北海道電力・泊原発3号機の再稼働へ 国が周辺4町村や北海道に「理解要請」 安全審査合格から5日での動きに各自治体は慎重な判断方針示す
2025年08月04日(月) 16時26分 更新
北海道電力・泊原発3号機が安全審査に合格してわずか5日。
4日夕方、政府の原子力政策を担う資源エネルギー庁のトップが鈴木知事を訪ねました。
泊原発の再稼働の必要性を理解し、容認を促す「理解要請」が目的です。
資源エネルギー庁 村瀬桂史 長官
「安全確保を大前提とした上で、脱炭素電源である原子力発電の活用は、責任あるエネルギー政策を実行していくために欠かすことができないものと考えている」
さらに午前中には泊原発の周辺でも動きが。
三國谷浩司 記者
「午前9時です。資源エネルギー庁の幹部が泊村に姿を見せました」
資源エネルギー庁の幹部が泊村をはじめ、北電と安全協定を結ぶあわせて4つの町と村をまわり、「原子力を最大限活用する」政府方針に理解を求めました。
再稼働に向けた事実上の要件、「地元同意」に向けた根まわしです。
泊村 髙橋鉄徳 村長
「議会の議論や村内各団体の意見を聞いた中で総合的に判断していく」
神恵内村 高橋昌幸 村長
「(判断を)そんなに長くする必要もない。急いで3町村に先駆ける必要もない」
元通産官僚でエネルギー政策にも詳しい宮本融教授は、このタイミングでの要請の意味を次のように解説します。
北海道文教大学 宮本融 教授
「現実にある原発について稼働するか国は責任を持たない。そこに関与しないという前提でずっとやってきたので、今回、合格した直後から資源エネルギー庁本体が回り始めるというのは政府としてはこの話を非常に重視しているんだなと」
三國谷浩司 記者
「原発の敷地に近いこちらの民宿では、交付金で整備されたスケートリンクを使うため、毎年、全国から学生たちが合宿に集まっています。」
泊原発から300メートルの場所に建つ民宿兼食堂の「平安荘」です。
原発の工事関係者が宴会で利用する事もあり、泊村の経済に原発は欠かせないと話します。
平安荘 渋田真澄 代表
「自分のところだけが潤ってはいけない。村全体が潤えばもっと活気が出る。北海道電力、泊発電所がなければ、過疎でしょ」
国内の原発で最も新しい3号機は、東日本大震災の翌年に運転停止。
その後、北海道は原発ゼロが13年以上続き、主に火力発電に頼ってきました。
しかし、2018年の胆振東部地震ではブラックアウトに陥るなど安定供給の課題も浮き彫りになりました。
宮本融教授は、今後の北海道の電力需要を踏まえて次のように指摘します。
北海道文教大学 宮本融 教授
「北海道にデータセンターの移設とかいろいろ来ているし、その上にラピダスが乗っかってくるという話になると電力需要は明らかにこれから相当な勢いで増えていく。それをまかなうとなると、まず最初に、今あるそれも相当なレベルで安全だと確認されるものから再稼働していく判断は当然。」
夕方、資源エネルギー庁長官の要請を受けた鈴木知事です。
鈴木直道 知事
「国が丁寧に説明して道民の理解と信頼を得ていくことが重要。泊原発3号機の再稼働については道議会、関係自治体そして道民の声を踏まえて総合的に判断してまいります」
北電は、2027年のできるだけ早い時期に泊3号機を再稼働させたい考えで、年内には、再稼働後の電力料金の値下げ幅についても説明する方針です。