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いま注目の『パークPFI』って?都市公園が民間ノウハウが進化 札幌市が初導入でコスト削減などに期待 一方、事業者側は来場者を独占

2025年06月12日(木) 16時04分 更新

市民の『憩いの場』、都市公園が大きく進化するかもしれません。

四季折々の植物が楽しめる、札幌の百合が原公園に、この秋、新たな施設が開業します。

それは…。

民間事業者
「ここがメインの施設『リリリ』という建物ができる所です。手前が飲食・物販スペース。奥が学びのスペース。だいたい見えているところが“パークPFI”の敷地」



キーワードは『パークPFI』。

民間と行政が、公園の利便性や魅力アップをともに目指す取り組みです。

百合が原公園の利用者
「飲食店があると、もっと(公園に)長くいられる。いまは弁当を持参して食べているので」

『パークPFI』で、都市公園はどう進化するのでしょうか。

百合が原公園で建設が進む、その名も『LiLiLi(リリリ)』。

カフェでは、札幌のパン店『どんぐり』とコラボしたここだけのパンや、コーヒー、ジェラートなどを販売します。

さらに…。



ユリガハラ・パーク・フューチャーラボ 林匡宏代表
「ここは飲食・物販もあるが、いろいろな世代が学べる施設も併設している。『何かやってみたい』などいろいろなチャレンジをできる場にしていきたい」



小中学生が放課後に立ち寄れるスペースを設けるほか、近くの高等支援学校と連携協定を結び、生徒がカフェの接客や配膳を担うことで就労支援につなげます。

この『リリリ』の建設にあたり、札幌市が初めて導入したのが『公募設置管理制度』=『パークPFI』です。



『パークPFI』とは、自治体が公募で選んだ『民間事業者』に公園の土地を有償で貸し出して、飲食店などを出店してもらい、その収益の一部を公園の整備に充てる仕組みです。

名古屋の『Hisaya-odori Park』など、全国180か所以上で活用されています。

百合が原公園は開園から40年以上が経ち、施設の老朽化や駐車場不足などの課題を抱えていて、市では今回の『パークPFI』の整備エリアを含む地域を『ウェルカムゾーン』と位置づけ、駐車場の増設など、新たな賑わい創出を目指します。

ユリガハラ・パーク・フューチャーラボ 林匡宏代表
「公園の中で民間企業の常設の事業ができることはあまりないので、そこはすごくメリットになる」



『リリリ』は10月上旬にオープン予定で、イベントスペースや菜園、キッチンカーなどが停められる駐車場もあわせて整備されるということです。

一方、道内でいち早く『パークPFI』の活用を始めたのが、恵庭市です。

国道36号線沿いの『花の拠点はなふる』。

2021年にスターバックスコーヒー、その翌年には外資系のホテルが開業し、公園の利用者は1.5倍に伸びました。

千歳からの来園者
「小さい子連れが多いイメージ。(公園に来る)人は増えた感じはする、平日でも」

千歳からの来園者
「花がいっぱいあるのが(好き)」

企業側の収益で、公園の整備も叶いました。

恵庭市 花と緑・観光課 大林恒課長
「これは宿泊施設を整備したときに一緒に建ててもらった集会所。恵庭のオープンガーデンを模擬体験できる施設を整備して下さいというのが市の要求で、それに事業者が応えて、建物と庭を整備してもらったという流れ」



『パークPFI』の事業者選定にも携わる、富山大学の久保田善明教授は、こうした事例は今後も広がっていくと話します。

富山大学 都市デザイン学部 久保田善明教授
「施設が老朽化して、公園の魅力そのものも低下しているところで、再整備をしたいわけだが、財源をどうするかという問題が出てくる」
「その財源を、民間の資金を使って賄うことができるのであれば、行政にとってもいいこと。それぞれの公園の個性を生かしながら、どんな事業が可能かというのを、あらかじめ行政のほうでも想定しておく必要がある」



百合が原公園の「リリリ」ですが、札幌市が2023年に公募し、パン店の「どんぐり」や丸美珈琲などでつくる会社が選ばれました。

いまも月1回、今後どんな公園にしたいか、地域住民とワークショップを開いているのですが、これがそのアイディアを取り入れた「構想図」です。

■『パークPFI』のメリット



◆自治体側
・民間ノウハウの導入
・整備や維持管理コスト削減

◆事業者側
・競合他社のない環境で来園者を独占できる

◆注意点
・公益性と採算性のバランスがとれるか
・地域ニーズに即した事業内容か

この『パークPFI』は、札幌の大通公園の再整備にも活用が検討されているので、今後も注目されています。

北海道ニュース24