【知床クマ死亡事故】羅臼岳の入山規制 解除のめど立たず…「クマが住んでいるところに我々が入っていく」再発防止策が難航
2025年08月21日(木) 20時30分 更新
北海道知床半島の羅臼岳で、登山中の男性がクマに襲われ、死亡した事故から1週間。
世界遺産の入り口である、斜里町ウトロの道の駅には、21日も多くの観光客らが訪れていました。
観光客
「怖いですよね」
「あまり安易に登山客を入れちゃうのもどうかと思うし…」
一方、死亡事故が起きた羅臼岳の登山口は。
今村朋慎カメラマン
「登山者が襲われた羅臼岳です。事故から1週間が経過しましたが、登山道は閉鎖が続いています」
誰も通らない登山口のそばでは、エゾシカの姿もありました。
8月14日、日本百名山の一つとして人気のある羅臼岳の斜里町側の登山道で、下山中だった東京の26歳の男性がクマに襲われ、翌日、死亡しているのが見つかりました。
その際、男性を襲ったクマは、子グマ2頭とともに駆除されました。
襲われた現場周辺には、男性のバッグや血の付いた衣類のほかスマホやサングラスなどの所持品が散乱していて、20日までに警察や斜里町などが回収しました。
相次ぐクマによる人身事故に、北海道は21日、国や地元の自治体など関係機関を集めて、緊急の対策会議を開きました。
羅臼岳では、事故前の8月10日と12日に、クマが登山者につきまとうなどの接近事案が相次ぎましたが、土地を所有・管理する国の北海道森林管理局にも、入山規制を敷く基準はありませんでした。
今回の登山口の閉鎖は、捜索・救助活動を行う警察などからの要請によるものです。
北海道森林管理局・計画保全部保全課 繪内秀樹課長
「クマが住んでいるところに我々が入っていく。クマが往来する、クマと出くわすのは避けられない状況。そういった観点で（規制解除を）判断するのは、我々自身も答えを導くのは難しい」
羅臼岳の入山規制について地元の斜里町は…。
斜里町 増田泰 副町長
「登山道自体は、林野庁の土地にあって広域ですし、羅臼岳のほうに登山口があるし、斜里町だけで（規制解除を）決められない。事実確認がある程度わからないと、（登山道を）開けるという話にならない」
世界遺産で起きた、初めてのクマによる登山者の死亡事故。
管理する行政側は、有効な対策を見い出せず、羅臼岳の入山規制解除のメドは立っていません。