【山の日】本格的な夏山シーズン 山岳遭難救助の訓練でHBC堀内美里アナが一日救助隊長として指揮 夏山は十分な水と食料のほか防寒、クマ対策グッズも必携
2025年08月11日(月) 20時20分 更新
11日は「山の日」。本格的な夏山シーズンを迎え、山岳遭難も増えています。
登山者の命を守る救助の現場に密着しました。
今年5月、北海道後志の羊蹄山で救助された、男女2人のイギリス人登山者。
防寒具を持たず軽装で山に入り、気温8℃の寒さで身動きがとれなくなりました。
イギリス人 登山者(5月羊蹄山)
「Sorry、ゴメンナサイ」
今年も道内では山岳遭難が相次いでいます。
7月末の時点で遭難した人の数は153人にのぼり、過去5年間で最多となっています。
夏山シーズン真っ最中のいま、山岳遭難救助の現場を「もうひとホリ」します。
■HBC堀内美里アナが一日山岳遭難救助隊長に任命
11日、十勝連峰の富良野岳で行われた道警による山岳遭難防止の啓発活動。
一日山岳遭難救助隊長に任命されたのは、HBCの堀内美里アナウンサーです。
堀内アナは、HBCのWEBマガジン「Sitakke(シタッケ)」で登山に関する記事や動画の連載を手掛けていて、今回の隊長拝命となりました。
■熱中症で動けない遭難者が発生という想定で救助活動
今回のミッションは、熱中症で動けない遭難者が発生した想定で救助活動を実践します。
さっそく装備が入ったリュックを背負いますが…
・堀内美里隊長
「おーっ!あっ!すごい!これ何キロですか?(20キロ後半ぐらいですね、30キロないぐらい)えーっ!」
登山に慣れている堀内アナも、この表情。
それもそのはず、この大きなリュックにはタンカをはじめ、ロープや隊員の食料など、必要な備品が詰め込まれています。
さすがに、この荷物で隊長任務は務まらないので、少なめの装備を背負って、いざ出発!堀内隊長を先頭に、要救助者のもとへ向かいます。
・堀内美里隊長
「では現在地確認!(隊長いま現在地がこの赤マルになっています。要救助者はこの位置なので、このまま直進で大丈夫です!)では、このまままっすぐ行きましょう!」
途中、位置を確認しながら進んでいきます。
北海道の夏の登山は、十分な水と食料はもちろん、夜になると10℃以下になることもあるため防寒具のほか、クマスプレーなどクマ対策のグッズも必需品です。
・堀内美里隊長
「要救発見!初期評価実施!」
倒れて、身動きが取れない登山者を発見しました。
・堀内美里隊長
「頭痛とめまいがあり熱中症の疑いです」
体を冷やすグッズを使うなどし、応急処置をすすめます。
その後、ヘリコプターで搬送するためのポイントまでタンカで運びます。
要救助者をヘリコプターに乗せる作業が始まり、堀内隊長は、要救助者が風圧で回らないよう、ロープで支えます。
そして、無事に救助ミッション完了です。
・堀内美里隊長
「自分がいま何をすべきかを瞬時に判断してやるチームワーク、やっぱり本当に訓練の賜物ですね」
・富良野警察署 地域課 伊藤修平警部補
「普段から(装備を)これぐらいでいいかなではなく、一応これも持っていこうという気持ちで、日帰り登山でも何かあったときに、自分でちゃんとできるだけ装備をもっていってほしい」
■毎年100人以上が遭難…7月、8月全体の3割
堀内大輝キャスター
7月・8月の夏山シーズンは、遭難者の数も増えるので特に注意が必要です。
こちらは過去5年に道内で発生した山岳遭難者の数です。(山菜採り遭難は除く)
毎年100人以上が遭難していて、そのうち多いのが7月・8月で、全体の3割近くを占めています。
主な遭難の原因は「道迷い」が36.0%で最も多く、次いで「転倒」が20.1%、「悪天候」が11.4%となっています。
道警は迅速な救助活動を行うために民間企業とも協定を結んでいます。
■道警は登山アプリの運営会社と協定
道警は7月、登山アプリ「YAMAP(ヤマップ)」の運営会社と協定を結びました。
このアプリは、スマートフォンのGPS機能と専用地図を使うことで携帯の電波が届かない山の中でも自分が今どこにいるのか、現在位置を知ることができます。
山岳遭難が発生した場合は、この位置情報が警察や救助機関に提供され、迅速な救助活動につながります。
「YAMAP」は現在、30道府県以上の警察と連携していて、登山者にとっては、事前郵送やポスト投函が必要な登山計画書や登山届の提出をアプリで完結できるメリットもあります。
■夏山登山の注意ポイント
夏山登山で注意するポイントとして道警は次のことを挙げています。
・十分な水や食料を持参して下さい。水の量は個人差もあるので「多め」に持参。
・食料は「あんぱん」や「大福」など、手軽にカロリーがとれるものがオススメ。
・クマ鈴やクマスプレーなどのクマ対策も重要で、クマスプレーの持ち運び方にも注意が必要。スプレーをリュックの中にしまっていると、いざという時にスプレーを出すことはできません。しかし、すぐ使えるよう、リュックのベルトなどに装着しておけばすぐに吹きかけることができます。
特に暑い日の登山は、脱水症状になりがちですので、無理のない計画で楽しんでください。