D型倉庫が極上ホールに…夢を追いかける農家とフルート奏者「農業と音楽はすごく密接」北海道長沼町から始まった新たな試み
2025年09月20日(土) 08時27分 更新
アート、農業を遊ぶように楽しむ。そんな空間が北海道長沼町に完成しました。
2人の夢から始まったこの場所は今、多くのアーティストに広がり、様々な活動が行われようとしています。
長沼町に今月オープンした新しい施設、アートビレッジ「A‐cubic」。
遊びながら農業やアートを体験することがコンセプトです。
フルート奏者・建築家・畠中秀幸さん
「農園の一角にあるD型倉庫を無期限で貸してもらって、こんな空間ができてうれしく思います」
施設をプロデュースしたのは、右半身に麻痺があり、左手でフルートを演奏する畠中秀幸さん(56)です。
建築家としての顔も持つ畠中さん。
このD型倉庫の改築がはじまったのは、半年前です。
2025年4月。倉庫の中は、農機具が置かれ、薄暗い状況でした。
フルート奏者・建築家・畠中秀幸さん
「もう美しいですよね、もう荷重がかかって曲がってたりするんですけど、こういうのもすごくいいなと思って」
夢だったという、「農業」と「芸術」を掛け合わせた場所を目指しています。
フルート奏者・建築家・畠中秀幸さん
「演奏行為も農業をやる土を耕すのと同じ、人の心に訴えかけることは同じことだと思っていて、土を耕す、音を耕すみたいな話をしたら、一緒にここでアート活動したいっていう人が集まってくれた」
畠中さんと同じ夢を追いかける人がいます。
農家の永野諭さん(76)です。
D型倉庫の持ち主で、近くの畑で米や大豆などを栽培しています。
永野さんは、釧路市でサラリーマンとして働いていましたが、50歳の時に長沼町の自然に魅了され、農業を始めました。
農家・永野諭さん
「農業と音楽とか、すごく密接ですから。食は体を作ってくれる、あと心も作ってくれている。音楽は心を育ててくれる」
■音楽のチカラと、農業のチカラで人々を笑顔にしたい
この施設では、様々なアーティストによる企画が行われています。
この日は、地元や札幌市の親子が枝豆の収穫体験です。
9月6日。オープンの日を迎えました。
D型倉庫では、入念にリハーサルする畠中さんの姿がありました。
入り口には、地元でとれた野菜がたくさん。
ここでは、音楽などの芸術に触れながら、地元農家が作った野菜を対面で買うことができます。
訪れた人
「(音楽と農業を一緒に体験できる施設は?)初めて。そう来たかという感じで納得です」
農家・永野諭さん
「人が好きなのね。話しをして生き生きコミュニケーションをするのがすごく合っている」
「野菜を売るだけではなく、ものを介在して人とつながる。それが理想だし、夢ですね」
演奏を聴いた永野さんは…。
農家・永野諭さん
「(オープンが)やっとこの時期になった。約1年かかっていますから。1つの夢が叶いました。あとはどうやって運営していくか、楽しんでもらえるか」
訪れた人
「360度、音楽に包まれている感じがしてすごかった」
「室内だけど、自然の中で音楽聞いているような居心地のよさ」
フルート奏者・建築家・畠中秀幸さん
「きょう、客の反応がよかった。みんなニコニコしてくれてて、おもしろかったって」
長沼町に出来た1つの新たな施設。
農家、そしてアーティストの夢は、ここから成長していきます。