ファイターズ2軍本拠地の誘致合戦が本格化 恵庭市が考えている候補地の1つ「西島松地区」エスコンFまで車で約20分、成功のポイントをホークスの“先輩”に聞く
2025年07月10日(木) 20時55分 更新
北海道日本ハムファイターズが2軍の本拠地を北海道内に移転することを表明して以降、誘致合戦が本格化しています。球団が情報交換をしている自治体のひとつ、恵庭市では「西島松地区」が候補地として浮上していることが、 複数の関係者への取材でわかりました。
北海道日本ハムファイターズ・栗山英樹CBO(7日)
「どこにもない世界一の施設を作るというお願いをします」
7日、千葉県鎌ケ谷市の2軍本拠地を、道内に移転する意向を発表したファイターズ。
新たな拠点には、5000席規模のスタジアムのほか、商業施設や住宅の建設も検討されています。
移転先の候補となっているのは、エスコンフィールド北海道や新千歳空港へのアクセスがいい「札幌圏」。
すでに6つの自治体が球団と情報交換を行っています。そんな中、ある候補地では…
時崎愛悠記者
「もしかすると、この土地にファイターズの2軍施設が建設されるかもしれません」
早くも「候補地」のひとつが浮上。
2軍の本拠地は、どのマチにやって来るのか。誘致に向けた動きをもうひとホリします。
■恵庭市では期成会が発足
10日、恵庭市長に誘致に向けた要望書を提出したのは、経済界や教育関係者らでつくる期成会のメンバーです。
署名活動やSNSでの発信を通じて、機運を高めていこうと9日、期成会を発足させました。
恵庭商工会議所・土谷秀樹会頭
「私たち、恵庭にとって非常に大きなチャンス。プロスポーツが地域にもたらす経済波及効果はもちろんのこと、計り知れない価値をもたらしてくれると確信しております」
10日はさっそく、期成会のメンバーが地元のキャンプ場で啓発用のポスターを貼って回りました。
さらに…
時崎愛悠記者
「広々とした農地が広がるこちらの場所、2軍施設建設の候補の1つとなっていることが分かりました」
■市職員が話した「3年後か5年後くらいには…」
恵庭市では、JR千歳線の「島松駅」と「恵み野駅」の中間に位置する「西島松地区」が、候補地のひとつとして浮上していることが複数の関係者への取材で分かりました。
「西島松地区」はエスコンフィールドまで、車で約20分の場所で近くには国道36号線や、恵庭市と北広島市をつなぐ幹線道路が通っています。
この地区の住民には、今年に入り、恵庭市の職員からこんな話があったと言います。
恵庭市職員
「3年後か5年後くらいにスポーツ施設や商業施設を作りたい」
恵庭市は、ラピダスの千歳進出や、北広島市のFビレッジ開業などを受けて、今年3月、まちづくりの設計図である都市計画マスタープランを改定。
西島松地区は、「必要に応じて土地利用を検討する区域」に指定されました。
恵庭市民
「(誘致は)うれしい。めっちゃうれしい。ドキドキする」
恵庭市民
「北広島を見るとすごく、いろいろなことで経済効果があって(誘致は)いいのかなと思いますよね」
■本格化する誘致合戦
球団が情報交換しているのは、札幌圏の6つの自治体。誘致合戦が本格化しています。
堀啓知キャスター)恵庭市では期成会も立ち上がって、機運は高まっていますね。
堀内大輝キャスター)今回関係者への取材でこの「西島松地区」が浮上した訳ですが、あくまで恵庭市側で考えている、恵庭市側の候補地の一つです。
堀キャスター)西島松地区、立地は良さそうですね。
アンヌ遙香さん)車でも札幌から行きやすそうですしね。いつもエスコンフィールド行って思うんですけれど…私も大ファンだからしょうがないんですけど、考えられないくらいお金使うんですよ、一回見に行くと。相当お金使うんですね。だから2軍施設が来てくれたらもうとんでもない経済効果が…計り知れないのは確かですよこれ。
堀キャスター)もちろんボールパーク級のものがきたらそうですけど、2軍施設はそうじゃないかもしれない…
アンヌさん)そうなったらもう、私がお金使いますから。
堀内キャスター)会見では「ボールパークではない」とは言っていましたが、一つのマチということでしたから。
アンヌさん)引っ越ししてもいいくらいに思いますよ、やっぱりそういう施設があったら。
堀キャスター)人を呼ぶ何かは野球場以外にも考えていると思いますので、期待したいですね。
堀内キャスター)誘致するために自治体はどんな点をアピールすればいいのか。2軍本拠地の誘致に成功した“先輩”に誘致合戦を勝ち抜いたポイントを聞きました。
■福岡ソフトバンクホークスの2軍本拠地「筑後市」のケース
いまから9年前の2016年、福岡ソフトバンクホークスが2軍の本拠地を移転した際、34の自治体の中から“誘致”を勝ち取ったのが、福岡県の南部に位置する、人口4万9000人ほどの『筑後市』でした。その決め手となったのが…
・筑後市ホークスファーム連携推進担当 水田進係長
「1つは、交通アクセスの良さ。特に新幹線駅が、いま球場がある所から徒歩3分の位置にある。それからファーム施設に隣接して選手が育成される環境に最適な自然豊かなところがありますので、よく言えば自然豊かな、悪く言えば何もないという所に建ててますので、そういった所も選ばれた一因なのかなと思います」
2軍施設の誘致では、5万人弱の筑後市の人口を大きく上回る7万6000を超える署名を集めるなど、周辺に住む人たちも巻き込んだ誘致活動が実を結びました。
その一方で、球団との交渉では苦労も多かったそうです。
・筑後市ホークスファーム連携推進担当 水田進係長
「球団の条件は、4万平米から6万平米の土地で20年間利用ができる土地を自治体から提案してくださいということでした。土地代に関しましては無償でお貸しすると」
そうした誘致活動が実り2016年にオープンした『ホークス・ベースボールパーク筑後』。その効果は…
・筑後市ホークスファーム連携推進担当 水田進係長
「それまで筑後市の観光入込客数が徐々に減ってきたところにファームが移転してきて、それがまたV字回復で、100万人に乗った形で、観光入込客数の効果は非常に大きいところがあります。ホークスがある町ということで選んでいただいてる」
堀キャスター)駅から近いことと、人口を超える署名が集まっているから、恐らくそのマチだけじゃなくて、そのエリアで呼び込んだ感じですね。
堀内キャスター)いつもはライバルのホークスですけれど、この時ばかりは力を貸してもらいたい、そんな気にもなりますね。今回、候補地になっている札幌圏の自治体からも既に、この「筑後市」には問い合わせが来ているということです。
■誘致成功のポイント…交通アクセス、税優遇などの条件、高め合える関係性
改めて誘致成功のポイントをまとめますと、筑後市の水田さんによりますと、1つは交通アクセスの良さということです。筑後市も、駅から歩いて3分の立地。それから、広さや税優遇など条件に合った土地かどうか。そして、球団と自治体の双方が高め合える関係性。
堀内キャスター)お互いにメリットがあるというか。例えば、少年野球のチームと選手たちが交流をしてくれたりとか、市民や子どもが使えるような野球関連の練習施設を作ったりとか。あとは、若い観光客の方が増えたということです。
ですね。
堀内キャスター)こういったことを、問い合わせのあった札幌圏の自治体にもお話をしているんだそうです。
堀キャスター)相思相愛になるためには越えなければならないハードルがいくつかありそうですね。
鈴木徹さん)結構なハードルですよね。土地の無償対応だとか、税金の優遇だとか。これは簡単なハードルではないなと。ですが誘致するメリットがあるということなんですよね。考えてみたら2軍戦とはいえ1試合数千人…年間数万人から数十万人、それだけのお客さんが、特に北海道だと選手もファンも宿泊が必要になりますからね。そういう落とすお金も大きいですし、後は1軍に比べると敷居が低いからマチのチームを応援するという一体感を醸成するのでもいいんじゃないでしょうかね。そういうメリットがあるから、いろいろ色々大判振る舞いしてもいいのかなと。
堀キャスター)選手との距離感はもっと近くなるかもしれませんね。2軍で何年間か頑張った選手が、今度エスコンフィールドで活躍しているのを見たら、やはり感動するじゃないですか。「あんなに泥んこになって頑張っていた選手がこんなスター選手になって…」と思ったら。もっと思い入れ強くなりますしね。
堀内キャスター)それは球団が目指しているマチに溶け込んだ、施設だけじゃないっていう要素がまさにそういったところにあるんじゃないかなと思いますね。
堀キャスター)ファイターズの2軍施設は2027年に着工で、2030年頃の開業を目指すということで、まずはどこのマチになるのか、注目です。