「随意契約」の備蓄米が中小の小売店にも…ネット通販の予約は「悪戦苦闘しているうちに売り切れ」供給には別のハードル“新たな袋を制作する必要も”
2025年05月29日(木) 19時33分 更新
備蓄米の随意契約は、中小のスーパーやマチの米店も対象になりました。これで早く広く行き渡るのかと思いきや、ハードルはまだ、残されています。
◆中小のスーパーなどを対象にした説明会
北海道内に26店舗を展開するスーパー「ダイイチ」の帯広本社です。
・説明会音声
「それでは小売業者向けウェブ説明会を開催したいと思います」
「5キロで1800円程度」。コメの販売店や中小のスーパーを対象にした備蓄米の売り渡しに関する説明会に、ダイイチも参加しました。
この中小事業者向けの申請の受け付けは、5月30日から始まります。
ダイイチは、大手小売事業者を対象にした前回は申請要件を満たしていなかったため、満を持しての参加です。
・ダイイチ西崎進常務
「今回対象になったので、高止まりしているコメをできるだけお求めやすい価格で提供したい」
◆5キロ2000円程度の備蓄米は「争奪合戦」
一方29日は、「5キロ2000円程度」の備蓄米の引き渡しがスタート。
アイリスオーヤマや楽天では、さっそく午後からネット通販で販売予約が始まったのですが…
・中原達也記者
「…あ、きた!(つながらず)うわ…」
・中原達也記者
「サーバーにつながらず悪戦苦闘しているうちに売り切れてしまいました」
1時間後には売り切れに。
すでに「争奪合戦」の感もある備蓄米ですが、「奪い合い」は別の場所でも。
・道央の精米会社幹部
「大体いま4、5件のお得意様から『精米できるのか』と問い合わせが来ている」
そう話すのは、道央に精米工場を置く会社の幹部です。問い合わせは、道外の会社も含まれているといいます。
小売業者の多くは、精米設備を持たず、玄米で引き渡される備蓄米の扱いが課題となっていて、いま精米工場に多くの引き合いがきているのです。
年間5000トン程度を精米するこの会社は「数量に応じて引き受けたい」としつつ、懸念も持っています。
・道央の精米会社幹部
「通常のプラスアルファになる仕事。大量になるとオーバーフローしてしまう」
◆備蓄米を入れる袋の製造にも時間が…
さらに、備蓄米の供給には、まだハードルがあると指摘します。
・道央の精米会社幹部
「問題なのはやっぱり袋、コメを入れる袋を作らなければならない。早くて2週間、3週間かかるのかな」
袋の問題です。
この幹部の話では、新たな備蓄米が出れば原材料も違ってくるため、袋も新たに作らなければならないといいます。
一方で、袋の製造会社は、これまでに放出された備蓄米用にすでに多くの発注を抱えていることから、袋の完成までに時間がかかり、その分、コメの供給も遅くなるのではとみています。
道内のすみずみに早く備蓄米が供給できるかは、まだ不透明な状況です。