【クマにおびえるマチ】2種類の足跡から少なくとも2頭以上が別々に行動か「不安ですね外を出て歩けない」4年前には女性が、おととしは男子大学生が犠牲に
2025年07月15日(火) 17時37分 更新
12日に新聞配達の52歳の男性がクマに襲われ死亡した北海道南部の福島町。15日未明にも道路を歩くクマが目撃されハンターが出動しましたが、クマは姿を消しました。
・町民(15日午前11時半ごろ)
「不安ですね、外にも出て歩けないし、はやく駆除してほしいですね」
・防災無線(15日午前8時半)
「福島町にヒグマ警報が発令されました」
取材班が目撃したのは、スーパーの敷地にあるごみ集積場のゆがんだドアでした。
・スーパーの店員
「多分体当たりして無理やりクマが突っ込んでいった感じ」
14日朝、スーパーのゴミを保管していた倉庫がクマに荒らされているのが見つかりました。
しかし、被害は一度だけでは終わりません。
麻原衣桜記者(15日)
「男性がクマに襲われた現場から約400メートル離れたスーパーのゴミ集積所では、14日のうちに2度、倉庫に入っていたゴミが荒らされました」
・被害にあったスーパーの店長 岩渕勇紀さん
「15日被害に遭ったのは主に段ボールとかプラスチックとかしか入ってないゴミ箱だったんですけども、非常に恐怖でしかない」
クマはなぜ市街地から離れないのか?そして、どんな対策ができるのか?もうひとホリします。
「息子の家の前にクマがいる」
7月9日、住宅街でクマが目撃され付近でクマに荒らされたごみ箱も見つかりました。
その後もクマは度々、市街地に出没を繰り返し、ついに最悪の事態が起こりました。
・目撃者(12日)
「新聞を入れる音がして、まもなくしたら、叫ぶ声が聞こえて「どうしたんだろう?」と思って玄関のドアを開けたら、目の前にクマが人間の上にかぶさるような状態。そのうちにクマが人間を引きずって」
新聞配達中に襲われた佐藤研樹さん52歳はクマに約100メートル離れたやぶの中までひきずられ、死亡した状態で発見されました。
一連のクマの行動について専門家は、クマが食べ物に執着していたとみています。
・酪農学園大学 佐藤喜和教授(14日)
「事前にごみを荒らして(生ごみの)コンポストを壊した、何かしらの人の生活圏の中に食べ物求めてやってきている。作物を採ってやぶや森に持ち帰って食べる行動もあるので、あまり考えたくはないですけれども、その新聞配達の方を追いかけてきて襲ったという可能性もあると思います」
先週から連日、市街地での出没を繰り返しているクマ。一向に山に帰る気配はありません。
現地調査を行った、道の専門家チームは驚くべき事実をあきらかにしました。
・道総研エネ環地研 釣賀一二三主査(14日)
「おおまかに見て、2種類の足跡、大型のものと小型のものを計測している」
2頭以上のクマが別々に行動し、出没していることがわかりました。
福島町では度々クマの被害が起きています。
2021年には農作業をしていた女性が、近くの山林で遺体で発見されクマに襲われたものとみられています。
2023年9月にはクマが水産加工会社の工場に侵入し、スルメイカ20キロほどを食べて、山へ逃げました。
その年の11月、大千軒岳ではクマに襲われた男子大学生が死亡しています。
クマの生息域と人の生活圏が近い地域では、クマと人との距離をとる対策が大事だと、佐藤教授はいいます。
・酪農学園大学 佐藤喜和教授(14日)
「よく侵入されてしまうような場所、またはルートがある場合は、そういったルートの草刈りをするとかですね、木を伐採するとか、そういった対策でクマがあまり体を潜める場所をなくしていくということも大事だと思います。やはり誘因となるゴミなどは適切に管理していただきたい。家庭菜園など木の実がついたりする場合は電気柵で防ぐ対策も重要」
また、早朝や夕方の外出を控える、藪には近寄らないなどクマに遭遇しないための行動を心がけるよう呼びかけています。