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中小企業に広がる『DX』化 ドライバーの自動点呼や異物混入を防ぐAI画像分析「費用に関わらず…」避けては通れない“人手不足”にあの手この手

2025年04月21日(月) 19時24分 更新

 人手不足解消の有効な手段として注目される「DXの導入」。北海道内の中小企業でも徐々に広がりを見せています。

AIによる自動運転で走るバスや、GPSを使ってブランド和牛を生産管理するシステムなど、デジタル技術を活用してサービスや働き方などを変革するDX=デジタルトランスフォーメーション。

いま実用化が進められ、中小企業でも活用する時代になってきています。

背景にあるのは、急速に進む「人手不足」です。

苫食 曽賀玄瑞 専務
「以前なら求人広告を出せば必ず数件の問い合わせがあった」

ネクスト 戸田洋視 北海道支店長
「基本的に運送業界、トラックドライバーも含めて、事務所員もなかなか募集しても応募が来ない」

DXは企業を持続させるチカラとなるのでしょうか。



中小企業に対するアンケートによると、「DX=デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいる」、もしくは「検討している」企業は全体の42%となっていて、2024年より11%ほど上がっています。

北海道内や本州に営業所をもつ、札幌の運送会社です。

この会社は2024年、国の補助金も利用し、ドライバーの「自動点呼」のシステムを導入しました。

「点呼」は、資格を持った運行管理者が、ドライバーの健康状態やアルコールチェックなどを原則対面で行い、安全運転に支障がないかをチェックします。

国交省は、運送業などの労働環境や人手不足の解消のため、4年前から段階的に「点呼」の自動化を進めています。


                                       
こちらの会社では、自動点呼中に不正をしないよう監視カメラでもチェック。



点呼の項目に引っかかるようであれば、運行管理者のスマートフォンにメールが行き、管理者だけが知る認証番号を入力しない限り、点呼が終わらない仕組みになっています。

ドライバー歴20年以上という現場の人は…。

運転歴20年以上のベテランドライバー
「最初のうちは慣れなかったけど、(点呼の)時間も気にならない。出庫時間は決まっているけど、いいと思う」

こうしたシステムを導入することで、別の業務を担ってもらったり、労働環境が改善されることで、従業員が家族との時間がとれるといった、ワークライフバランスの充実にもつながると話します。



ネクスト 戸田洋視 北海道支店長
「どうしても不規則な生活になってしまうので、体調も含め家族の時間もとれるので、自動点呼はこの時代に合わせた非常に良いものと感じている」

一方こちらは、苫小牧市にある、創業80年以上の製麺会社です。

地元のスーパーや学校給食向けに、うどんやラーメンなどを製造していて、多い時で1日6万食を作る生産ラインは、40人ほどの社員が支えていますが、悩みの種は人手不足です。

そこで導入したのが…。



佐々木賢ディレクター
「こちらの会社が導入したのは、AIを使った画像分析で、商品の異物を検索する機械になります」



苫食 曽賀玄瑞 専務
「学校給食向けの麺の製造は、異物の監視を強くするために別に4人を配置してチェックをし、その後さらに、もう1回全員で全数チェックをする作業をしていた」

画像データをAIが分析し、異物が混入していないか自動で判定します。

2024年11月の導入以降、従業員4人を他の業務にまわせるようになり、引き合いがあるラーメンの売り上げを、いまの3倍に増やそうとしています。

苫食 曽賀玄瑞 専務
「中小企業にとって設備投資は金額も限られているので、賃金を上げても人が集まらない状況も出てきているので、費用にかかわらず機械化、もしくはDX化していく必要がある」
 

世永聖奈キャスター:
製麺会社の「苫食」では現在、本格始動に向けてAIに画像データを学習させている段階です。わざと異物を入れた商品の画像なども覚えさせています。会社ごとに袋の形状や中身が違うため、システムを導入したからといって、すぐに稼働できるわけではないようです。
 

■世界初の技術“マグロの脂のり”を自動測定…マグロ超音波AI測定システム


水産業では、こんな技術も開発されています。



富士通などが開発したビンチョウマグロの脂のりをAIが識別する装置です。超音波を使った世界初の技術です。
                    
通常は冷凍マグロの尾を切断して、熟練の職人が断面を目視して、脂のりなどを評価しています。

この装置では、超音波の波形をAIが解析することで、マグロを傷つけることなく脂のりを評価することができるんです。

約12秒で自動測定でき、従来に比べて測定時間は約80%短縮され、脂のり判定の正解率も従来の手法より向上したということです。

現在、判別できるのは冷凍の「ビンチョウマグロ」のみですが、今後は「キハダマグロ」「カツオ」などに対応魚種を拡大。

さらに、脂のりだけではなく「鮮度」や「身の質」も評価できるようにするということです。

今後さらに人手不足が加速する中、中小企業にとってもDXの導入は避けて通れない課題となっています。
                          

北海道ニュース24