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【無謀な登山者】羊蹄山では短パン、半袖シャツ姿の外国人カップルがSOSで「Sorry」夏山シーズンも入念な準備を…山岳ガイドが指摘する“低体温症”への注意

2025年05月28日(水) 20時26分 更新

全国で不十分な装備による「無謀な登山」が相次ぐ中、北海道後志地方の羊蹄山(標高1898m)でも、軽装の外国人が救助されました。

登山の専門家は、道内では本州以上に低体温症への注意が必要だと指摘しています。

◆短パン、半袖シャツ姿のイギリス人カップル

5月13日夜、雪が残る羊蹄山の9合目。



道警の救助隊員が助けに向かったのは、2人のイギリス人登山者です。

・道警の救助隊員
「ヘリコプターに乗せます」

30歳の男性は、薄手のジャンパーにハーフパンツ、29歳の女性は半袖シャツに長ズボンという軽装でした。



寒さのせいか、手が激しく震えています。

・イギリス人男性
「Sorry…ごめんなさい」

◆「寒くて避難小屋に向かえない」とSOS

晴れていたものの、風が吹き冷え込んでいたこの日の羊蹄山。

北海道山岳ガイド協会の佐々木大輔理事長は、2人の装備が不十分だったと指摘します。

・北海道山岳ガイド協会 佐々木大輔理事長
「(5月13日の羊蹄山は)気象によってはマイナスの気温になることもある。山の上で天候の悪化や気温が低下するときに対応する装備は必要だった」



2人はこの日の午前10時半ごろ、羊蹄山に入山。

しかし午後6時すぎ、「寒くて避難小屋に向かえない」と男性から通報があり、道警が救助しました。



◆本州以上に低体温症への注意が必要

道内では2009年7月中旬に、大雪山系のトムラウシ山で、登山ツアーの参加者を中心に計9人が死亡。



この日の山頂付近は雨で、気温は約8℃。

20~25メートルの風も吹いていました。



佐々木さんは道内の山について、本州以上に低体温症への注意が必要だと指摘します。



まず北海道は緯度が高く、標高が同じくらいの本州の山と比べて、気温が低い傾向があります。

さらに高い木が育たなくなる「森林限界」も低く、風を遮るものが少ないということです。

こうしたことから、道内の山に登る際は、本州の山と比べて1,000メートルほど高いつもりで準備するよう勧めます。

・北海道山岳ガイド協会 佐々木大輔理事長
「けがをしたり命を失ったりすることがある。それをできるだけ考えて行動してほしい」



佐々木さんは登山の際に、雨具や保温性の高い衣類のほか、十分な食料も携行するよう呼びかけています。

北海道ニュース24