コメを求めて1キロ以上の車列 北海道でも本格的に始まった随意契約の備蓄米の販売 消費者歓迎も価格の不安定感に生産者は心配…
2025年06月10日(火) 16時06分 更新
9日から道内でも始まった、随意契約による備蓄米の販売。
札幌のスーパーでも。
コメを求める人たちは…
購入できた人
「すごいうれしいです」
購入できなかった人
「まさかこんなに並んでてもう…」
2022年産の備蓄米を販売する、コメ小売り大手の「松原米穀」です。
北海道江別市の倉庫では、予定を前倒しして10日朝6時から販売を始めました。
ドライブスルーのため、道路には車の列が…
貴田岡結衣記者
「いま300メートルくらいなんですが、まだまだ車の列が途切れる気配がありません」
近所の人
「いつも歩いているんだけど「えー?」って。1キロ?もっとあるんじゃないかな」
貴田岡結衣記者
「倉庫の先頭から歩いてきて、約25分ですね、1.8キロ地点でやっと最後尾の看板が見えてきました」
想定を超える反響に、松原米穀は、急きょコメを追加しましたが、それでも1500袋が、約2時間半で完売しました。
藤田忠士記者
「本社の社屋を先頭に、客の列がずらーっとここまで伸びています。最後尾は、あちらになっています」
一方、札幌市東区にある松原米穀の本社では、午前11時からの販売をめがけて大行列。
9日も時間を前倒しして販売しましたが、10日も熱は冷めません。
先頭に並んだ人
「夜の11時ですね。ちょっと眠いですね」
中には、コメを求めて移動してきた人も…
客
「江別も行ってきたんですけど、もうすごい人で…。朝6時に行ったんですけども、全然買える状態でなくて」
購入は1人2袋までで、約1300袋が用意されました。
客
「ちょっと重い、なおさら重い」
購入できなかった人
「買えなかったっすね。(中には5~6時から並んでいる人もいて)5時・6時から…。それは買えないですね。また、あす以降チャレンジしてみたいと思います」
江別まで出かけて朝4時半から並んだ門脇(かどわき)さん。
母と2人で、友人の分も含め3袋購入しました。
“古古米”を購入した 門脇鈴香さん
「お米が大好きなので(備蓄米食べるの初めてですか?)初めてです。楽しみなんです」
白米と炊き込みご飯とで炊飯器を使い分ける、お米マニアぶり。
ふだんは「ゆめぴりか」一択といいますが…
“古古米”を購入した 門脇鈴香さん
「あ、おいしい。凄く甘みがあるわけではないですけど、甘味はあるし、食感もしっかり。おいしいです。全然備蓄米っていわれてもわからないです」
夕食のご飯は、あえて備蓄米と知らせずに、夫が気づくかどうか試してみたいそうです。
片山侑樹記者
「午後3時になりました。いま備蓄米の販売が開始されました」
札幌市北区にあるスーパーです。
準備したのは、2021年産の備蓄米、100袋。
価格は、5キロで1933円です。
午後3時からの販売でしたが、買い求める客が、店の外まで列を作りました。
購入できた人
「今回備蓄米が出るということで慌ててきました。今まで通り食べられれば、私たちも助かるので。おいしく食べたい」
購入できなかった人
「買えると思って信じてきてみたのに、結局買えず。完売という札を見て絶望でしたね。一刻も早く落ち着いてもらわないと、コメだけで破産するんじゃないかぐらいの勢い」
堀啓知キャスター)備蓄米を求めて来たのに結局買えなくて、ほかの銘柄米を買ったってことですよね。
皆さんがいかにお米に悩みながら買っているかということがよくわかります。
堀内大輝キャスター)では、道内の備蓄米販売状況、最新のものをお伝えします。
まず9日から販売が始まった「松原米穀」
これまでお知らせしていた販売日程が変更になっています。
今週、まず東区の本社での販売は11日(水)で、先着250人に整理券を配布するということです。
午前11時が販売開始何ですが、早まる可能性があるということです。
そして江別市の低温倉庫では、14日(土)午前5時からということですが、こちらも早まる可能性があります。
当初は12日(木)と15日(日)も販売を予定していたんですが、中止となりました。
そして、道内のスーパー・コンビニです。
まず道央エリアを中心に、ラルズマートやスーパーアークス、ビックハウスなどを展開する「ラルズ」です。
11日は午後3時から、全店で販売をします。
ただ、13日(金)は販売がありません。
14日(土)はオープンから全店で販売するということになっています。
15日(日)以降の販売スケジュールは未定です。
続いて「道北アークス」では、旭川市内の「ウエスタン」3店舗で14日(土)からの販売が決まりました。
それから「コープさっぽろ」です。
こちらは6月の下旬からの店頭販売を目指して調整中。
そしてコンビニですが、「ローソン」は14日(土)からの販売開始。
「ファミリーマート」は7月中旬からの販売を検討しているということです。
堀啓知キャスター)そして米全体の価格というのは、この備蓄米によってどうなっているのか。
堀内大輝キャスター)最新の全国の平均価格、5キロあたりが4223円。
これは2週連続値下がりとなっています。
ただ、小泉農水大臣は「さらに古い2020年産も含めて備蓄米20万トンを追加放出する」ということにしています。
今後どうなっていくのか…
堀啓知キャスター)先週も前の週より25円安くなって、今週はどれくらいかな、と思ったら37円。
小刻みという感じですので、現状高止まりの状況が続いているということですね。
小橋亜樹さん)また新米が収穫されてバランスがちょうどよくなるまで、もうちょっと、あとちょっと皆それぞれの工夫をして、耐えるしかないのかなっていう。
堀啓知キャスター)新米がこうしっかりと行き届くとなると8月以降ですもんね。
堀内大輝キャスター)この価格の高止まりで「コメ離れ」が進むのではないかということで、農家の皆さんは不安を抱えています。
舟山農産・舟山賢治代表
「寒い日もあったんですけど、好天に恵まれて、おおむね順調に育っていると思います」
コメどころ、上川の当麻町でコメ農家を営む舟山賢治さん。
3週間ほど前に田植えを終えました。
毎年納めているコメのうち一部は備蓄米になっているといいますが、「価格を下げる」目的で放出されたことについては…
舟山農産・舟山賢治代表
「流通を目的にするのであれば、価格はそんなに下げなくても正直良かったのかなとも思う。(コメが)とれてないわけでは決してないと思うので、そこに関しては…「うん?」って思うことはありますね」
一連の騒動で「コメ離れ」や今年の新米価格にも影響が出てしまう不安を抱えています。
舟山農産・舟山賢治代表
「新米が出たときに、5キロの価格が2000円とかであれば、もう、いろいろコスト上がっているので、(コメの)生産は不可能な状態だと思う。(コメ農家を)本当に辞める人が増えてしまうと思う。みんなが生き残れる政策を打つのはすごい難しいことではあるけど、そこは知恵を絞っていい政策を作ってもらいたいし(中抜き)実行力のある政策を出して欲しいと思う」
堀啓知キャスター)価格の不安定さというのは生産者にも影響することになりますが…
平野龍一さん)2024年のお米の生産量というのは決して少なくなかったわけではないです。その前と比べてもほぼ同じくらいだったという状況の中で、これだけお米の価格が上がる、そして一時期はスーパーからお米が無いという状況になっていた原因をしっかりと究明されているのか公開されていないのかわからない、何となくもやもやした状況が続いているので、しっかり究明していただいた上で、適正な価格に落ち着けばいいなと思いますね。
堀啓知キャスター)そうですね。お米って生産者さんから集荷業者、卸業者、そして我々…複雑なんですよね。
よくわからないところが多くて、そこをスッキリさせたいという動きにはなっているんでしょうけれど。
短期的にはちょっとお求めやすい価格に落ち着いてほしいと思う一方で、生産者の話を聞くとやはり中・長期的にはどういう政策をうてば消費者と生産者が納得できる価格帯になるのか、わからない状況ですよね。