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世界的な抹茶ブーム 札幌でも外国人観光客を魅了 その裏では原料不足による価格高騰が深刻 茶道教室「死活問題、抹茶がないと稽古ができない」 供給不足は続く見通し

2025年09月02日(火) 19時50分 更新

いま、世界的に注目を集めている、抹茶。

需要が高まるのはうれしい事ですが、悩みを抱えている人もいます。

さわやかな香りや美しい色合いが人気の、抹茶。



札幌市の老舗日本茶専門店には、国内各地から厳選された日本茶が並びます。

玉木商店玉翆園 玉木康雄 社長
「京都の宇治で作られた商品です。」



タイから
「(自分用の抹茶?)抹茶が大好きなんです。週3~4回飲んでます」

アメリカから
「色がキレイなんです。」

アメリカから
「抹茶ラテはアメリカでも人気」

外国人観光客も大注目の「抹茶」ですが…

玉木商店玉翆園 玉木康雄 社長
「原料原価で4倍に跳ね上がった」

「抹茶」の世界で何が起きているのか?「もうひとホリ」します。

堀内大輝 記者
「んーおいしい!さわやかな苦味ですね」

日本茶専門店の「玉翠園(ぎょくすいえん)」。

2024年から外国人観光客が急増し、2025年8月時点では、売り上げの2割を、海外の客が占めるまでになりました。



玉翆園 玉木康雄 社長
「お茶の味にほれ込んでくれて、自分たちの国の食文化に合わせる、毎日の生活リズムの中に組み込もうとして買いに来てくれる。うれしい」

抹茶はいま、世界的なブーム。

「ヘルシーでクールな飲み物」として人気が高まり、抹茶を含む緑茶の輸出額は、5年連続で過去最高を更新。

日本で生産する1割以上が海外向けとなりました。

一方で、国内では、原料不足による価格高騰が深刻です。

大手メーカーの「伊藤園」は、1日から、抹茶製品の19品目を最大で2倍に値上げしました。

影響は、ここにも…



お抹茶サロン wa no cocoro 鈴木志保里 代表
「そんな感じです」

「お抹茶サロン wa no cocoro(わのこころ)」。

本格的な茶道教室はもちろん、外国人観光客向けの体験も行っています。

堀内大輝 記者
「人気が高まっている一方で、困ってることもあると?」



お抹茶サロン wa no cocoro 鈴木志保里 代表
「稽古に使う抹茶が手に入りにくい状況になっている。本当に死活問題で、抹茶がないと稽古ができないので」

抹茶を購入できず、知り合いから譲ってもらうことで、かろうじて稽古を続けているといいます。

さらに、価格の高騰で、茶道教室の運営も…

お抹茶サロン wa no cocoro 鈴木志保里 代表
「本当は受講料にも反映させたいところだが、なかなか毎月通ってくれる人に急に値上げというのも難しい。いつかは考えなければならない苦しい状況」

人気に応えるため、増産はできないのでしょうか?

日本有数の茶葉の産地、福岡県の八女市では・・・



八女美緑園 江島一信 代表
「ここの茶畑に関しては、全部てん茶(抹茶の原料)にした。できるだけ抹茶ブームに乗って、生産量を上げないといけないので。7割くらいは抹茶にシフトしている」

そもそも、一般的に「緑茶」としてイメージされる「煎茶」や「玉露」と、粉末状になっていて「点てて」飲む「抹茶」は、どちらも原料となる葉は同じです。

こちらの生産者は、単価の高い抹茶のもとになる「てん茶」の割合を3割から7割に増やし、工場をフル稼働。

しかし、茶葉を乾燥させるための「炉」が、県内に4か所しかないため、

抹茶をこれ以上生産することは難しいそうです。

生産地では「抹茶ブーム」のゆくえを心配する声も…



福岡県茶商工業協同組合 流通部会 木屋康彦 部会長
「海外輸出が出てきたことで、量のバランスが変わってしまった。てん茶が増えることで、煎茶の原材料が(てん茶に)流れていっているので、日常のお茶に影響は出てきている」

静岡のお茶市場に聞いたところ、抹茶の輸出が増えたため、抹茶の原料となる「てん茶」向けに茶葉を生産する農家が増えているそうです。

この結果、私たちが普段飲む「せん茶」に回る量が減少傾向ということです。

さらに「せん茶」が減った余波で…

私たちがよく飲むペットボトルのお茶。

大手メーカーの伊藤園によりますと、希望小売価格は現在、税別180円ですが、10月からは税別200円になります。

背景には、もちろん物価高騰があるわけですが、「せん茶」の供給量が減っていることも一因だそうです。

このお茶不足、2026年以降はどうなっていくのでしょうか。



京都で150年以上続く宇治茶の老舗、碧翆園の堀井社長によると・・・
・産地では増産の動き
・世界でも定着が進み供給不足は続く見通し

鹿児島で新しい工場が建設されるなど産地では増産の取り組みが進められているそうです。

これにより、ある程度の増産が期待されていますが、海外では抹茶が一時的なブームで終わらず、定着してきているということで、今後も供給不足は続く見通しだということです。

北海道ニュース24