【参議院選挙】北海道選挙区は現職3人が再選 比例では鈴木宗男氏「奇跡」 候補者の17日間の戦い 逆風と追い風 今後のシナリオは? 専門家解説
2025年07月21日(月) 21時49分 更新
堀啓知キャスター)全国的に逆風にさらされた自民党ですが、改選3議席を争った北海道選挙区では、現職3人が再選ということになりました。
最後まで3番目の議席を、4番手5番手で争っていたということになりましたね。
堀内大輝キャスター)4番手の参政党の事務所の取材をしていたんですけれど、やはり勢いというか、SNSを活かした発信を意識的にやっていたということで20代、30代、40代、それからこれまで政治に関心がなかった層に支持を広げていたというような印象がありました。
堀啓知キャスター)集会に行くと親子連れでいる方も多かったですね。
宮本さん、今回の参院選、改めてどんな印象を持ちましたか?
HBC選挙解説・宮本融さん 北海道文教大学教授
「時代が変わる。その胎動がここから始まるんだなという感じですね」
堀内大輝キャスター)候補者たちの17日間の戦いを振り返ります。
午前4時半すぎ、突如始まった、記者会見。
23年ぶりに自民党に復党し、全国比例区に立候補した鈴木宗男氏から出たのは、まさかの「敗北宣言」でした。
鈴木宗男氏
「今回の選挙、超短期決戦で、精いっぱいの戦いはしましたが、今の状況から見るとちょっと厳しい」
しかし、このあと「奇跡」が起きることは、本人も報道陣も知りませんでした。
一方、同じ比例区で早々に「勝利宣言」をした橋本聖子氏。
いわゆる「裏金問題」で党から処分を受けるなど大きな逆風の中での選挙戦。
厳しい戦いを支えたのはとなりに立つ息子でした。
息子・亘利翔(ギリシャ)さん
「母をよろしくお願いします」
「五輪の申し子」にふさわしいその名も…亘利翔。
橋本聖子氏
「全世界があっと驚くような国際イベントを、未来の札幌、未来の北海道のために、私はやらせていただければありがたいです」
JOCの新会長にもなり、野望を抱きます。
鈴木雅貴氏
「いやー寂しいですね。昨日もテレビ電話したんですけど」
国民民主党の鈴木雅貴氏。
この日は、束の間の休憩中に父親としての顔をのぞかせました。
鈴木雅貴氏
「ちょうどいま、しゃべれるようになってきていて、ようやく「パパ」とちゃんと言えるようになっていて。間近で見れない寂しさはあります」
議席には届きませんでしたが、パパの頑張りを家族はきっと誇りに思っているはず。
髙橋はるみ氏
「えー恥ずかしいよぉ」
陣営スタッフ
「だからいいのよ」
自民党の高橋はるみ氏と記念撮影をするのは、富山県の新田八朗知事。
実は、高橋氏の5つ下の弟で、「手作り選挙」を掲げる高橋氏の総決起大会のメインゲストでした。
新田八朗 富山県知事
「もう富山に彼女の家はないんです。今更返品されても困るんです!どうか北海道のために高橋はるみを使い倒してください!」
トップ当選を果たした高橋氏。
お姉ちゃんは、まだまだ北海道のために働きます。
勝部賢志氏
「私は、学校現場出身でありますから、子どもたちの教育環境を整備することは急務であります」
選挙戦、最終日の夜のススキノ。
子どもたちの手本となるような行動を見せてくれたのは立憲民主党の勝部賢志氏です。
突然、演説を止め、マイクを下ろしました。
救急車のサイレンを妨げないためでした。
さりげない気配りに支持者らも静かな拍手で応えました。
岩本剛人氏
「元知事でもない、YOSAKOIもやっていません。まったく私は知名度がございません」
徹底した「自虐ネタ」作戦を展開したのは自民党の岩本剛人氏でした
岩本剛人氏
「倒れないでね」
この気遣いと優しさが「知事やヨサコイ」ではなくても、再び当選を手にした秘密なのかもしれません。
この日の普段着は、オレンジ色ではありませんでした。
公示前、参政党の田中義人氏は参院選についてこう、漏らしていました。
田中義人氏
「目標としては13万票以上得票したいという目標を掲げています。これは当落に向かっていくと、当選ラインには届かない目標値になっています」
しかし…。
神谷代表
「1、2、参政党~!」
道内も席巻した「オレンジ旋風」。
堀内大輝キャスター
「参政党、田中さんの最後の訴え…大通公園、たくさんの人が集まっています」
自民党から離れた保守層や若い世代の無党派層などの受け皿となって今回の選挙の台風の目となりました。
参政党支持者
「(どのような政治のスタンス?)もちろん愛国ですけど、(自民党から)もっと右派に出てきてもらいたかったんですけど全然現れないし」
参政党支持者
「日本人ファーストに共鳴したというか」
ふたを開けると、田中氏が獲得したのは約32万5000票。
当選した自民の岩本氏に約8000票まで迫るなど、「オレンジ旋風」は道内でも確かに起きました。
松山千春さん
「果てしない~大空と~」
最後の戦いと位置づけた比例区の自民党の鈴木宗男氏。
早朝の「敗北宣言」から一転、昼ごろ、「奇跡」が舞い降りました。
比例区の当選枠に滑り込んだのです。
鈴木宗男氏
「皆様を待たせてはいけないと思って会見をさせていただきましたが、今振り返って目に見えない力によって、生かされたと」
鈴木宗男氏の最後の戦いに、終わりはありません。
堀啓知キャスター)今回の参院選では国民民主党や参政党が議席を増やしたわけですけれども、宮本さんは参政党の躍進をどうみていますか?
宮本融さん)やっぱりそれだけ不満が溜まっているということだと思うんですよね。ただその不満の溜まり方も…。(参政党は)いろんなことおっしゃっていて、「日本人ファースト」ということにマスコミは光を当てていますけれども、有機の話とかね、減税の話もしているし。その意味では政治学者が普通の固守主義とかね、極右とかというカテゴリの中にはまらないことをいっぱい言っていて。どのアジェンダがどのくらい躍進に寄与しているんだろうか、ということに疑問をもつわけですよ。叩かれて叩かれて伸びたと最後おっしゃっているし、道内も最後の段階で雑誌が叩いたでしょう。ああいう記事は、結論から言うとファクトチェックも出来ないまま投票せざるを得なかった我々からすると、すごく不安定なところで投げ出されていて、その中で判断しなければならない。ということを考えた時に、こういう刺さりそうなこと全部言う政党っていうのはね…手ごわいなと。
堀啓知キャスター)一番わかりやすいキャッチコピーが「日本人ファースト」だったんだけども、確かにいろんなことに実はウイングを相当広げて言っているんですよね。
実際それで、(票を)獲得したということは、何かには刺さったということですよね?
宮本融さん)そうですね。だからその意味ではポピュリズムといえばその通りで、刺さりそうなこと、それから目の前の…これは国民民主党の玉木さんも同じことを言っていて、106万円の壁は、オリジナルは「なんとかしてくれ!という学生が目の前に居たから」という所からスタートしている訳ですよね。だから、目の前に来た人が言っていることを「そうだな」と思って受け止めて。神谷さんという人は、非常に攻撃型で情熱をもって喋るから、その意味ですごく、まずい言いぶりも増えるわけですけれど…。だけど、爆笑問題の田中さんとのやり取り聞いていても、決して否定しない。これ、政治家としては、選挙キャンペーンやる人にとっては一番大事なことで、有権者は、自分の言っていることを否定されて、その人の名前絶対書かないですから。だから結局組織を立ち上げていくためには、否定しちゃだめだと。
堀啓知キャスター)確かに、神谷さんいろいろと、叩かれているときに「実はそうではないんですよ」と修正しているところありましたよね。それで前進してきたところがあるのかなと思いますけれど。
堀内大輝キャスター)「外国人差別」といった論調もある中でどうですか、と(田中さんに)聞いたけれど「それはやはり誤解であって、我々の伝え方という所で…」という話がやはりあって。「世間が思っているのと、我々の考えは違う」とはっきりおっしゃっていていました。
堀啓知キャスター)寺井さん、今回の参院選、どのあたりを注目しましたか。
寺井裕美子さん)私は働きながら子供を育てる親として、物価高ですとか、教育、将来の保証など、身近なテーマで誰に期待したらいいのか、というところを考えてはいました。ですがやはり分かりづらくて、正直まだまだわからないことも、私自身もたくさんあったんですが。子どものために「将来こうなったらいいな」という、ちょっと考えるきっかけにもなったかな、というのは思いますね。
堀啓知キャスター)政党が多すぎて、(例えば)同じ減税と言っても中身が微妙に違うとか、有権者が考えることが本当に多かったなという感じがありますけども。
堀内大輝キャスター)今回、与党が過半数割れをしたという事で、今後いくつかのシナリオというのが考えられます。
・石破総理がこのまま続投
・野党との連立拡大
・石破内閣退陣 新総裁選出
・野党結束で政権交代を目指す
堀啓知キャスター)宮本さん、これからどんなことが起こってくると思いますか?
宮本融さん)これは結論から言うと、誰にもわかりませんけど、確率から言うと「石破さんが続投」という可能性が高いと思います。なぜならば、野党結束できるのであれば、去年の内に、衆議院選挙が終わった段階で、野田政権ができているんですよ。特に今回、参政党が伸びたことによって、野党が右と左に分裂してしまったわけじゃないですか。それで野党の結束は難しくなった。そして自民党が過半数割れを起こした。だから、落ちていく自民党に手を貸す野党はないので、連立の拡大も今の段階ではちょっと難しいなと。石破内閣を倒して新総裁ができて、その人が首班指名選挙を勝ち抜ける保証もないし。そこで顔を変えて、もし支持率が上がらなかったら、そのままズルズルいく可能性があるので。そういう怖い決断をできる人たちが、自民党のなかにそれだけエネルギーのあるが残っているかどうか、という問題になるんだと思います。
堀啓知キャスター)これから法案だとか、予算だとか、いろいろまた話し合うと思うんですけれど、与野党の調整力というのが、石破さんにはまた問われるのかなと思います。