北海道のニュースNews

アイコン北海道のニュースHokkaido News

「ここまでの食害は過去にない」シカに食い荒らされたリンゴの木が無残な姿に…実がつかないため伐採も 果樹園農家の被害が深刻化 北海道増毛町

2024年04月16日(火) 18時56分 更新

 エゾシカによる食害が深刻です。
北海道留萌市の隣り、増毛町の果樹園では、特産のリンゴの木などが食い荒らされ、無残な姿となっていて、農家が頭を悩ませています。

ヤマセン仙北果樹園 仙北清孝さん
「これがだいたい20年近くたっています。これがシカの食べた跡」

 北海道増毛町で果樹園を営む仙北清孝さんです。
仙北さんは4月、果樹園のリンゴの木の伐採を余儀なくされました。シカによる食害のためです。

谷本洋記者
「伐採されたリンゴの木です。シカの歯の跡が無数に付いていて、ささくれだっているのが分かります。そして全面が食べられているのが良く分かります。ほとんど皮が残っていません」

 仙北さんの果樹園では、栽培しているリンゴの3割ほどが被害にあいました。

ヤマセン仙北果樹園 仙北清孝さん
「360度(樹皮を)剥がされると上が枯れてしまう。これまでないですね。増毛の果樹園の歴史のなかで初めて」

 他のフルーツの木もよく見てみると、花が咲く芽が食べられています。こうした木は、ほとんど実をつけないということです。

 近くの果樹園を経営する兜謙悟さんも被害を受けました。 
 
増毛町で果樹園を経営 兜謙悟さん
「伐採はしかたがない。またリンゴ植える。リンゴ植えて(シカ対策の)網を張ろうと思って。これ毛あるでしょ、シカの毛」

 なぜ、ことしはシカによる食害が急増しているのか?

 増毛町などによりますと、シカの餌となるササが去年、一斉に枯れるなどして山で不足しているということです。

 また、昨シーズンの留萌地方の大雪の影響で、近くの川が雪に覆われたことでシカが渡れるようになり、エサを求めて果樹園にやって来たとみられるということです。

 無残な姿に変わり果てたリンゴの木。植え替えて、再び収穫できるようになるまで10年近くの時間が必要です。


 北海道内のエゾシカによる過去5年の農作物の被害額です。その額は、毎年増えていて、2022年度はおよそ48億4600万円にのぼっています。



 そして、野生動物別で見てみますと、2022年度は全体の被害額が58億8700万円で、エゾシカによる被害額(48億4600万円)は全体の8割を占めています。



 増毛町は果樹園農家からの要望を受けて、雪に埋もれない十分な高さのネットの柵など、シカによる食害対策を進める考えです。