笑顔届けるセラピードッグ デイケア施設や大学のキャンパスなどで需要増も活動がピンチ 活動支えるボランティアが不足
2025年07月29日(火) 20時22分 更新
高齢者施設などで笑顔や癒しを届ける「セラピードッグ」、その活動が『ピンチ』を迎えています。
トイプードルのモモちゃんが訪れたのは、北海道南幌町のデイケア施設。
モモちゃんは、利用者と触れ合い、笑顔を広げるお手伝いをする「セラピードッグ」です。
利用者
「ファンサもらった」
活躍の場が広がる一方で…
北海道ボランティアドッグの会 高瀬忠則 副理事長
「会員自体がいないので(新規を)みんなお断りするか、もしくは待ってくださいということで…」
ピンチを迎えているセラピードッグの活動を”もうひとホリ”します。
この施設では、2024年から月に1回の行事として、セラピードッグの訪問を取り入れています。
おなかをもしゃもしゃすると、おへそも見せてくれました。
ひざの上で抱っこも…。
介護老人保健施設ゆう 山口あゆみ 副主任
「ワンちゃんの名前を呼んで仲良くなったりとか。表情で分かるんですけど、明らかに効果はあると思いますね。癒しの効果とか」
セラピードッグを派遣したのはNPO法人「北海道ボランティアドッグの会」です。
登録しているセラピードッグは、一般の家庭で飼われている犬たち。
飼い主と一緒にボランティアで参加します。
犬たちは、最低限のマナーを身に着けているか、飼い主と適切なコミュニケーションがとれるかなどについて、適性検査を受けています。
セラピードッグは、こんなところにも。
札幌学院大学 カウンセラー 卜部洋子さん
「はいどうぞ!」
北海道江別市の札幌学院大学です。
2017年、学生が悩みを話しやすい環境をつくろうと、カウンセラーの飼い犬だったエースが、セラピードッグとしてデビュー。
いまは後輩犬のオルとともに、月2回、学生たちと触れ合います。
札幌学院大学 カウンセラー 卜部洋子さん
「ひとり暮らしする学生もいるので環境の変化でさびしくなったりもするので、こういうセラピードッグがいることで、ほっとしたり安らぎを感じたりすることもあるようです」
高齢化に加え、「生活の質の向上」という考え方も一般的になりつつあり、セラピードッグの需要は年々高まっています。
一方で、その数は、需要に追い付いていないのが現状です。
北海道ボランティアドッグの会 高瀬忠則 副理事長
「コロナで3年半止まっていた。活動が一切できなかった。前に札幌市内では17箇所やっていたが、再開要請はきているけど再開できない。要するにイヌがいなくて」
この会では、コロナ禍のあいだ、セラピードッグの登録を一旦解除していました。
現在、セラピードッグは、ピーク時の半数を下回る56匹。
高齢になった犬が引退したことや、共働き家庭が増え、飼い主がボランティアに参加しづらくなったことが要因とみられています。
北海道ボランティアドッグの会 高瀬忠則 副理事長
「要請がいっぱい来ているので応えたいとは思っているが、まずはセラピードッグを増やすことが目標」
セラピードッグなどの「コンパニオンアニマル」に詳しい帝京科学大学の山本真理子准教授は、セラピードッグを増やすためには、まずはこうした取り組みや効果を、広く知ってもらうことが重要だと話します。
帝京科学大学山本真理子准教授
「飼い主さんが、こういう取り組みを知って、もしかしたら自分のワンちゃんと参加できるかもしれないという意識をまず持っていただけるといい。国や自治体が動物介在活動・療法に対して、効果を認識するようになって、予算がつくようになれば、安定的な動物介在活動も可能になってくると思う」
◇◇◇
北海道ボランティアドッグの会の「セラピードッグ」の活動
・現在56匹が登録
・適性検査を受け合格しなければいけない
- 飼い主さんとコミュニケーションがきちんととれていること
- 吠えたり、飛びついたりしないなど最低限のマナーを知っていること
- 人が大好きであること
- 犬が活動にストレスを感じない、など
・飼い主も活動に同行(ボランティアのため交通費や日当はない)
「北海道ボランティアドッグの会」の適性検査は、春と秋に行われていて、次回は9月下旬です。
活動しているボランティアは、自分の飼い犬と一緒に活動できることが楽しいし、何より、相手の笑顔がやりがいにつながると話していました。