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拡大するアライグマの食害 器用で知能も高いが捕獲しやすい習性も…最新の巣箱型ワナ『らく~んキャッチャー』エサ不要で“好奇心”で入って来る

2025年07月16日(水) 20時36分 更新

見た目はかわいいけれど、とんだやっかいものが北海道内で被害が拡大しています。



札幌市清田区に住む視聴者から寄せられた映像には、家の庭に現れたアライグマが記録されています。ジューンベリーの実を食べています。

北海道大学 池田透 名誉教授
「その時期、時期で一番手に入れやすくて、おいしいものに入り込みます。収穫しようとするときれいになくなっているのがアライグマ被害の特徴」



長沼町の農家
「今のところ19頭。まだまだとりたいが農作業が忙しすぎて、これ以上手をかけられない」

収穫時期になると畑の作物を食い荒らす厄介者。急増するアライグマへの対策を「もうひとホリ」します。



ジョージ農園 江崎佑さん
「ここに(ワナを)仕掛けている。あと上のほうに右にあります」

7年前、アライグマにスイートコーン約3000本を食べられたのをきっかけに、ワナを6か所仕掛けるようになった北海道長沼町の農家、江崎佑さん。

毎日、車でワナを見回り、感染症対策で手袋をしてエサを交換します。

ジョージ農園 江崎佑さん
「7月になると収穫で忙しくなる。この作業をやり続けるのは結構大変」



捕獲したアライグマたちワナと電気柵を併用して、ここ数年は被害をなんとか防いでいるといいます。

ジョージ農園 江崎佑さん
「積極的に減らしていけるような動きを行政に動いていただかない限りは、私が死ぬまで毎年捕獲していかないといけない」



北海道内のアライグマの捕獲数です。

1990年代は、ほとんど確認されていませんでしたが、2023年度は3万5000頭を超え、過去最多となっています。

スイートコーンなどの野菜や果物の被害額も年々増加し、2023年度で約1億7400万円にのぼっています。

北海道大学 池田透 名誉教授
「残念ながら(数が)減るような捕り方がされていないのが現状。アライグマは平均4頭子どもを産む。アライグマ100頭いたとして、なにも捕獲しないで放っておくと、12年後には1万頭を超える」



きれいにスイートコーンを食べるアライグマ。

器用で知能も高いアライグマですが、意外にも、捕獲しやすい性質がある動物だといいます。

これは池田名誉教授らが開発した巣箱型のワナです。その効果は…



北海道大学 池田透 名誉教授
「体がスポっとはまるような空間を置いておくと、ワナは餌がいりません。」

アライグマは、自分が休むのに適した場所を見つけると恐れることなく入っていきます。

警戒心より好奇心が強いのです。

ワナの中にエサを入れておく必要がないため、クマを引き寄せる心配もありません。

さらにアライグマがワナにかかると、メールで情報が送られてくるので毎日ワナを見回る手間が大幅に減ります。

この巣箱型のワナ『らく~んキャッチャー』は2025年4月から1つ5万円で発売され、月1万円からのレンタルも行っています。

北海道大学 池田透 名誉教授
「初期投資はあるが、その後の人件費を考えると大幅なコストダウンに」

長沼町は「タンチョウも住める町づくり」を掲げて生息環境を整備していますが、タンチョウのヒナや幼鳥は、アライグマにとって格好の獲物です。

この対策にも巣箱型のワナが導入され、タンチョウの保護に一役買っています。

巣箱型のワナは、現在、北海道内で約150個稼働していますが、池田名誉教授はさらなる普及でアライグマ対策を進めたいとしています。



北海道大学 池田透 名誉教授
「(アライグマは)都会で生活するのも何も苦にならない動物です。放置していたら当然札幌、旭川、そういう都市にどんどんアライグマが入り込んでくる。被害を受けている農家さんだけではなく地域全体で社会的なサポートをしていくそういう体制が望まれる」

北海道ニュース24