スルメイカ漁解禁も…まさかの水揚げゼロで初競り中止 漁業者「40年以上、今の漁場に通って初めて」 原因とされる黒潮の大蛇行は終息傾向 函館市
2025年06月02日(月) 16時31分 更新
漁師たちもがっかりです。
北海道南部のスルメイカ漁が1日解禁されましたが、著しい不漁で水揚げは「ゼロ」。
市場で競りができない異例の事態となりました。
麻原衣桜 レポーター
「函館の卸売市場です。本来であればこの場所でスルメイカの初競りの予定でしたが不漁のため行われず辺りは閑散としています」
2日朝の水揚げは「ゼロ」で「初競り」は取り止めに。
不漁で競りができなくなったのは1965年の開設以来、初めてです。
1日、函館からは11隻の漁船が一斉に出漁しましたが漁場の日本海にイカはおらず、ほとんど操業せずに帰港。
漁獲はわずか数匹にとどまりました。
漁業者
「40年以上、今の漁場に通って初めてだ(気持ちは)沈んでますよ…」
イカのマチでイカが取れない事態に市長は…
函館市 大泉潤 市長
「イカのイメージは、函館の観光と結びついているので、漁業者の大変苦しい状況は身にしみて伝わってくる。」
観光客が訪れる市場や飲食店も気を揉んでいます。
市内の市場では「スルメイカ」の代役に北海道南部の前浜で取れる「ヤリイカ」を並べています。
観光客
「うん!おいしい」
観光客
「自分で釣ったからおいしいです」
味が濃厚で観光客には人気ですが、単価が高いために多くは仕入れられず、販売価格も高くなります。
鮮魚店
「私が店にお嫁に来て50年だが、きょうみたいな日は初めて」
「イカ刺し定食」のイカもいまは「ヤリイカ」。
米の高騰もあって価格の設定が難しくなっています。
コーヒーマルシェ 八木雅之さん
「函館はイカのマチですから私はギリギリの線で出したい」
イカはいったいどこに行ったのか。
専門家は…
北海道大学大学院 水産科学研究院 中屋光裕 准教授
「日本海で去年の秋に産まれるイカ、親がまずいない。小さいイカはいるかもしれないが、イカ釣り機で取れるにはある程度サイズがないとかからないので、夏まではかなり厳しいと思います」
一方で、全国で漁獲量の低下を招いた原因とされる太平洋の黒潮の大蛇行に終息の傾向がみられることから夏以降、スルメイカの分布にも影響する可能性があると中屋准教授はみています。