ニュース

Official Account

けんかに明け暮れ逮捕も…非行少年からラッパーに、きっかけは“元暴力団の牧師”との出会い「自分は弱いと認めなさい」そして今「大丈夫、必ず脱出の道はある」翔之介(28)

2025年04月20日(日) 08時00分 更新

シリーズ「罪と償い」。少年時代、非行に走った青年が、とある男性と出会い立ち直りました。そこで得た「気づき」を見つめます。



♪All Right!!
「他人と比べ自分が嫌に。そんな自分を許してほしい 問題なら絶対に起きる でも大丈夫そこに気付きがある」

クリスチャンのラッパー、翔之介さん。28歳。

十字架を背に、音楽で祈りを捧げます。



■家出、けんか、ススキノの客引きで逮捕も…

母子家庭で育ち、遊び場は自宅のあるすすきの。

中学に入ると、家出を繰り返し、喧嘩に明け暮れる日々でした。

高校は中退し、客引きで逮捕されたことも。

・翔之介さん(28)
「『太陽館ビル』は客引きだったころ毎日来ていて。3回ぐらい捕まってますね、客引きで。よくここで乱闘とかになったり、ある人にぼこぼこにさせられたこともあるし。しょっちゅう、いつも顔腫れてるみたいな」



これは2017年、札幌での成人式の様子です。

式の途中で踊り出す翔之介さんの姿がHBCのライブラリー映像にありました。

■“元暴力団の牧師”との出会い

翔之介さんは、現在ススキノの不動産管理会社で働いています。

主な仕事は、ススキノにあるビルのテナント管理や誘致。



・翔之介さん
「これ気になります?ちょっと気になります。これいけます?」

この日は、退去したテナントの修繕の見積もりを出します。

・内装業者
「元気。元気の塊ですね。結構真面目っぽいんですけど、ざっくばらんに話してもらえるので、ナイスガイです」

日曜日の夜、翔之介さんの姿はススキノの教会にありました。

ここには、翔之介さんが非行から更生するきっかけとなった人がいます。



「元暴力団の牧師」でした。

■「やっぱり俺もわかってほしかったですよ。誰かに…」

ススキノに佇む教会。ゴスペルが響く中、翔之介さんの姿がありました。

ここは、「シロアム・キリスト教会」。

ススキノで悩める人たちの駆け込み寺として、11年前に開かれました。

牧師の鈴木啓之さん59歳です。

・牧師 鈴木啓之さん
「自分の家族がいる、妻がいる、子どもがいる、守らなければならない、そう思った瞬間に自分が握っていたのは聖書ではなく刃物だった…」

17歳で暴力団の世界に飛び込みました。

そして、暴行事件などを起こし実刑判決を受けること2回。

合わせて3年服役した後、ボロボロの状態で駆け込んだ教会で、信仰に目覚めました。

現在は、刑務所の教誨師や牧師として活動しています。

翔之介さんが、初めて教会に来た時のことを、こう振り返ります。



・牧師 鈴木啓之さん
「彼が礼拝の中で泣いてるわけですよ。何か人生の転機を迎えようとしてて、必死で何かを模索してるんだろうなと思えて」

・翔之介さん
「鈴木先生の話を聞いていると、今まで隠していたものだったり、自分の中で覆っていた鎧みたいなのとかがどんどん剥がされていくような。鈴木先生に相談すると『今のお前の状況、手に取るようにわかるよ』って。やっぱり俺もわかってほしかったんですよ。誰かに。わかってくれる人がそばにいる」

・牧師 鈴木啓之さん
「自分の弱さを見透かされている、私もそうだったんですよ。初めて教会飛び込んだ時に愛されてるはずなんてないと思っていた自分を愛して下さってる方がいるんだっていうのを知らされながら、あなたの醜いところも汚いところも弱いところも、それでも神様はあなたを愛しているんだって。心開きなさい。自分は弱いと認めなさい」

■「こんな俺で大丈夫なんだから。必ず脱出の道はある」



ここで、自分の弱さを認めた翔之介さん。自身の成長について語ります。

・翔之介さん
「忍耐って言葉大嫌いだったんですけど、黙って話きいてあげようとか、お前それ違うよって言うんじゃなくて、そうだよなってその人の気持ちを分かってあげようとする気持ちだったりとか」

・牧師 鈴木啓之さん
「聞く耳がだいぶできたよな。人の話聞かなかったもんな」

・翔之介さん
「全然、聞かなかったです」

・牧師 鈴木啓之さん
「悪いものに依存している人が、悪くないものに依存して、今の依存から脱却できるようになったら、宗教だっていいし、なんだっていいじゃないかと。その人がいい方向に向いて行けるならそんな場所にこの場所がなってほしいと正直思う」

・翔之介さん
「全然大丈夫。こんな俺で大丈夫なんだから。大丈夫。必ず脱出の道はある」



♪All Right!!
「全然大丈夫 今すぐ消し去ろうぜその恐怖 道に迷った時でさえも 自分が嫌になりそうなときも 君は愛されるため生まれた 願い全て叶えられるんだ」

◇元家庭裁判所調査官 品田一郎氏
「目の前の成功経験として更生したロールモデルがあるのは、有意義。こういう場所が増えることが、失敗した若者のためになる」

◇シロアム・キリスト協会
・札幌市中央区南7条西8丁目 LC拾八番館5階
・電話 011‐206‐4925
・礼拝 毎週日曜午後7時~

【お詫びと訂正】
4月20日に配信したこの記事の動画で、牧師の鈴木啓之さんの年齢を59歳とお伝えしましたが、正しくは69歳です。
訂正してお詫びいたします。

北海道ニュース24