジウムです。

ヒグマ研究の第一人者たちがヒグマの生態やいま起きている問題点などを市民ら約500人に問いかけました。



北海道大 獣医学研究院 坪田敏男 教授
「(知床のヒグマは)8~9割は植物を食べているということで、草食に近い雑食性ということを示している」

北海道大学の坪田敏男教授はヒグマの生態や知床での調査でわかったヒグマの食性について解説しました。



では、なぜ、8月14日、知床の羅臼岳で登山者の男性が襲われ死亡したのか?坪田教授はこのとき、ヒグマが襲った理由についてこう、指摘します。



北海道大 獣医学研究院 坪田敏男 教授
「一番多いのは偶然出くわしてしまって、クマもびっくりして人を襲う。肉食のチャンスがあれば肉食に行ってしまう、(ヒグマは)そういう動物だと思います。山に入るときは鈴を持って入ってもらうとか、山に入ったら周りの気配に気を配ってクマがいないかどうか常に感じ取るのが大事」

また、北海道の研究機関で長年、ヒグマの調査や対策に取り組んできた間野勉さんは、家畜を繰り返し襲うなどの問題個体への対応や対策を担う自治体側の課題を指摘しました。



道立総合研究機構 間野勉 フェロー
「問題個体の確実な捕殺。これが伴わないと問題が解決しない。全道の170市町村で専門的知見を有する職員はいない。実働組織と予算の欠落でできていない。つまり、クマによるあつれきを防ぐための政策…これは一朝一夕になかなかいかない」



参加者
「どうして人とのあつれきが生じてしまっているのか、どういう要素が関わっているのかを考えていくことが大事だと思った」
「どうしてそういうこと(クマと人の事故)が起こってるか理解して、人間とクマが共存できる道を考えていくのはすごく大事だと思う」



ヒグマによる事故や被害をなくすために…。まずは、ヒグマのことを知ることが大切です。

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