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父親は入居済み、母親と息子は拒否…新獣舎への引っ越し難航 おびひろ動物園の親子キリン 警戒心が強いうえ頑固な一面も「自発的に入るように訓練中」

2025年05月06日(火) 16時22分 更新

新築のマイホームと聞くと誰もが夢みるものですが、「おびひろ動物園」では、キリンの親子が新居への引っ越しを拒んでいます。

6日の「おびひろ動物園」です。ゴールデンウィーク最終日も、大勢の家族連れでにぎわいました。

・来園者
「ゴールデンウィーク最終日で近所なので、ゆっくり見れると思い来た」
・親子
「キリンさんどう?」「かわいい…」

おびひろ動物園に去年、新しく完成したのが、こちらの「キリン館」です。

このキリン館をめぐって、飼育員を悩ませるある問題が起きているんです。



◆新居への入居を拒む親子キリン
・堀内大輝アナ
「お父さんが、こっちだよという感じに見えますけど」

・おびひろ動物園 渡邊誠克園長
「手前まで来るが戻ってしまった」

完成から9か月。新しい獣舎に入ってほしい飼育員に対し、入居を拒むキリンの親子。試行錯誤が続くキリンの引っ越しを「もうひとホリ」します。

◆キリン親子に新獣舎完成も…
いまから60年以上前の1963年、札幌市の円山動物園に次いで、北海道で2番目に開園した「おびひろ動物園」。



ホッキョクグマやニホンザルなど63種類、およそ280の動物がいて、アミメキリンはオスの「メープル」と、メスの「ユルリ」、2頭の子どもでオスの「ユメタ」の3頭が暮らしています。

この3頭のために建てられたのが…



・おびひろ動物園 渡邊誠克園長(4月25日)
「去年完成した新しいキリン舎です。高い位置から視線を合わせていただきながらご覧いただける」

施設の老朽化を受けて、去年8月に完成した「キリン館」。事業費は、およそ5億8600万円。

悪天候でも冬場でもキリンが観察できるようにガラス張りの屋内展示室を備えています。



・おびひろ動物園 渡邊誠克園長
「1頭(オスのメープル)は慣れて中に入るが、もう2頭はトレーニング中でまだ新居を利用していない」
「キリン側の理由もありますので、人間だけの都合どおりにはいかなかった」

◆なぜ新獣舎に入らない?
せっかく作った新獣舎にキリンが入ってくれないのです。旧獣舎から歩いてすぐなのに、どうしてなのでしょうか。



・おびひろ動物園 渡邊誠克園長
「キリンは野生下では肉食の動物から身を守るということがあり、嗅覚とか聴覚、視覚すべてにおいて能力の高い動物。あと理由の1つの頑固な一面がある」

◆強い警戒心
もう1つの理由が警戒心の強さです。

こちらは2013年、おびひろ動物園で飼育されていたオスのキリンが釧路市動物園に引っ越すときの映像です。

輸送用の檻に警戒してなかなか入ろうとしません。入っても…逃げ出してしまいます。

その後、檻に入る練習を重ね、10日後にようやく引っ越しに成功しました。

実はメスの「ユルリ」も2019年に東京の多摩動物園からやって来たキリンです。

このときは25時間の長旅だったにも関わらず、すんなりと入居してくれました。

◆自発的に入る訓練



・おびひろ動物園 渡邊誠克園長
「強制的ではなく、注意を向けさせてキリンが自発的に入るようにというやり方でやっている」

去年から始まった新獣舎に引っ越すための訓練。

餌を持った飼育員が新しい獣舎に入りますが…メスの「ユルリ」は立ち止まってしまい、入ってきてくれません。

飼育員は、じっくり時間をかけてキリンとコミュニケーションを取りながら1つ1つ向き合っていくしかありません。

・おびひろ動物園 渡邊誠克園長
「早い時期に分かったのは、個体によってガラスに自分の姿が反射して気になる。ですのでカーテンで反射を防ぎ、映らないよう対策」

結局、旧獣舎で冬を越したキリンは、気温が安定した先月、引っ越しの訓練を再開。



先月下旬の夏の営業開始までに引っ越しを終えたいところでしたが…

・おびひろ動物園 渡邊誠克園長
「これが4月20日の様子。こちらは父親のキリンは中にいるのですが、このあとですね、母親キリンが入ろうとしている」

・堀内大輝アナ
「お父さんがこっちだよという感じに見えますけど」

・おびひろ動物園 渡邊誠克園長
「手前まで来るのですが戻ってしまった。これは去年の秋から」

・堀内大輝アナ
「もう半年くらいこの状態」



キリンが安心して新獣舎で暮らせるよう、飼育員の試行錯誤が続いています。

北海道ニュース24