危険植物「バイカルハナウド」らしき植物の目撃相次ぎ、札幌市が緊急点検 約170キロ離れた池田町でも似た植物見つかる 在来種「オオハナウド」との違いを解説
2025年07月04日(金) 16時43分 更新
これまで日本で確認されていなかった危険な植物が、いつのまにか北海道内に広がっているのでしょうか?
付近の住民
「まさかこんなところに生えてるとは思ってなかった」
今週、北海道札幌市の住宅街で、皮膚炎を引き起こす危険植物「バイカルハナウド」らしき植物が発見されました。
さらに札幌以外でも…
7月1日 池田町
「こっちですね。先日ニュースで放送していた植物に似ている植物があった」
今、道や札幌市などには、バイカルハナウドに関する問い合わせが数多く寄せられています。
道内各地に広がる危険植物への不安を取材しました。
バイカルハナウドらしき植物が最初に見つかったのは、6月、北海道大学のキャンパスでした。
バイカルハナウドは、西アジア原産で、これまで国内で確認されたことはありません。
その葉や茎から出る液体が皮膚に付くと激しい炎症を引き起こすと、薬草の研究家は警戒を呼びかけます。
薬草研究家 山下智道さん
「(皮膚に)水泡ができて、それが大きい。やけどのように痛痒くて、普通に炎症が起きるというレベルではない。目に入ると失明の可能性は十分にありえる」
謎の植物は、市内の別の場所でも見つかりました。
宮形徹カメラマン
「宮形徹カメラマン 毒草らしき植物が見つかったサイクリングロードを札幌市の職員が調査しています」
7月1日、白石区東札幌のサイクリングロードのそばで、バイカルハナウドによく似た植物が40株ほど生えているのが見つかりました。
札幌市ではこの植物を刈り取るとともに、市内の公園や道路などに同様の植物がないか、緊急点検を行っています。
付近の住民
「保育園の子がいつも茂みで遊んでいたので、大丈夫だったかねって(夫と)言っていた」
危険植物への不安は道内各地に広がっています。
十勝地方の池田町の畑では…
十勝六花フィールド 吉田岳大さん
「こっちですね。農作業しながら会社のメンバーとちょっと話していたら、先日ニュースでやっていた植物に似ているなという植物があった」
雑草の中に混じって、バイカルハナウドらしき植物の姿があります。
写真を撮影して、画像検索で調べてみると…
十勝六花フィールド 吉田岳大さん
「グーグルレンズで撮ると…バイカルハナウドと出ますね。」
「ちょっとこれどうしたらいいのかなと、役場、振興局、道庁と確認したんですけど、『近づかないでください』だけの回答だった」
この植物の画像を、薬草研究家に見てもらいました。
薬草研究家 山下智道さん
「(葉の)切れ込みが深いバイカルハナウド。葉だけみるとオオハナウドという感じ。茎が赤いが、バイカルハナウドはここの節に白い毛がたまる。(写真は)節に毛があまりないので、おそらくオオハナウドなのでは」
ただ、オオハナウドも同じセリ科で、多少の毒性があるため、、むやみに触らないほうがいいというアドバイスでした。
この結果を池田町の吉田さんに伝えました。
堀内大輝アナウンサー
「オオハナウドにも少し毒があるそうです」
十勝六花フィールド 吉田岳大さん
「もし見かけたら注意したほうがいいかなと思いますね。毒性は弱くても毒を持っているというのは貴重な情報」
一方、SNS上にも、バイカルハナウドそっくりの植物の写真が…。
投稿した釧路市立博物館です。
学芸専門員で農学博士の加藤ゆき恵さんが公園を案内してくれました。
釧路市立博物館(農学博士)加藤ゆき恵 学芸専門員
「こちらもオオハナウドが2本。これは背が高め。こんな感じでいっぱい生えています」
「(北大で見つかったものとは?)違う種類です。大きいくくりでは同じ仲間になるが、(オオハナウドは)在来種で、もともと北海道に生えている種類」
釧路市民から問い合わせがある植物のほとんどは、在来種の「オオハナウド」だろうと考えていますが、正確な判定は難しいといいます。
釧路市立博物館(農学博士)加藤ゆき恵 学芸専門員
「自然界では毒のある植物はいっぱいある。オオハナウドも中の汁を触るとかぶれる人もいる。それでも折って触らなければ大丈夫」
加藤さんは、毒性がある植物でも、距離をとって眺めれば問題はないとして、過剰に恐れずに植物を楽しみましょうと、SNSでも呼びかけています。
■「バイカルハナウド」を見分けるポイント、
環境省が示した見分けるポイントです。
在来種に比べて、バイカルハナウドが疑われる植物は、
●外側の花弁が2つに裂けている
●果実は長さ1センチ程度 模様が在来種より太くて先が膨らむ
●葉の切れ込みが深く細かい
疑わしい植物を見つけた場合は、写真を花・葉・茎・全体の4枚を撮影して、環境省の北海道地方環境事務所にメールで送るよう呼び掛けています。
■なぜ急に北海道で目撃情報相次ぐ?
薬草研究家の山下さんによりますと、バイカルハナウドだとすれば、「海外からの旅行者や帰国者に種が付着して道内に入った。さらに、北海道の気候が原産地と似ていて生育した」ことが考えられるということです。