北海道内で48万人に避難指示など「海底の浅い部分で起こったので津波が大きくなりやすい地震だった」避難所で熱中症疑いも…真夏の防災の難しさ
2025年07月31日(木) 16時26分 更新
30日朝、カムチャツカ半島近くで発生した巨大地震。北海道内の太平洋沿岸にも津波警報が発表されました。
服部志乃 記者
『根室市花咲港の様子です、避難する車で混雑しています』
東日本大震災以来、14年ぶりに発表された津波警報。
浦河町では、レベル5の緊急安全確保が出され、また、北海道内の47万人以上に避難指示が出されました。
根室市花咲で、北海道で最大となる80センチの津波を観測。
釧路市内では、川の水が逆流する様子が見られました。
建物などへの被害はありませんでしたが…
真夏の避難で浮き彫りになった課題を、もうひとホリします。
改めて今回の地震についてです。
・30日午前8時25分ごろ、カムチャツカ半島付近で発生
・最大震度は釧路市などで震度2
・津波観測は根室市花咲で80センチ、十勝港で70センチなど
・太平洋沿岸に津波警報が発表される
・避難中に転ぶなどして15人がけが、体調不良
・最大48万人を対象に、緊急安全確保や避難指示が発表されました。
今回は、大きな揺れを感じない地震、また時間が経ってから津波が高くなるという特徴がありました。
こうした地震のメカニズムについて、北海道大学地震火山研究観測センターの高橋浩晃教授に聞きました。
北海道大学 地震火山研究観測センター 高橋浩晃 教授
「海底の浅い部分で起こったので、津波が大きくなりやすい地震だった。1500キロ以上離れた北海道にも少し岸壁にかぶるような、津波が押し寄せたのではないか。第1波の津波は、千島海溝と呼ばれる、海底の谷を伝ってきた、一方、別の方向に向かった津波が、山脈に当たって、それが反射して北海道にやってくると。複雑な津波の伝わり方がある関係で、時間がたってからより大きな津波が(特に太平洋側に)観測された。」
この地震による、北海道沖の大地震への影響は…
北海道大学 地震火山研究観測センター 高橋浩晃 教授
「(震源が)北海道から1500キロ程離れてかなり遠いので、北海道の沖合の十勝沖とか根室沖(で起こる地震)に直接的な影響を及ぼすことはないだろうというふうに考えています。」
さて、30日は厳しい暑さの中での避難となりましたが課題も浮き彫りとなりました。
津波警報の発表を受け、苫小牧市の高台にある公園に、避難者が押し寄せました。
照りつける日差しを避けようと、木陰で暑さをしのぐ人が多くみられました。
避難者
「飲み物も用意してないから、私は自動販売機で買って。必ずなんか飲み物は常に持って歩かないとだめだなと思いました」
夜8時になっても津波警報は解除されず、避難所の小学校で一夜を過ごす人の姿もありました。
市の職員
「学校はクーラーがついてないので、窓をあけて扇風機を回す対策をとっている」
保健師
「水分とれてますか?」
市の保健師が、避難している人たちの体調を確認しに回ります。
保健師
「今のところは落ち着いているみたいなんですけど、暑いですし、脱水症とか体調の変化とかは心配だなって、今後」
避難者
「蒸し暑い。保冷剤を家からずっと首に巻いてきたんですけど、これが少し気持ちいい感じ」
避難者
「だんだん気温が高くなってきて、昔の苫小牧と違くなってきたから、学校もクーラーをつけたほうがいいと思う」
30日北海道では、津波から避難していた2人が、熱中症の疑いで手当を受けました。
1人は北海道白老町の屋外で、もう1人は函館市で、停めた車の中にいたということです。
日本赤十字北海道看護大学の根本昌宏教授に夏の避難所での過ごし方や避難行動について伺いました。
日本赤十字北海道看護大学 根本昌宏 教授
今回の地震は遠地津波と言われる、自分のところは揺れていないのに避難指示がかかるという特別な災害対策だったと思います。そんな中で住民が行政の指示に従って避難行動をとったことは、避難した方に感謝したい。
北海道がここまで暑くなること自体が災害級。そのような中で避難行動、避難生活をすることは住民にとっては想定外のことが繰り返されたと思います。
避難するだけでも疲れることが夏の避難の難しさと思いますし、津波に対する恐怖も心を痛めます。
■今回の避難で分かったことは…
・夏場の徒歩避難は疲労しやすい
・津波襲来の不安は心身の変調を起こしやすい
→体調の変化を周囲の人が声を掛け合って確認する
→食べ慣れた水分・塩分が補給できるものを用意する
→夏用の防災リュックの準備をする
・自分が行く「避難所の特徴」を知る(空調の有無など)