“幻の橋”90年前に造られた鉄道アーチ橋「タウシュベツ川橋梁」…幻想的な姿は今年が最後?時代に翻弄された鉄道遺産 北海道上士幌町
2025年04月28日(月) 16時30分 更新
季節によってその姿が見え隠れすることから「幻の橋」と呼ばれる北海道遺産が北海道の十勝にあります。
いよいよ幻が現実味を帯びてきたこの北海道遺産をめぐるツアーが2025年も始まりました。
北海道上士幌町の糠平湖です。
湖畔の森を歩くこと15分。
古代ローマの遺跡を思わせる“アーチ橋”が現れます。
「タウシュベツ川橋梁」です。
旧国鉄・士幌線の鉄道橋のひとつで、北海道遺産に登録されています。
ガイド
「元々はうっそうとした森だったところに、昭和30年、ちょうど70年前に全部(木を)伐って湖にした」
大型連休初日の26日、地元のネイチャーガイドが案内する見学ツアーが始まりました。
札幌から
「幻想的な感じかなと思いました」
福岡から
「この橋をたまたま写真で見て、いつか来たいと思って。こんなに崩れているとは思わなかったので、あと1年本当に持つのかなって」
沢を渡り、観光客がここまで橋に近づけるのは、今だけです。
糠平湖は人工のダム湖で、夏になれば水位が上がり、橋は湖の底に沈みます。
“幻の橋”と呼ばれる所以です。
ひがし大雪自然ガイドセンター 上村潤也さん
「薄い幅のセメントと砂利だけが首の皮1枚、鉄筋も入っていない状態で何とか持ちこたえている」
橋が建設された1937年は、世界が戦争に向かった混沌の時代。
貴重な鉄を使わずにコンクリートで造られた橋は、激しく朽ち、毎年、小規模な自然崩落が確認されています。
ひがし大雪自然ガイドセンター 上村潤也さん
「滅びゆく儚さ、そういうのが非常に魅力的なところで、90年前の職人の苦労や思いなども感じ取ってもらえたらと思う」
厳しい自然にさらされ、時代にも翻弄された「鉄道遺産」が人々を引き付けています。