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猛烈な暑さが続く夏「食」への影響じわり…畑の野菜が大ピンチ!北海道の大地で寒さをしのぐ品種改良から耐暑性への改良が必要?

2025年07月18日(金) 21時53分 更新

18日も猛暑日になったところがありますが、今年の夏はとにかく暑い。まいているのは人間だけではありません。

札幌市内のスーパーに行ってみると…



買い物客
「今日はもう体を冷やすための野菜をメインで買おうかと思います」

買い物客
「これ(ところてん)ね、夏にいいですよね。暑いし年寄りだから、倒れないように冷たいもの買ってます」

キテネ食品館 中塚誠社長
「アイスも先月分から1つの商品が品薄という案内が来たし、ところてんも製造のストックがもうないので、その日は全量欠品になることも…」

連日の暑さで、スーパーの売り場に変化が起きていますが、畑ではこんな異変も…

木下純一郎記者
「伊達のレタス畑です。収穫間際のレタスですが、中には暑さの影響で腐りかけているレタスもいくつか見られます」

猛暑がもたらす「食」への影響を、もうひとホリします。

■キャベツやレタスの入荷が減少



キテネ食品館 中塚誠社長
「気温が高い状況が続いていて。葉物野菜っていうのがですね、非常にですね、品質が良くないっていうもので、市場に出てくるものの数が少なくなってるという状況で。こちらの白菜なんですけれども、昨日、今日と当店の方には入荷がないというような異常事態に今なってるっていう状況ですね」

この他、キャベツやレタスなども入荷する量が減ってきているそうです。

キテネ食品館 中塚誠社長
「例えばブロッコリーとかなんですけど、太陽が晴れた日が来ると日焼けして黄色くなってきたりする。そうなると数も少なくなって来る。イコール値段が高くなってくる」

伊達市の菅原農園 菅原俊和さん
「もう大変ですよ、暑くて」

レタスとキャベツなどを、40年間作り続けている伊達市の菅原俊和さん。

昔よりも夏の気温が高くなり、野菜が作りづらくなったと嘆きます。



伊達市の菅原農園 菅原俊和さん
「この葉は、雨が乗った状態で太陽に照らされて、その水分が熱くなって葉が焼けてしまう。煮えちゃう」



この状況が進むと、野菜が腐る病気「軟腐病(なんぷびょう)」になってしまいます。

4月から9月まで出荷するレタスですが、6月はほとんど壊滅状態となりました。

伊達市の菅原農 菅原俊和さん
「(夏本番これからですが)どうしようもないですね。野菜に耐えてもらわないと」

■美幌町のタマネギ畑は雨不足

北海道東部の美幌町では、雨不足のためタマネギ畑に水をまいています。

また、今月は18日までに真夏日が11日間と異例の暑さで、タマネギが十分な大きさに育たない可能性がでているそうです。

こちらは、道央のブロッコリーです。すでに収穫時期を迎えていますが、中に空洞ができています。





干ばつの後に、まとまった雨と高温が重なり、急激に大きくなったのが原因と考えられます。

■酪農業は換気扇やミストの装置で電気代30万円超

牧場にとっても暑さは大敵です。



士幌町の川口農業 川口太一社長
「(上にあるのが?)一般的に言われる換気扇ですね。この牛舎で30台。28℃を超えると暑さにはてきめんにダメージを受ける。免疫力もうまく働かなくなる。病気になる、乳量も落ちる、生産性も落ちる」

十勝の士幌町の「川口農場」では、換気扇やミストの装置にかかる電気代が月に30万円を超えます。

しかし、これでもまだ暑さ対策が足りないといいます。

士幌町の川口農業 川口太一社長
「こういうホースで。園芸用の資材ですけど、これを屋根の一番高いところにはわせて屋根散水。夏にテストでやってみたい」

さらに今後は、こんな対策も…

士幌町の川口農業 川口太一社長
「(冬は)水置いておくと勝手に氷ができる環境。その時に氷を作って、(夏に)冷えた水を飲ませるのは効果がある」

冬に作った氷で、夏に牛の飲み水を冷やし、暑さをいやすアイデアです。



士幌町の川口農業 川口太一社長
「8月、9月この2か月間をどう乗り切るか。この夏の酪農家の大きな課題」

■寒さをしのぐ品種改良から暑さに耐える改良が必要?

堀啓知キャスター)
牧場では、これまでの暑さ対策だけではしのげないと話し、新たな対策も必要となって来ているということです。

香山リカさん)
私がいる診療所も熱中症の方、今日午前中も何人もいらしていたんですけれど。人だけじゃなくて、野菜とか動物もそうなんですね。一過性のことだったらいいけれど、漁業ならお魚の変化とか見ていても、長期的なことが起きているのかなと心配です。

堀キャスター)
この気候変動は人、動物、植物、魚にも…すべてに影響を与えているのかなと思います。この週末、全道的に気温が高くなって、雨も降る予想ですが、畑にとって雨は「恵みの雨」とは言いますけれど…

堀内大輝キャスター)
そうとばかりも言えないみたいなんですね。道産野菜を扱う「エプロン」社によりますと、「高温が続く中での降雨は作物の生育に良い影響もあるが、病害の発生に注意が必要で、管理作業が難しくなる恐れもある」そうです。

堀キャスター)
雨不足も困りますけれど、雨が降っても病気の心配があると。農業というのは本当に難しいですね。

田村次郎さん)
本当に大変だなと感じますし、改めて農家さんには感謝だなと思っています。最近スーパーでも、一時期よりも野菜が買いやすくなっているんですよ、値段が。けれどもこういった形で、今後出荷される量がまた減ってくると価格が高くなってしまうんじゃないかという心配があります。もしこういう気候がずっと続くのであれば、今作っている物を変えなきゃいけないんじゃないかという考えも出てくると思うんですよね。

香山さん)
北海道だから、寒冷な気候だからこそやっているという方もたくさんいらっしゃるでしょうし。

堀内キャスター)
農家さんに聞いてみても、「どう寒さをしのぐか、というための品種改良を頑張ってきた。でも、それだけではだめになってくるという時代に入ってきているので、また頭を悩ませることになる」とも話していました。

堀キャスター)
北海道は夏場の時期、全国にもお野菜出荷するでしょう。北海道があまり取れないということは、全国のお野菜を高騰させることになりますよね。

堀内キャスター)そうですね。そういったことにもつながってきます。そして、この先1か月の予報が17日、発表されました。道内すべての地域で、気温が平年に比べて高くなるという見込みです。中でも、今月の下旬はかなり高くなるという予報になっております。

堀キャスター)
農業に携わる方々も、私たちも、がまんの夏となりそうです。

北海道ニュース24