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クマに襲われ男性死亡からまもなく1か月 同行男性のクマスプレーはほぼ空だった可能性、事故の背景に観光客の餌付けなどで「人慣れ」も 北海道・羅臼岳

2025年09月11日(木) 21時29分 更新

北海道知床半島の羅臼岳(標高1661m)で登山をしていた男性がクマに襲われ死亡した事故から14日で1か月です。再び同じような事故が起きないよう何ができるのか。関係機関が話し合いました。

8月14日、知床半島の羅臼岳で東京の26歳の男性がクマに襲われ、翌日、死亡しているのが見つかりました。



事故の発生からまもなく1か月。

11日斜里町には、国立公園を管理する環境省や、環境を調査・研究する知床財団など関係機関が集まり、今後の対策が話し合われました。

今回の事故について調査している知床財団が、ここまで判明したことについて報告しました。

・知床財団 玉置創司事務局長
「被害者は、ヒグマ対策装備としてクマスプレーの携行が不明で、所持していなかった可能性が高い」



被害者の男性は「クマ除けスプレー」を持っていなかった可能性が高いことと、被害者とともに登山していた同行者の男性が持っていた「クマ除けスプレー」がほぼ空の状態だった可能性があることが報告されました。



一方で、事故の数日前から、登山道の近くで今回、男性を襲ったクマと同じ個体とみられるクマが、別の登山客に付きまとうなど接近情報が確認されながらも、登山道の閉鎖に至らず、事故を招いたことについても話し合われました。



・斜里町 増田泰副町長
「個体それぞれのケースが同一かどうか含めて(遭遇した登山者への)アンケートの中では判断が難しかった。だが結果的に死亡事故が発生しているので、今後検証を行ってどのような対応が必要なのか考えたい」



ヒトとクマの共生では先進的な取り組みが進められていた知床で初めて起きたクマによる死亡事故。対策が急がれます。



・環境省釧路環境事務所 岡野隆宏所長
「いろんなことが積み重なって今回の重大事案に発展したと考えている。その観点でいくつかの要因でどんなことが考えられるのかしっかり整理する必要がある」



事故の背景には観光客が「クマ」を待ち伏せして執拗に撮影したり「餌付け」したりするなどしてクマが「人慣れ」していることも、指摘されています。



環境省は11日、知床半島の斜里町側のイワウベツ川沿いに観光客の不適切な行動を監視するカメラを12日午後に設置することを決めたうえで、今後も、事故の調査を続けることにしています。

北海道ニュース24