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紺色シャツに血痕、引きずられた形跡も…クマに襲われ不明の20代男性とみられる遺体「クマは出るけど、襲われた話は聞いたことがない」北海道知床・羅臼岳

2025年08月15日(金) 18時59分 更新

北海道・羅臼岳(標高1661m)の現場が、にわかに慌ただしくなりました。

中明寛人カメラマン
「これは担架に乗せられた人でしょうか。いま道警のヘリに吊り上げられています」

午後3時前、道警のヘリが担架を吊り上げます。



8月14日から行方不明になっていたクマに襲われた20代の男性の遺体とみられます。

斜里町内の病院に運ばれ、死亡が確認されました。

2005年に、知床が世界遺産登録された後、クマによる登山者の人身事故は初めてです。

知床半島の中央に位置する羅臼岳は、斜里町と羅臼町にまたがる日本百名山の一つです。



標高1,661メートル。9月には雪が降り始める、厳しい自然でも知られています。



事故は、14日午前11時ごろ、羅臼岳の斜里町側で起きました。

友人の男性と2人で登山をしていた20代の男性がクマに襲われ、登山道わきの茂みに引きずり込まれました。

警察や猟友会は、15日午前5時半から警察犬やドローンも使って捜索を再開。

午前9時半には、襲われた場所から数十メートル離れた山中で、男性の名前入りのカードが入った財布や催涙スプレー、腕時計、キャップなどが見つかりました。

さらに、紺色のシャツには血がついていて破れ、付近には引きずられたような跡があったということです。

そして、午後1時ごろ…



片山侑樹記者
「いまハンターが下山してきて…撤収を始めるんでしょうか」



破れたズボンや靴、リュックなどがあった辺りで、ハンターが親子のクマ3頭を見つけ、駆除しました。

その近くから男性とみられる損傷の激しい遺体が見つかったのです。

男性がクマに襲われたのは、標高550メートル付近。

当時に山にいた他の登山者らは、そこから少し下った、「オホーツク展望」と呼ばれるわずかな岩場からヘリで救助されました。





救助された登山者
「前から叫び声が聞こえて急ぎ足でいったらクマに襲われたと」
「クマはたくさん出るけど、襲われた話は聞いてなかったので驚いている」

警察などは、遺体の身元確認を進める一方、駆除されたクマが男性を襲ったクマかも調べる方針です。

■これまでに判明している情報

▼警察・猟友会は、15日午前5時半から捜索再開
▼男性が襲われた現場付近で、男性の名前が記載されたカード入りの財布、腕時計、キャップ、リュック、血がついて破れた紺色シャツなど見つかる
▼午後1時すぎ、現場付近に親子グマ3頭が出没し、親グマ1頭を駆除、その後午後1時半ごろに子グマ2頭も駆除
▼午後1時半ごろ、親グマを駆除したすぐそばで被害男性とみられる遺体発見

■羅臼岳の登山道で登山者がヒグマに遭遇する事例が多発

知床財団が発信しているSNSによりますと、人を避けないヒグマの出没が続いています。
▼今月10日、登山者が3~4メートルの距離でヒグマと遭遇…登山者はクマスプレーを構えたまま後退し、やり過ごすことができた
▼今月12日、別の登山者が至近距離でヒグマと遭遇…クマスプレーを噴射するも、数分間、ヒグマに付きまとわれる

▼そして、14日午前11時前、登山者の20代男性がヒグマに襲われる

■クマが男性を襲った原因
知床財団に勤務し、知床のヒグマに詳しい石名坂豪(いしなざか・つよし)さんに聞きました。
       
・登山者が山頂に向かう途中で、体力的な負荷を軽減するために荷物を置いていくことがありますが…。
▼登山道に一時的に置かれた荷物をクマが荒らして食料を得ることがある
▼食べ物の味を覚えたクマが、荷物を奪おうとした可能性

■荷物を途中に置く登山者の存在
登山者の中には「目的の山に早く登りたい」という思いから荷物を置いていく登山者が多くいます。

去年7月、大雪山系白雲岳で、荷物を置いて行った登山者が、山頂に向かう途中でクマを目撃し、引き返して来ました。クマが荷物の中の食料で食べて味を覚えてしまうと、人に付きまとう危険性が高まってしまいます。

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北海道ニュース24