本格的な“多死社会”で火葬が何日も待たされる可能性も…札幌市では54年度に年間約3万2800件におよぶ火葬件数 霊園では管理が楽な「樹木葬」の人気高まる
2025年06月27日(金) 16時04分 更新
「人手不足」など人口減少のひずみは、北海道内でもみられますが、“あちら”の世界の入口では、これから押し寄せる人々の準備に追われています。
北海道札幌市南区にある民間の霊園、「藤野聖山園」です。
6月27日、新たな区画の販売が始まりました。
貴田岡結衣記者
「この区画、お墓には見えないですね。華やかなバラなど公園のような空間が広がっています」
木や草花に囲まれる「樹木葬」のエリアです。
四角い墓石とガーデニング。
ペットと眠れる区画もあります。
藤野聖山園 柿木克弘理事長
「このタイプが、6人まで入るタイプで85万円」
価格は、タイプによって85万円から170万円ですが、366区画の募集に、すでに10件ほどの仮予約が入る人気ぶりです。
「墓守をする子どもがいない」
「子どもに負担をかけたくない」
背景には少子化や核家族化で、変わる家族の価値観があります。
藤野聖山園 柿木克弘理事長
「少子化の影響もあって、後継者がいない人も多いですから、子どもたちに迷惑をかけたくないというお客様が多い。水まき作業もわれわれでやってますので、墓石が汚れていたら、手入れをさせていただいている」
見学に来た札幌市民
「樹木葬であれば、20年、30年、50年後、親族で管理するの楽かなと思って」
2024年の札幌市の出生者数は9669人。
62年ぶりに1万人を割り込みました。
これに対し、「団塊の世代」を含む75歳以上の人口は、約31万2000人。
この世代が寿命を全うする時代に、ひっ迫が予想されるのが火葬場です。
協議会の委員
「やはり友引は出したくないという声が意外と多い」
大学教授や市民などでつくる札幌市の火葬場や墓地のこれからを検討する協議会です。
札幌市の年間の火葬件数のグラフを見ると、24年度は、2万6400件あまりでしたが、2054年度は、2割増えて、約3万2800件に達するとみられます。
この時、2か所の火葬場のうち、1か所が大規模な改修が必要になった場合、希望の日に火葬できないばかりか、何日も待たされることになるかもしれないのです。
協議会 石井吉春委員長
「死にかかわる行政サービスは範囲が広いし、施設整備を伴うものが多いですから、火葬場や墓地についても具体的な整備が必要になる」
高齢化が進み死者数が増えて人口が減っていく。
日本は、本格的な「多死社会」に入ったとみられています。