ファイターズ去り…開業以来最大の赤字からV字回復 「大和ハウスプレミストドーム」を運営する札幌ドーム 経営安定化に新体育館との連携は?
2025年06月23日(月) 16時37分 更新
大和ハウスプレミストドームを運営する札幌ドームは23日、2024年度の決算を発表しました。
その収支は…4200万円の黒字!
ファイターズの移転で、開業以来最大の赤字となった前期からV字回復を果たしました。
札幌ドーム阿部晃士社長
「大幅な増収増益、黒字化を達成しております。誠心誠意経営の立て直しにまいる所存です」
一方で、さらなる黒字化に向けて、ドームの敷地内に建設を目指す「新月寒体育館」の先行きには懸念も…。
23日就任した新社長の手腕はいかに!札幌ドームのこれからをもうひとホリします。
23日発表された札幌ドームの決算によりますと、売上高は前期より5億円以上増えて、17億8700万円となり、純利益が4200万円の黒字となりました。
そもそも、2023年度に大幅な赤字となったのは北海道日本ハムファイターズの本拠地移転が最大の要因です。
貸館事業などで大幅な減収となり、6億5100万円の赤字を計上していました。
経営改善が迫られるなか、2024年度、力を入れたのが大規模イベントの誘致です。
eスポーツの世界大会や、初となる雪まつり関連イベントを実施しファイターズなき後の「穴埋め」に力を注ぎました。
また、大和ハウス工業と結んだ年間約2億5千万円のネーミングライツ契約も黒字化に大きく貢献しました。
さらに、「公費の投入」というバックアップもありました。
札幌ドームは、アマチュア大会で利用する場合、使用料を9割減免する優遇措置があります。
23年度までは減免分を札幌市と札幌ドームで半分ずつ負担していましたが、ドームの収益悪化を受け、2024年度は市が全額負担することになりました。
原資は市の「スポーツ振興基金」です。
2024年度は、基金から8400万円が支出されました。
この基金は、ドーム社のこれまでの利益を積み立てたものですが、札幌ドームが黒字であれば、他のスポーツ事業に充てることができた「公金」です。
市は「アマチュア大会を通じたスポーツ振興が目的で、ドームの赤字補填を狙いとしたものではない」と説明しています。
基金の残高は約7億円。
いつまでも頼り続けるわけにはいかず、ドームの経営安定が急がれます。
23日の株主総会では、新たな社長に、大手旅行会社JTB出身の阿部晃士(あべ・こうじ)氏が就任しました。
会見では、札幌市がドームの敷地内に建設を計画する「新月寒体育館」についての質問がでました。
札幌ドーム阿部晃士社長
「詳細について話は聞いていませんが、(ドームとの)一体運営は別として、連携をとるというのが一番大切。例えば営業連携だとか」
札幌ドームとしてどう関わるか、詳しくは語りませんでしたが、札幌市は「新月寒体育館」を、プロバスケットボールのレバンガ北海道の本拠地とすることも検討しています。
ところが先週、レバンガの新オーナーに就任した小川嶺(おがわ・りょう)氏から驚きの発言が…
レバンガ北海道・小川嶺オーナー
「アリーナを作るのであれば、札幌駅周辺の利便性の高いところにアリーナを作り、マチが新しく作れるくらいの規模をレバンガとしてチャレンジしていきたい」
札幌駅周辺を本拠地の候補とする構想を明かしました。
これに対し、秋元市長は23日の会見で…
札幌市・秋元克広市長
「(レバンガ以外の)民間の方から、ドーム周辺にアリーナも含めた建設、まちづくりについて民間提案をいただいている。小川オーナーの発言で、まちづくりの提案をいただいた企業のご意向もうかがっていかなければならないと思う。」
新月寒体育館とドームの相乗効果を期待していた札幌市ですが、計画の見直しを迫られる可能性もあります。
札幌ドームの経営安定化は一筋縄ではいかなそうです。
堀啓知キャスター)ファイターズが北海道北広島市のボールパークに移転して、順調に滑り出している一方で、札幌ドームの経営が心配されていたわけですけれども。
鶴岡慎也さん)私も札幌ドーム育ちですので。札幌ドームに元気がないというのは聞いていて、グッとくるものがありましたし、やっぱり札幌ドームが賑やかになってほしいなという願望はあります。色んな人が知恵を出し合って行ってほしいなと。あと、レバンガの動向すごく気になりますね。
堀啓知キャスター)そうですね。ここにきて社長が、駅周辺でと、具体的に言っていましたからね。
これも、今後の体育館との関係がありますけれども、まず札幌ドームの新社長はどんな経営を目指しているのか。
堀内大輝キャスター)23日の会見で語られたことですが、まずスポーツのみならず、エンタメ・文化の施設を目指すと。
そして、具体例では海外との連携、それから海外アーティストの誘致をしたいと。
また経済波及効果の大きいコンサートを増やしたい、などと話しています。
これはどういうことかと言いますと、阿部新社長は前職、例えばオーストラリアとか香港とかの海外法人の代表もされていて、海外にいらっしゃったという経験もあるし、語学も堪能なので、そういったところからこのような発言が出てきているようなところがあります。
堀啓知キャスター)ずっと観光業にいた方ですからね。
北海道にいたときもあったんですか?
堀内大輝キャスター)北海道地域の代表も最近までやられていました。
須田さん、今後のドームの利用、どう広がって行ってほしいですか?
須田布美子さん)そうですね。もちろんエンタメ・音楽だとかスポーツを見るというのも楽しみですけど、高低差があって色々おもしろく使えるところなので、市民参加型のイベントなんかもやってくれたらいいなと思っていて。実は何回か出たことがあるんですけども、あそこでみんなで走るのもとっても楽しいので。
堀啓知キャスター)ボールパークが北広島で365日というコンセプトでやっているじゃないですか。
札幌ドームも365日、常に市民が活用できるような環境に進めていってほしいなと思います。
堀内大輝キャスター)稼働は上げていきたいと新社長も言っていましたし、後は札幌だけじゃなくて、北海道全体で、
言わば北海道ドームのように思ってもらいたいと、そういう連携も地域としていきたいと。
堀啓知キャスター)そして2024年度の黒字化というのはスポーツ振興基金の投入のあってのものだったということを考えると、札幌ドームは今以上に自力で収益を上げる必要があるということですよね。
堀内大輝キャスター)そうなんですね。そこで注目されるのが「新月寒体育館」なんですね。
老朽化した月寒体育館をドームの敷地内に移転するという計画ですけれども、札幌市はバスケットボールチームの「レバンガ北海道」の本拠地とすることも検討しています。
ただ、レバンガの新たなオーナーは、札幌駅周辺の本拠地というのを考えているということで。
堀啓知キャスター)今、ちょうど札幌駅周辺は色んな複合施設を作っているじゃないですか。
もしかしたらどこかと連携するんじゃないかなどと、いろいろ想像してしまいますよね。
鶴岡慎也さん)そういう話が前からあるのかなと、勘ぐっちゃいますよね。でも、札幌ドームが、福住が賑やかなのが嬉しいですけどね。
堀啓知キャスター)そうですよね、とにかくドームも体育館も、街の財産ですから。
将来を見据えて、しっかりと計画を練ってほしいなと思いますね。