北海道日本海沿岸で最大クラスの地震や津波が発生したら…島牧村では、最悪の場合ほぼ全住民が犠牲になる可能性も 北海道が初公表
2025年06月03日(火) 19時53分 更新
北海道の日本海沿岸で最大クラスの地震や津波が発生した際の被害想定が初めて公表されました。
最悪のケースで約7500人が津波に巻き込まれるなどして死亡すると想定されています。
記憶に新しい、2024年の能登半島地震。
同じような被害が北海道でも起こるかもしれません。
北海道は、日本海沿岸の15の断層によりそれぞれ引き起こされる地震と津波の被害想定を初めて算定し、3日公表しました。
この地域で地震が起きる確率はほぼ0%から0.1%とされています。
しかし、今回の想定では最悪の場合、あわせて約7500人が津波に巻き込まれるなどして死亡。
建物の被害は「全壊」が最大で約1万6000棟に上ります。
北海道大学広域複合災害研究センター 岡田成幸客員教授
「2024年1月に発生した能登半島地震を踏まえると、日本海沿岸における防災・減災対策を進める上で、国の公表に先じて、被害想定について速やかに市町村や北海道民に知らせる必要がある」
市町村別では、稚内市が死者数と建物の倒壊数ともに最も多く、避難が遅れた場合は津波で約4000人が死亡、約9600棟の建物が揺れや津波で全壊すると想定されています。
大佐賀南記者
「海岸に沿って国道が走り、国道沿いに住宅が立ち並んでいます」
北海道後志地方の島牧村です。
想定される津波の高さは最大で24.4メートル。
早いところでは、わずか4分で第一波が到達するとされています。
最悪のケースで約1200人が死亡するとされていますが、これは、いま村に暮らすほぼすべての住民が犠牲になるという厳しい想定です。
島牧村防災対策室 川原尚都室長
「非常に、ショッキングで深刻な数字だと受け止めております。まずは、住民に地震が起きたらすぐ、津波がくるかもしれないことを『意識づけ』してもらい、揺れがきたら、すぐ避難してもらう。その際、決して諦めないでほしい」
島牧村で50年以上暮らす、金子英敏さん(69)です。
国道を挟んで、自宅のすぐ前が海です。
地震がきたら、自宅の裏にある「避難階段」に向かうことにしていますが、不安もあるといいます。
島牧村豊栄地区 金子英敏会長
「広さは、地域の人が、ここで一次避難というのはいいが、できれば希望としては、まだ高い場所がほしい」
島牧村は、海岸沿いに住宅が点在するのに加え、住宅のすぐ後ろが切り立った地形になっています。
津波からの避難は坂や階段を上る必要がありますが、高齢者が多く徒歩での避難の限界を年々感じているといいます。
島牧村豊栄地区 金子英敏会長
「最近、地元の人たちも高齢になって、歩くのがつらいとのことなので、やっぱりこれから車を使っての避難など、考えていかなければならない」
ワーキンググループの1人として被害想定の策定に携わった、日本赤十字北海道看護大学の根本昌宏教授は、配慮が必要な人に対する「個別避難計画」の策定を進めてほしいと話します。
日本赤十字北海道看護大学 根本昌宏教授
「高齢化が進んでいる地域がたくさんあって、その人たちが1人では逃げられない、私はもう逃げる必要がないという諦め、これだけは絶対に避けたい。1人もしくは2人以上の支援者が名乗り出てもらい、その人たちが要配慮者と一緒に避難する計画になるが、地域に合った計画を策定してほしい」
森田絹子キャスター)
今回被害想定が公表された北海道の日本海沿岸ですが「陸地の近くの断層」で地震が発生します。
▼地震の「揺れ」が大きくなる
▼地震発生から津波到達までの時間が「短い」という特性があります。
堀啓知キャスター)
1993年の南西沖地震のときも、地震発生から数分で津波が到達しました。
迷っている時間がないのが現実です。
森田絹子キャスター)
根本教授は、さらに日本海側の地震や津波の場合…道路が寸断され救助や支援物資が届くまでに時間がかかること、冬の寒さや暴風雪の懸念があるとして、地域の特性をふまえた災害対策を考えることが重要だと指摘しています。
堀啓知キャスター)
被害想定は「準備」をするためにあります。
まずは日頃からの地震への備えが大切です。
海沿いで揺れを感じたら、あきらめずに直ちに高台へ避難、地域の皆さんで声を掛け合って逃げてください。